世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 東北タイ中等学校日本語教師の会 発足

タイ教育省ウィジッタラーピタヤー中等学校
伊東忠洋

ベンジャママハーラート中等学校の写真
ベンジャママハーラート中等学校

 ホームページをご覧のみなさん、こんにちは。
 2003年4月に、東北タイの大きな街の一つであるウボンラーチャターニー市内に赴任しましたが、早いもので、あれから1年が経ちました。
 赴任当初の職場は、近隣8県の中等学校と、それを管轄する地域の小さな教育委員会の上位に位置づけられる、地域の中心的な教育委員会でした。しかし、2003年7月に行われた、地方分権的な性格を持つ、タイの教育行政機構の改革にともなって、その教育委員会が廃止されることになりました。それにともない、私の職場は、一時小さな教育委員会に移りましたが、その後、2005年5月から、同じ地域の中等学校(前期3年・後期3年の6年)のひとつ、ウィジッタラーピタヤー中等学校に移ることになりました。そのため、私は、現場で中学生や高校生の授業を、同僚の教員とともに継続的に担当することになりました。この現場で授業を受け持つという点が、今年度になって付け加わった、新しい私の仕事です。
 しかしながら、地域の中等学校の日本語教員を対象にした東北部タイ中等教育日本語教師金曜研修会(東北部金曜研修)を行ったり、昨年度に発足した中等学校の日本語教員の教師会をサポートしたりするのは、昨年度までと同様、これからも続けていく仕事です。 以下では、この教師会のことを紹介させてください。

東北タイ中等学校日本語教師の会 発足

 東北タイ日本語教師の会が昨年2003年7月に発足されました。
 東北タイ日本語教師の会の発足には、東北部タイ中等教育日本語教師金曜研修会(東北部金曜研修)に参加している地域の中等学校の日本語教員が中心的な役割を果たしました。
 東北部金曜研修は昨年2002年11月から、教育省と国際交流基金の共催の形で始められ、ウボンラーチャターニーで行われて来ました。東北タイはタイの国土の3分の1ととても広く、日本語教員が広域に点在しているため、研修会を開いても多数の教員には参加してもらえません。これまでの参加者は10名、ほとんどが30代で、みな女性です。
 昨年2003年6月、私は研修会の参加者たちに、自分の抱えている問題を出し合ってもらいました。その際出てきたのが現場でそれぞれの教師が作成しなければならないとされるカリキュラムの問題でした。日本語科のカリキュラムを現場で一人一人が作っていくのはとても困難だというのです。
 タイでは現在、大掛かりな教育改革が進行中なのです。1999年に日本の教育基本法に当たる国家教育法が制定され、2001年には新しい学習指導要領が出されました。かつては、タイの学校のカリキュラムは中央で作られ、学校はそれに基づいて教育を行うことになっていたのです。しかし、今回の教育改革では、それぞれの地域事情を踏まえて、それぞれの学校の教員が現場でカリキュラムを書くことになったのです。私は当初、これはすごい大転換だなと思いました。
 この教育改革が進行する状況の中、研修会に参加する教員の声を受けて、私の元の職場の教育委員会(教育省スーパーバイザリーユニット10)は、国際交流基金バンコック日本語センターの共催という形で、2003年7月、3日間のモデル・カリキュラム作成ワークショップを開催しました。
 東北タイは、日本の1.5倍のタイの国土の、その3分の1。とても広大なのですが、モデル・カリキュラム作成ワークショップには、その東北タイの全土から17校、23名の教員が駆けつけました。私には嬉しい誤算でしたが、バスで5時間はかかるというような遠方から、金曜研修会に参加していない教員の参加者を多く得ることができました。カリキュラムの問題が多くの教員にとって大きな問題だったということでしょう。
 ワークショップは作業を中心とするものでしたが、夜のカラオケも手伝って、遠方にいる仲間に会えたというような、楽しい雰囲気で進みました。このワークショップの最終日、「東北タイ日本語教師の会」が発足したのです。
 「東北タイ日本語教師の会」はその後、国際交流基金バンコック日本語センターなどからの後援を受けて、2004年1月23日(金)に「第1回東北タイ中等学校日本語スピーチコンテスト」を、ウボンターチャターニー市内のベンジャマーマハーラート中等学校で行いました。東北タイの13の中等学校から29名の生徒がコンテストへ参加、多数の生徒の応援を得て、活況を呈しました。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
派遣先の中等学校はタイ東北部南東のウボンラーチャターニーにあり、中等前期3年と後期3年の6学年で、男女約1600名規模。中学1年生から6年生まで、約230名の生徒が日本語を学んでいる。青年教師は、この派遣先の中等学校にて、同僚教員とともに生徒に対する授業を担当するほか、地域広域の中等学校日本語科教員を対象にした東北部タイ中等学校日本語教師金曜研修会(国際交流基金バンコック日本語センター主催)を開催運営する。また、他の中等学校(前期3年・後期3年)を訪問するなどの活動を行うことにより、地域広域の日本語科教員と関係を構築することを通じて、タイ東北部の日本語教育の発展に寄与することが期待されている。
ロ.派遣先機関名称 教育省ウィジッタラーピタヤー中等学校
Vichitrapittaya School,Ministry of Education,Thailand
ハ.所在地 Satidnimankarn Rd., Amphur Warinchamrab Ubonrachathani 34190
ニ.国際交流基金派遣者数 青年日本語教師:1名

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