世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 開講から5年、教師の卵が現れる。

ラオス日本人材開発センター(LJC)
平田 好

1.第2フェーズ開始

LJC正面の写真
LJC正面

 日本センターは、インドシナ地域ならびに中央アジア地域の市場経済移行国を対象として、各国の市場経済化を担う人材育成を支援する政府間プロジェクトです。各国と日本の人的交流・相互理解の拠点となることを目指し、2006年6月現在、8か国9か所で事業が展開されています。それぞれの国の特性を生かしながら、(1)ビジネスコース、(2)日本語コース、(3)相互理解促進事業、を三本柱として、各国における「日本の顔」としての役割を担っています。

 ラオス日本人材開発センター(以下、「LJC」)は、2000年9月に、プロジェクト実施のための合意議事録がラオス・日本双方で署名されて協力が開始されました。最も早くから事業を開始した日本センターのひとつです。実施機関は、ラオス唯一の国立大学である、ラオス国立大学です。

 2001年3月、ラオス国立大学ドンドークキャンパス内にセンター建物が完成しました。そして、同年5月の開所と同時に、日本語コースも開講しました。2005年8月までの第1フェーズ(第1期技術協力期間)は、日本語教育分野についても国際協力機構(JICA)より専門家が派遣されていましたが、2005年9月の第2フェーズ開始より、他の日本センターと同様に、国際交流基金より日本語教育専門家が派遣されることになりました。したがって、報告者は、国際交流基金より派遣された初代専門家となります。

2.日本語コース受講生延べ3,000名

LJC中庭の写真
LJC中庭

 LJCはラオス国立大学の付属機関ですが、大学生に限らず、高校卒業以上の一般成人に学習機会を提供しています。大学生は所属学部の授業が終わったあとに、公務員や会社員は仕事が終わったあとに、LJCに通って日本語を学習しています。2~3年間で初級を修了し、その後、中級に進む受講生も多くなってきました。この5年間で、受講生は延べ3,000名を超え、113名が初級を修了しています。

 大学学部課程の専門科目と違って単位認定はありません。しかし、日本語でコミュニケーションをすることで、視野を広げ、自分自身が変わっていく楽しさを多くの受講生が感じています。ラオスにおける日本語教育のモデルコースであることはもちろんのこと、ビジネスコース、交流事業との相乗効果もあり、ラオスと日本の相互理解・人的交流の要となっています。

 現在、日本語コースは年3学期制で、学期毎の進級・受講料納入(登録)制度を採用しています。2006年6月現在、10レベル(初級、中級)10クラスを開講しており、約150名が在籍しています。月曜から土曜までの1週間、36コマの授業を、カウンターパートである日本語室主任、日本語教育指導助手(国際交流基金派遣)、邦人非常勤教員2名、そしてアドバイザー(報告者)計5名の教員が担当しています。運営スタッフ3名も加えて、日本語コースに関わるスタッフは常勤6名、非常勤2名です。一般日本語コースの運営管理については、日本語室主任のマネジメントのもとにラオス側スタッフが自律的に行う体制ができあがりつつありますが、さらに高い運営能力をもつように育成中です。また、スタッフの日本語運用能力、教授能力の向上を図って、個別研修も実施しています。

 教材の整備、カリキュラム改訂、中級以上の日本語教授活動、教師養成については、第2フェーズの課題であり、多くを日本側が担っています。しかし、いずれはラオス側による運営が可能になることを目標として、日本語室主任がリーダーシップを発揮できる環境を整備するとともに、課題を遂行しています。

3.卵が孵化して、飛び立てるように

 2006年1月、「日本語教師入門クラス」1期生6名が入学しました。

 開講時にゼロからスタートした受講生も5年経つと、日本語を教えることを考えるようになります。例えば、教育学部英語教育専攻の学生にとっては、卒業後、出身地で英語教員になったうえで、日本語も教えることは夢です。現在、首都ビエンチャンにおいてもラオス人日本語教師は数えるほどしかいません。地方で日本語を教えている機関はほとんどない状況です。一方で、日本語を学びたいというラオス人の声があちらこちらから聞こえてきます。

 2006年12月、第1期「日本語教師入門クラス」が修了します。つまり、教師の卵が孵化します。その後、順調に育って、ひとりで飛び立てるようになれば、ビエンチャンだけでなく、ルアンパバンやパクセーなどの地方都市でも日本語を学ぶひとが増えていくことでしょう。

 ラオスの日本語教育は、革命による休眠状態を経て、再開してから10年も経っていません。また、ラオスは人口が600万人にも満たない小国です。しかし、日本語を学ぶラオス人が着実に増えて、日本語を使って、伝えて、かわっていくラオス人の輪が確かに広がっていることを実感しています。

ラオス日本人材開発センター
http://www.ljcenter.org/jp/

日本センター
http://www.lji.edu.la/

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ラオス国立大学の付属機関。国際協力機構(JICA)による技術協力プロジェクトとして、日本人専門家団が投入されている。国際交流基金日本語教育専門家は、「日本語教育分野運営指導」を担当し、カウンターパートとともに一般日本語コースの運営にあたるほか、任国の日本語教育基盤向上のためのアドバイザー業務を行う。
ロ.派遣先機関名称
Lao-Japan Human Resource Cooperation Center (LJC)
ハ.所在地 National University of Laos, Dong Dok, Vientiane, Lao P.D.R
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名、日本語教育指導助手:1名

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