世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 更なる飛躍

ナレースワン大学
小西 広明

専門家派遣の終了

緑あふれる校舎の写真
緑あふれる校舎

 ナレースワン大学は、1996年から続いた国際交流基金の専門家派遣事業が2005年2月をもって終了します。すでに十分に現地化が達成され、自立したとナレースワン大学、国際交流基金双方が判断したからです。
 それではどのように現地化が達成され、自立したのでしょうか。以下、具体的に見ていきましょう。

1.教授陣の充実

 このホームページでは毎年、講師陣の集合写真を載せてありますが、おととしの写真から毎年一人ずつ増えていることにお気づきでしょうか。このページの一番下に書いてある現地教授スタッフ数は12名、本年度の写真も12名です。これでやっと国内外に留学していた先生方が復職され、スタッフ全員が揃ったことになります。1996年9月の専門家派遣開始当時は8名の現地教授スタッフがおり、そのうち2名が留学中という状況でした。

2.教育施設・設備の充実

 本学では、去年から、教職員全員にパソコンが配置され、ネットワーク化されました。学生が自由に使用できる日本語環境のパソコンもずいぶん増えました。
また、各教室に実物投影機とモニターが設置されることによって、教室での活動が大幅に変わりました。さまざまなものを拡大投影して見せることによって、学生にインプットする情報量が飛躍的に増えました。学生の書いた作文をその場で回収し、模範例や誤用例を共有できるようにもなりました。まだまだ工夫と使い方次第でより効果的な授業ができるようになると思います。
さらに学部では、本年度から新校舎を増築します。これによって教員の研究室が大幅に増えることになり、先生方はこれまで以上に恵まれた環境で研究指導にあたることができるようになります。

3.教育規模の拡大

 日本語科では、主専攻課程の定員をこれまでの40名から、本年度は暫定的に60名に、そして来年度以降は90名に増員します。これによって地域での日本語教育の機会を増やすとともに、自立化にとっての大きな課題である、「採算性」も克服していきたいと考えています。来年度からの大学院修士課程の開講も同様の趣旨で行います。また将来的には、夜間コースでの主専攻課程の設置やダブルメジャー制(例えば本学経済学部を卒業した学生が卒業後2年程度で集中的に日本語主専攻の科目を履修し、経済学と日本語の二つの学士号を取得する)なども視野に入れています。

4.教育内容の充実

全員揃った教授陣の写真
全員揃った教授陣

 最後になりましたが、何よりも胸を張って言えることは、教育内容を充実させてきた成果が具体的に出てきたことです。
 例えば、昨年度第30回タイ国日本語弁論大会において、本学の学生が優勝、準優勝に選ばれました。
例えば、昨年度日本郵政公社主催第36回手紙作文コンクールでは日本郵政公社総裁賞を受賞しました。
 例えば、応募者のレベルが高く、本学の学生はなかなかもらえなかった文部科学省の日本留学奨学金も去年今年と受給者が出ています。
 そしてなにより、本学コースの到達目標である卒業時の日本語能力試験2級は毎年合格者が増えていっています。

おわりに

 もちろんこれで終わりではありません。ナレースワン大学日本語科は今後地域のみならずタイ国全体の日本語教育界のため、何より一人一人の学生の夢をかなえるために、更なる研鑽と研究を重ねていきたいと決意しています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
バンコク以北、チェンマイ以南の地域の中枢を担う機関である。今後、現地教師を中心とした体制に移行していく段階である。専門家は日本語講座での日本語教授、カリキュラム・教材作成に対する助言、地域の日本語教師に対する助言を行う。
ロ.派遣先機関名称 ナレースワン大学
Naresuan University
ハ.所在地 T.Thapoo A.Muang Phitsanulok 65000 THAILAND
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
ナレースワン大学人文学部日本語科
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   選択:1985年~
専攻:1995年~
(2)専門家・青年教師派遣開始年 1996年
(ロ)コース種別
主専攻、観光学科、言語学科、選択科目、別キャンパス、夜間
(ハ)現地教授スタッフ
常勤12名(うち邦人5名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   主専攻で各学年40名程度
(2) 学習の主な動機 日本が好き、日系企業で働きたいなど。
(3) 卒業後の主な進路 主専攻のほとんどの学生がタイ国内日系企業に就職
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験2級合格程度
(5) 日本への留学人数 数名

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