世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) インドネシア中学校・高等学校日本語教師会 -ワークシート作成能力育成ワークショップ-

国際交流基金ジャカルタ日本文化センター(中部ジャワ州地域中等教育機関)
岩田 敏和

ワークショップの風景の写真
ワークショップの風景

 インドネシアを知らない日本人はまずいないでしょうが、インドネシアの日本語学習者数が約72万人で世界第3位(2009年海外日本語教育機関調査)、そのうち約68万人が中高生(ほとんどは高校生)だということを知っている日本人はそう多くないのではないでしょうか。

 そんなインドネシアの日本語教育に少しでも貢献しようと私達は活動を行っているわけですが、そのパートナーのひとつに「インドネシア中学校・高等学校日本語教師会(インドネシア語名称 Asosiasi Guru Bahasa Jepang Indonesia)」(以下 AGBJI)の存在があります。2010年6月18日・19日に「地域間ネットワーク形成研究シンポジウム」が開催され、教科書準拠の問題集(ワークシート)作成に取り組んでいくことが決定されたのですが、それを受けて2011年5月23日~26日、ジョグジャカルタ教員研修所において「ワークシート作成能力育成ワークショップ」が行われました。今日はその様子をご紹介したいと思います。

問題集について

ワークショップの様子を撮影したDVDの写真
ワークショップの様子を撮影したDVD。
教材等の資料データも入っている。
参加者等に配布。

 ところで、ワークショップについてお話しする前に、問題集について少し触れておきたいと思います。まずインドネシアの中等教育機関における日本語教育は主に「話す」・「聞く」ことが重視されています。一方「読む」「書く」にかけられる学習時間は自ずと限られてきてしまいます。また、インドネシアでは生徒が教科書を持っていないことも多く、そういった理由から生徒がうまく復習できない、なかなか平仮名・カタカナが覚えられないといった悩みがありました。問題集があれば、授業で「話す」「聞く」能力を育成し、問題集を使って復習することで「読む」「書く」能力を補うということが可能になります。

「ワークシート作成能力育成ワークショップ」の目的

 今回のワークショップの実行委員を務めた中部ジャワ州・ジョグジャカルタ特別州合同教師会は2010年にこの問題集を完成させ、既に1万3千冊が出版され、州内の多くの学校で使われています。この中部ジャワ州の経験を1つの例として、プロジェクトの企画立案から出版に至るまでの過程を、ワークショップによって、各地域からの代表者の先生方に疑似体験してもらい、そのノウハウについてみんなで考えてみようというのが今回のワークショップの趣旨でした。全国から集まった参加者達にはそこで得た知識や経験をそれぞれの地域に持ち帰り、それぞれの地域の状況に合わせた問題集を作ることが期待されます。

準備、そして当日

 ところで実行委員を務めることになった中部ジャワ州・ジョグジャカルタ特別州ですが、その面積は四国に相当します。そのため実行委員同士が顔を合わせて会議をすることすら容易にはいきません。そんな条件のもとでもなんとか役割分担をし、教材を作成し、ワークショップを作り上げ、その他膨大な事務手続きもこなしてなんとか当日を迎えました。

 ワークショップでは主にプロジェクトの組織作りから企画立案、問題の作成、出版にいたるまでの一連の過程を皆で考える時間と、実際の問題集作成に不可欠となるIT技術の講習の2本柱で構成されました。当日は休み時間でさえも、あちこちで議論や情報の共有が繰り広げられていました。そういった参加者の先生方の熱意と積極性に支えられ、4日間の予定は無事成功に終わりました。

今後の予定

 ワークショップ終了後のディスカッションでは、今後AGBJIは、1.全国統一の問題集の作成、2.マルチメディア教材(副教材)の開発に取り組んでいくことが話しあわれました。また、それまであまり交流の無かった他地域の教師会との情報のシェアや助け合いの必要性が確認され、今後横のつながりを一層強めていくことが約束されました。

最後に

 少しずつAGBJIを始め、各地域の教師会が自立化してきている今、私達にはより緻密に考え抜かれた側面支援をしていくことが求められてくると思われます。一方、インドネシア全体の日本語教育のこと、そして生徒たちのことを第一に考え、時間と労力を惜しまずに教師会で活躍している多くの先生方には改めて尊敬の念がぬぐえません。そういった多くの方々のためにも、これからもインドネシアの日本語教育が発展していくことを願っています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, Jakarta
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
担当地域、中部ジャワ州とジョグジャカルタ特別州における中等教育機関(高等学校)において
  1. 1.配属校における日本語教育・教授法指導
  2. 2.現地教師支援
    a)高校日本語教師会活動支援、日本語教授法指導
    b)担当地域の高校訪問、授業見学と教授法等の指導
  3. 3.高校日本語教師研修(インドネシア教育省主催)へ講師として参加、指導
  4. 4.高校用教材作成、支援
  5. 5.地域日本語教育事情の把握と情報収集、報告書の作成
所在地 Summitmas 1 Lt.2/3 Jl.Jend.Sudirman, Kav 61-62 Jakarta Selatan
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2001年

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