世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 日本語を学んで将来何になる? 会社説明会で。

ラオス日本センター
野村ゆみ子

現役ガイドのLJI日本語コース受講生の写真
私に続くのは誰?
現役ガイドのLJI日本語コース受講生

 ラオス日本センター(英文名:Laos-Japan Human Resource Development Institute、以下「LJI」)の日本語コースは本年8月で、開講10周年を迎えます。本コースは、JICAとラオス国立大学との間の市場経済を担う人材育成を支援する政府間プロジェクトとして2001年に発足した、LJIにおける、ビジネスコース、相互理解コース、と並ぶ3本の柱の一つです。現在までの延べ数にすると、約4000人の受講生を輩出している日本語コースですが、最近の顕著な傾向は受講した学生が、日本語をどう活かそうか、と真剣に考え始めたことだと思います。初級を終えるまでの最短で2年半、その後の初中級クラスを経て、中級クラスへたどり着いた学生たちにとって、日本語を役立てることに目が向くのは、当然かもしれません。そのような学生たちの希望の実現のために、最近のLJI日本語コースが力を入れ始めていることは、日本の企業の紹介や説明会です。LJIの説明会は去年から今年にかけて、3回おこなわれました。日系企業の進出も、ASEANの他諸国に比べると、まだまだ少ない環境ですが、それらの企業との連携を持ち、学生たちにどのような企業がどんな目的のために、どのような人材がほしいかを明示することにより、より具体的なイメージが湧いてくると思われます。また、希望する人材にどの程度の日本語が必要とされているかなども示すことにより、学生たちの学習意欲も増すと思われます。昨年末に行われた、靴下関係のメーカーと工事現場用の安全靴のメーカーの説明会には多くの学生が参加し、企業への質問も活発になされていました。また、2010年に入ってからは、ガイド業に興味のある学生に答え、ガイド一日セミナーを実施しました。現在現役のガイドとして活躍している、LJIの受講生がゲストとして、現実のガイド業について、仕事の内容、どうすればガイドになれるのかなどについて、語ってくれました。今年は、他に日本語教師になりたい人のためのセミナーを予定しています。ラオスには現在LJIとラオス国立大学文学部日本語学科を合わせると、12人のラオス人の日本語教師がいますが、まだまだ十分ではありませんし、後に続こうとする学生の声も多く聞かれます。ラオス全土で日本語学習者といわれているのは、推定600人前後です。何万人、何十万人の日本語学習者がいる国からみれば、本当に少ない数です。しかしながら、首都ビエンチャンで教鞭をとるラオスの先生方は皆熱意があること、日本語発展途上であることで、未来に向かって夢があること、国の発展と共に日本語の未来もあることなど、これからの日本語の成り行きに目が離せないのもラオスだと思います。

熱心に説明を聞く学生たちの写真
熱心に説明を聞く学生たち

 10年のプロジェクトが2010年8月に終了するのを前に、(Lao-Japan Human Resource Development Center日本名:ラオス人材開発センター) はLaos-Japan Human Resource Development Institute(日本名:日本センター)となり、ラオス国立大学の学部と同格の扱いになりました。日本語コースもそれと同時に、今まで以上に学生のニーズに即したコースづくりを目指すことになります。LJIの日本語コースの最大の特徴は、一般社会人にも門戸を開いているとはいえ、ラオス国立大学の各学部生が大多数を占めるという点です。町はずれにある、ラオス国立大学ドンドークキャンパスの中にあることで、ビエンチャンの中心部で働く社会人には、地理的に少し遠いというのも原因かもしれません。ラオス国立大学の各学部生のために、LJIで行われている日本語教育を、高等基礎教育の中の外国語課程として位置づける、ということも今後の大きな課題といえそうです。

 LJIの日本語コースは、明日のラオスの市場経済発達に貢献する多くの人材を輩出できるよう、一層の発展を目標にし、今後もよりよいコースづくりを目指していきます。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Laos-Japan Human Resource Development Institute
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ラオス国立大学の1機関。国際協力機構(JICA)による技術協力プロジェクトとして、日本人専門家団が投入されている。国際交流基金日本語教育専門家は、「日本語教育分野運営指導」を担当し、カウンターパートとともに一般日本語コースの運営にあたるほか、任国の日本語教育基盤向上のためのアドバイザー業務を行う。
所在地 Dong Dok, Vientiane,Lao P.D.R
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2005年

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