世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)みんなの思いがつまった「恋するフォーチュンクッキー」 -中部ジャワ・ジョグジャカルタバージョン-

国際交流基金ジャカルタ日本文化センター(中部ジャワ州地域中等教育機関)
東田 明希子

Selamat Siang!!(こんにちは!)」インドネシアからこんにちは!

既にご存知の方もいるかもしれませんが『2012年度日本語教育機関調査』によると、インドネシアの日本語学習者は世界第2位となりました。中部ジャワ・ジョグジャカルタでも9万人以上が色々な形で日本語を学んでいます。

日系の会社も増え、当地域に住む日本人、日本からの学生ボランティアも増加しています。ボランティアの学生の多くは大学の休みを利用してインドネシアを訪れ、地域の高校で文化紹介を通じて生徒と交流を深めています。

そのような状況の中部ジャワとジョグジャカルタですが、日本語の先生からは「たくさんの学生(特に高校生)が日本語を勉強しているのに、日本ではそれがほとんど知られていないんですね」という声をよく聞きます。実際にインドネシアの日本語教育について知らない日本人が多いのが現状です。

「みんなに知ってもらいたい!」という先生たちの思いから、高校の日本語教師会が中心となり、『恋するフォーチュンクッキー』のビデオクリップ制作プロジェクトがスタート。2013年12月には実行委員会が発足しました。コンセプトは「インドネシアでこんなにたくさんの人が日本語を教えている・勉強していることを日本の人に伝えよう!」です。中等教育・高等教育関係なく、日本語を学ぶ人、教師、ボランティア、サポートする人々等日本語に関わる人たちが集まって制作しました。

最初はどのぐらいの人が参加してくれるのか不安もありましたが、結果的には予想以上にたくさんのビデオが集まり、実行委員の先生方も驚いていました。『恋するフォーチュンクッキー』はJKT48がインドネシア語バージョンで歌っていたので、多くの高校生がすでに知っていて馴染みがあったことも、参加しやすかった理由だったのではないかと思います。学校で撮影したもの、地域の観光地で撮影したもの、世界遺産ボロブドゥールで撮影したものもありました。ビデオの編集作業も教師会で行い、『恋するフォーチュンクッキー 中部ジャワ・ジョグジャver.』が完成しました。

当初の目的は、「日本の人にインドネシアの日本語教育を知ってもらう」ということでしたが、インドネシア人からも多くの反響がありました。「中学生に対する日本語プロモーションにも使いたい」「日本語で歌って踊って、とにかく楽しそうで羨ましい」「学校で保護者に日本語の授業を紹介する時にぜひ使いたい」「ビデオを見たインドネシア人の友達から声をかけられ、新たに友達が増えた」等私たちが想像もしていなかった反響があり、広がりを見せています。ある高校では、フォーチュンクッキープロジェクトに参加したことで、生徒たちの日本語授業への興味関心が高まり、クラスの雰囲気がとてもよくなったという声もありました。「教室を出て色々な人と関われてとても楽しかった」という生徒が多かったのも印象的でした。楽しそうに練習し、笑顔で踊る先生や生徒たちを見ていると、踊っていない私だけでなく周りのみんなが笑顔になっていることに気付きました。

高校生、大学生、高校教師、大学教員、ボランティアなど、普段それぞれ日本語に関わっている人がいますが、実際はあまり接点がありません。日本語との関わり方はそれぞれ違いますが、日本語を通じてみんなで1つのものを作り上げられたことに、教師会の先生たちも大きな手応えを感じているようです。私自身、日本語を通じて多くの人と関わることができ、新たなつながりができたこと、それが広がっていくことの素晴らしさを実感することができました。

みなさんも、ぜひご覧ください!

たくさんの思いがつまったフォーチュンクッキーです!

URL: http://www.youtube.com/watch?v=VGew3w-k1a4

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation Jakarta
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
担当地域である中部ジャワ州・ジョグジャカルタ特別州における中等教育機関において
1)地域教師会支援(教師会・勉強会・研修・文化祭に対する支援・サポート)
2)配属校において授業見学、教授法指導
3)全国高校日本語教師研修(インドネシア文化教育省主催)への出講
4)地域内の高校を訪問し、授業見学・教授法指導
5)現地の日本語教育に関する情報収集
6)高校校長に対する日本語プロモーション
所在地 SummitmasI Lt.2/3 Jl.Jend.Sudirman, Kav 61-62 Jakarta, Indonesia
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2001年
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