世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)日本大好き マレーシアの子どもたち

国際交流基金クアラルンプール日本文化センター
小西広明・中野友理

2012年度の調査ですが、ここマレーシアでは33,077人が日本語を学んでおり、その半分以上は中等教育機関に籍を置く若者たちです。国際交流基金クアラルンプール日本文化センター(以下、JFKL)ではそれら若者と直接触れ合える機会を大事にしています。

JFKL講座

JFKLは、マレーシアの首都クアラルンプールの中心街から少し南下したミッドバレーと呼ばれる地区にあります。メガモールという大きなショッピングセンターに隣接しており、週末はおおぜいの若者たちでにぎわいます。買い物を楽しむ人たちの中に「まるごと日本のことばと文化」を持っている人も混じっています。JFKL講座の土曜日クラスを受講している人たちです。講座は平日夜と土曜日の日中に開講されていて、2015年4月時点で120名を超える受講生がいます。ほとんどが20代の若者です。そしてそのほとんどが進学や就職のためではなく、ただ「好きで」日本語を勉強しています。わたしたちはその「好き」に応えたいと思っています。

JFKLビジット

JFKLの和室スペースの写真
JFKLの和室スペース

JFKLでは学校単位の団体訪問を受け入れています。多くはクアラルンプール近隣の中等教育機関で日本語を勉強している生徒たちです。いつも10人ぐらいの小グループに分かれてもらって、「たたみと浴衣体験」「日本文化体験」「日本語体験レッスン」「図書館案内」をします。JFKLには8畳間の和室スペースがあり、和室体験、浴衣体験などをしています。子供たちにとって初めて座るたたみの部屋、そこで着る浴衣は特別なものがあるようです。「日本語体験レッスン」は日本人講師による直接教授です。日本語を勉強している子供たちですが、日本人と話すことも、日本人の先生に教えてもらうことも初めてという子がたくさんいます。緊張しながら、それでも一生懸命習った日本語を使います。

JLフェスティバル

最後にご紹介するのは、日本語フェスティバルです。JLフェスティバルと呼ばれているこの催しは、マレーシア日本語協会の主催、在マレーシア日本国大使館やJFKLなどの共催で、2015年5月で第9回を数えました。

合気道、空手、剣道、生け花、書道、うどん、お好み焼き、卵焼き、巻きずしに太巻き、折り紙に切り絵に切り紙にけん玉や福笑い・・・。全部今年のJLフェスティバルで実際に開かれたブースです。アルゴリズム体操、忍術、俳句、風呂敷包みにペーパークラフトというブースもありました。

30近いブースに1,300人を超える中学生高校生が集まりました。イポーやペナン、バスをチャーターして先生と一緒にジョホールバルから来た子供たちもいます。みんな年に1度のこのフェスティバルを楽しみにしています。今年からマレーシアに派遣された日本語パートナーズのみなさんは、全員で「日本の縁日」をイメージした大きなブースを開いてくれました。

ソーラン節を踊る子供たちの様子
ソーラン節を踊る子供たち

また各種ブースだけではなく、さまざまなコンテストもこのフェスティバルの大きな魅力です。コーラルスピーキング、ストーリーリーディング、コスプレイコンテスト、ミスター&ミス浴衣コンテスト、各校でこいのぼりを作ってきてその美しさを競うコンテストもあります。圧巻は何と言ってもソーラン節でしょう。今年は全国各地で予選が行われ、そこで選ばれた10校が参加しました。みなさん何か月も前から練習を重ねてきたようです。そろいの法被にねじり鉢巻き、一糸乱れぬ豪快な踊りで観客を魅了していました。

マラッカ、コタバル、サンダカン、今日も全国で子供たちが大好きな日本を学んでいます。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, Kuala Lumpur
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国際交流基金の海外拠点のひとつ。マレーシアの各機関と連携し、日本語教育に関する幅広い業務を行っている。教師全般に対する支援として、各種セミナー、研修コースの立案・実施、「マレーシア日本語教育セミナー」「マレーシア日本語教育国際研究発表会・浦和研修報告会」の開催など。中等教育段階に対しては、教師研修会や教師養成コースの実施などに協力するとともに教材開発、試験開発支援なども行っている。学習者支援としては、年に3回の弁論大会のほか、JF日本語教育スタンダードに準じたJFKL日本語講座を開講するなどしている。
所在地 18th Floor, Northpoint, Block B, Mid-Valley City, No.1, Medan Syed Putra, 59200 Kuala Lumpur, Malaysia
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名、専門家:1名、指導助手:1名
国際交流基金からの派遣開始年 1995年

[お問い合わせ]

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)
文化事業部 欧州・中東・アフリカチーム 担当:中島、永田
電話:03-5369-6063
Eメールアドレス:Q_europe_mideast_africa@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角@マークに変更してください)

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