世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)日本語との出会いの場:中等教育支援

クアラルンプール日本文化センター
小西広明・芹澤有美

クアラルンプール日本文化センター(以下、JFKL)では、日本語講座や文化体験コースの企画運営、マレーシア日本語教育国際研究大会や日本語教育セミナー等教師研修の実施などを通じて、マレーシアで行われている日本語教育に対しての支援を行っています。その中で今回は、中等学校での日本語教育に対する支援についてご紹介します。

中等学校における日本語教育の現状

マレーシアでは、約33,000人の方々が日本語教育機関で日本語を学んでいますが、その半数以上が中等教育段階(主に12歳~16歳)の学習者です(2012年度日本語教育機関調査より)。マレーシアの中等学校において、選択科目として日本語が選べる学校は約130校あります。そこで日本語を学ぶ生徒たちにとっては、学校の授業が日本語や日本との出会いの場になっていると言えるでしょう。中には、ほかの第二外国語の授業が開講されていないなどの理由で、しかたなく日本語を選択している生徒がいるのも事実です。でも、せっかく日本語に出会ったのだから、日本語のクラスを楽しんでもらいたい…その思いは、私たちにも現場の先生方にも共通しています。そのため、先生方をサポートし、中等学校における日本語教育をよりよいものにすることが、私たちの重要な仕事のひとつなのです。

マレーシアの中等教育は、いま、変化の時期を迎えています。2017年から、新しいシラバスが施行されるのです。JFKLでは、新シラバスに合わせた教科書作成のサポートをしているほか、教師研修を通して、新シラバスにそった授業の作り方を先生方とともに考えていきたいと思っています。

粘土で書き順の勉強をする中等学校の様子の画像
中等学校のようす:粘土で書き順の勉強!

あやとりの紹介をしている、中等教師研修の様子の画像
中等教師研修・あやとりの紹介

日本語キャンプ

もちろん、授業ばかりが中等教育支援ではありません。中等教育の生徒が参加するスピーチコンテストの開催や、国際交流基金と公益財団法人かめのり財団の共催で行われる「にほんご人フォーラム」に向けて、参加者選抜のために行う「にほんご人フォーラム(マレーシア)」の実施など、各種イベントも行っています。

最近では、中等教育の先生方が主催する日本語キャンプが、国内各地で開催されるようになりました。キャンプは、日本語を勉強しているという共通点をもった生徒たちが、日本語を使ったアクティビティやゲームなどを通じて交流する貴重な機会です。昨年は、初めて東マレーシアでも開催されました。ふだんは日本語を使う機会の少ない生徒たちも、この日は新しい友だちや日本語の先生たちに、日本語を使おうとがんばります。その顔のいきいきとしていること! 日本語専門家もキャンプに参加したりセッションを担当したりしていますが、こうした先生方の活動が、この地での日本語教育を支えているのだと強く感じます。

これからの課題

マレーシアでは、2013年以降、新規中等教師養成が事実上停止している状態です。一方で、留学経験のあるベテラン教師は定年を迎え始めています。このままでは、日本語教師の数はどんどん少なくなってしまいます。教師がいなければ、当然ながらその学校で日本語を選択することはできません。これから日本語に出会う生徒たちに、日本語への入り口を閉ざさないためにも、マレーシア教育省と協力し、新規教師養成再開の道を模索しています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 国際交流基金クアラルンプール日本文化センター
The Japan Foundation, Kuala Lumpur
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国際交流基金の海外拠点のひとつ。マレーシアの各機関と連携し、日本語教育に関する幅広い業務を行っている。教師全般に対する支援として、各種セミナー、研修コースの立案・実施、「マレーシア日本語教育セミナー」「マレーシア日本語教育研究発表会・浦和研修報告会」の開催など。中等教育段階に対しては、教師研修会や教師養成コースの実施などに協力するとともに教材開発、試験開発支援なども行っている。学習者支援としては、年に3回の弁論大会のほか、JF日本語教育スタンダードに準じたJFKL日本語講座を開講するなどしている。
所在地 18th Floor, Northpoint, Block B, Mid-Valley City, No.1, Medan Syed Putra, 59200 Kuala Lumpur, Malaysia
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名、専門家:1名、指導助手:1名
国際交流基金からの派遣開始年 1995年

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