世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 明日を担うラオス人日本語教師と学習者たち

ラオス国立大学ラオス日本人材開発センター
野村 ゆみ子

明日の時代を担うラオスの若い日本語教師たち

日本語教育の担い手ラオスの若い日本語教師たち(ヴィトナー先生、センアルン先生、マティナ先生)の写真
日本語教育の担い手ラオスの若い日本語教師たち(ヴィトナー先生、センアルン先生、マティナ先生)

 ラオス国立大学・ラオス日本人材開発センター(以下、「LJC」と略す)は、ラオス国立大学の1機関ですが、大学の各学部の学生のほかに一般の人も日本語を勉強することができます。初級と初中級を合わせると、現在約120名の学習者がいます。初級の授業を担当しているのが、ラオス人の若い先生たちです。

 2006年度国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によれば、日本語教師で日本語が母国語ではない教師の比率はアジア地域では非常に高く、2006年の時点で、実に全体の80パーセントにも及んでいるところもあるようです。LJCのラオス人の日本語教師たちもその一翼を担っているわけです。彼女たちは、大学在学中より、LJCの日本語コースで勉強し、その後大学を卒業し、LJCの日本語部に就職しました。日本語コースの事務的な仕事をしながら、最初は日本人の教師とのチーム・ティーチングからスタートし、徐々に現在のように一人で教えられるようになりました。LJCに派遣されている国際交流基金の日本語教育専門家から研修を受けたり、隣国タイや日本で国際交流基金の種々の研修を受けたりすることは、現在でも行われており、不断の研鑽に努めています。

 ノンネイティブ(非母語話者)の教師にとっては、やはり日本語能力の向上は必須であることは言うまでもありませんが、LJCのラオス人の若手教師は新しいことへ挑戦する意欲も盛んです。最近では、ラオスの隣国カンボジアで教える機会を得ました。ラオスとカンボジアとでは言葉が異なるため、日本語だけを使う直接法による指導に挑戦し、好評を得ました。

 東南アジア諸国の中で、ラオスの日本語教育は、まだまだ発展途上にあります。明日のラオスの日本語教育を担うラオスの若い先生たちの活躍がこれからも大いに期待されます。

伸びゆくLJCの学習者達

LJC日本語祭 劇 「浦島太郎」の写真
LJC日本語祭 劇 「浦島太郎」

 東南アジア諸国の中で、ラオスはブルネイに次いで二番目に日本語学習者が少ない国です。現在ラオス全体の日本語学習者数は、推定500-600人とされています。しかしながら、2007年から日本語能力試験が行われるようになったこと、2003年には国内唯一の国立大学、ラオス国立大学文学部に日本語学科が開設されたことなどから、ラオスでの日本語教育環境は確実に進展を続けています。

 そのような状況の中、LJCの日本語学習者にとって、日本語を勉強することはどのような目的があるかという最近の調査において、第一位は日本の文化に関する知識を得るため、2位が日本語自体に興味があるためと、知識志向がうかがわれます。

 多くの学習者が昼間の通勤・通学を終えてから授業にやってくるクラスで、いかに楽しく効率よく、学習者が満足する日本語を教えていくか、学習意欲を促進するためにどのような発表の場を提供するか、ということが求められています。

 毎年行われているラオス全国「スピーチ大会」や、日本語の歌、劇、書写などを競い合う「LJC 日本語まつり」に、LJCの学習者たちは積極的に参加します。特に「スピーチ大会」では毎年優勝を始め、入賞を果たす成果をあげています。このように学習者たちの高い学習意欲が反映されていることで、LJCの日本語コースは、ラオスの日本語教育において、いわば先駆的な役割を果たしています。日本語教育では、まだまだ発展途上にあるラオスで、学習者たちの明日へ向かうパワーが感じられます。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ラオス国立大学の1機関。国際協力機構(JICA)による技術協力プロジェクトとして、日本人専門家団が投入されている。国際交流基金日本語教育専門家は、「日本語教育分野運営指導」を担当し、カウンターパートとともに一般日本語コースの運営にあたるほか、任国の日本語教育基盤向上のためのアドバイザー業務を行う。
ロ.派遣先機関名称
Lao-Japan Human Resource Cooperation Center(LJC)
National University of Laos
ハ.所在地 Dong Dok, Vientiane,Lao P.D.R
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名

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