世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)高校生にも日本を知ってもらいたい

ラオス日本センター
相馬森佳奈

日本のごみの分別方法に驚く学生たちの画像
日本のごみの分別方法に驚く学生たち

ラオス日本センター(以下、LJI)におけるJFランゲージセンター(以下、JFLC)の仕事は、LJIにおける日本語コースの運営のほかに、LJIの相互理解部門と共同で行う日本語・日本文化の普及活動があります。ここ数年、ラオスでは日本料理店や日本のものを売っているお店が増えたり、インターネットの普及により情報が入りやすくなったりしてはいるものの、まだ日本のことを知る機会は多くありません。そこで、中高生に日本のことを知ってもらうために毎年数回、近隣の高校を訪問したり高校生をLJIに招待したりして日本文化の紹介・体験や簡単な日本語の紹介を行っています。
 
今年度は1校につき2回(1回は高校訪問・1回は高校生のLJI来訪)のセットで行っています。このコースをメインで担当するのは相互理解部門のラッサミーさん。彼は以前LJIの日本語コースで日本語を学んでいたこともあり、日本語が少しできます。また昨年度はMBAコースの研修の引率で日本にも行ってきました。そのため、高校生に伝えたい日本のことがたくさんあるようです。高校生に講義をする前にJF講座調整員・日本語専門家との打ち合わせを行いますが、普段私たちが見落としがちな「日本の良さ」を取り入れたPPTを作成しており、こちらが驚かされることもあるぐらいです。

さらにラッサミーさんは折り紙の達人でもあります。毎回それぞれの季節に合わせた折り紙の折り方を紹介し、講義の最後には高校生たちにも実際に折ってもらっています。

さくらができましたの画像
さくらができました

春といえばさくらの季節、ということで、4月に行った高校訪問では高校生も折り紙を使ってさくらを折ることに挑戦しました。普段は折り紙なんてめったにしないラオスの高校生たち。高校生が折り紙に興味を持つかな・・・と心配していましたが、そんな心配をよそにみんな四苦八苦しながらも一生懸命ラッサミーさんの手本を見ながら折っていました。最後には出来上がったさくらを友達と見せ合って写真を撮ったり、自分が持っている紙でさらに折ろうとしていたり、楽しんでくれた様子がうかがえました。

ラオスの高校生たちにとって日本はまだまだ遠い国ですが、それでも高校生たちに日本について聞いてみると「日本に留学したい」「日本のテクノロジーは進んでいる」「日本はきれいな国」といった、いいイメージを持ってくれていることがわかります。このような高校生たちに日本の良さを伝え、日本に興味を持ってもらい、将来の日本語学習や日本留学の動機づけを行っていくことも、JFLCLJIが担っている重要な仕事の一つです。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Laos-Japan Human Resource Development Institute
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ラオス日本センターは日本の政府開発援助により設立され、現在は国際協力機構(JICA)と国際交流基金の協力のもとで、日本とラオス両国によって運営されている。ビジネス経営の知識や日本語を学ぶ場として、市場経済化促進のための人材育成を行うとともに、様々な文化交流事業を実施することにより、日本とラオスの交流・相互理解促進を目指している。2012年10月よりJF講座が開始され、JF日本語教育スタンダードに基づいた日本語教育の普及、及び、教師育成や教育機関ネットワーク促進の拠点としての役割を担っている。
所在地 Vientiane, Laos
国際交流基金からの派遣者数 2名(専門家1名、調整員1名)
国際交流基金からの派遣開始年 2005年
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