世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 中等学校教師のための日本語研修会

教育省スーパーバイザリーユニット
山科健吉

 タイでは、2001年から北のチェンマイと南のソンクラーで、翌2002年には東北のウボンラチャタニーで、中等学校(日本の中学校と高校にあたる6年制学校)のタイ人日本語教師を対象とした研修会が始まりました。ここでは南の研修会の様子を中心にご紹介します。

先生たちも勉強しています

南部金曜研修、授業風景の写真1
南部金曜研修、授業風景

 プーケット、クラビー、サムイ島などの観光地を抱える南部タイでは、ここ数年、日本語を教える中等学校が増えてきました。日本語のカリキュラムは学校によって様々で、週1コマの必修クラブで楽しみながら日本語に親しんでいる生徒たちもいれば、第2外国語として週6コマ学習し、日本語で大学入試に臨む生徒たちもいます。
 これらの学校で日本語を教えている教師の多くは、数年前までは英語やタイ語、数学や理科といった他の科目を担当していましたが、日本語を学びたいという生徒たちの声に応えるべく、国際交流基金バンコック日本語センターで実施している「新規研修」に参加して日本語教師に転向した教師たちです。彼らは教師としての経験は十分ですが、日本語教師としてはまだまだ新米です。このような日本語教師を支援し、継続的な日本語学習の場を提供することをめざして、南部金曜研修を立ち上げました。
 南部金曜研修では、タイ人日本語教師の日本語能力向上をめざし、読解、文法、会話、聴解、作文など総合的な日本語学習を実施しています。また、2002年度より教授法や評価法の授業も行われるようになりました。本研修は毎週金曜日に開講され、現在12名の中等学校の先生方が受講されていますが、みなさん非常に熱心で、中には片道3時間もかけて通ってくる先生もいらっしゃいます。よりよい授業を行うために、学校の先生たちもこうして勉強を続けているのです。

学期休みも勉強します。

南部金曜研修、授業風景の写真2
南部金曜研修、授業風景

 スーパーバイザリーユニットでは毎週実施される南部金曜研修のほかに、3月と10月の学期休みを利用した様々な集中研修も実施しています。
 2002年3月には、中等学校の教師を対象としたレッスンプラン作成ワークショップを実施しました。中等学校の教師は日本語教授経験が浅く、実際のクラスで「どんな内容を」「どのくらいの進度で」「どんな教材を使って」「どのように」教えていいのか不安を感じている方が少なくありません。そこで今回のワークショップではコースデザインの方法を学ぶとともに、日々の授業の具体的な指針となるようなモデルシラバス及びモデルレッスンプランを協力して作成しました。
 また2002年10月には、毎年12月に行なわれる日本語能力試験に向けて、試験対策の集中研修を実施しました。南部金曜研修の始まった2001年当時は、3級合格者と4級合格者がそれぞれ半数ずつ程度でしたが、現在では受講生全員が3級合格を果たし、さらに上級合格をめざして皆さん努力を続けています。

先生たちのネットワーク

 日本語は英語やフランス語など他の外国語と比べるとまだまだ教師数が少なく、これまで地方では相談相手もなく孤軍奮闘している日本語教師も少なくありませんでした。南部金曜研修は受講者の先生たちにとって、日本語のブラッシュアップを図る場であるとともに、地域の他の日本語教師との相互交流の場ともなっています。この研修を通じて、中等学校で教えるタイ人日本語教師のネットワークが形成され、情報交流や教具・教材の共有などが盛んに行われています。
 また、これとは別に、2001年に南部タイ日本語教師会が発足しました。こちらは中等学校で教えるタイ人教師だけではなく、参加者はタイ人、日本人、中等教員、大学教員など様々です。現在40名あまりの日本語教師が登録し、定期的(毎年3月、7月、10月)に会合が開かれています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
派遣先は、タイ教育省のソンクラー県出先機関であるスーパーバイザリーユニット。ここには各教科のアドバイザー的な教師が在籍しており、青年教師も日本語教育に関するコンサルタント業務を行う。01年度より国際交流基金バンコック日本語センターと共催で、現職中等学校タイ人教師を対象とした日本語教師研修「南部金曜研修」が始まり、青年教師がこれを運営・担当している。このほか、近隣の中等学校を週1回巡回し、タイ人教師と協力して授業を行う。
ロ.派遣先機関名称 タイ教育省普通教育局第3教育区スーパーバイザリーユニット
Regional Supervisory Unit 3 (R.S.U.3), Department of General Education, Ministry of Education
ハ.所在地 Songkhla-Nathawee Rd., Amphur Muang, Songkhla 90000, Thailand
ニ.国際交流基金派遣者数 青年日本語教師:1名

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