世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) タイ中北部の高校における日本語教育(2006)

ウドムダルニー校
吉川 景子

合同日本語キャンプ(ピサヌローク)の写真
合同日本語キャンプ(ピサヌローク)
日本語キャンプ(スコータイ遺跡にて)の写真
日本語キャンプ(スコータイ遺跡にて)

ウドムダルニー校はタイの中北部、スコータイにある中高一貫の学校です。去年からこの学校に配属され、タイ人日本語教員といっしょに日本語の授業を運営しています。中学生は決められたクラスが、高校生はフランス語を専門科目に選んだ学生が必修科目としてそれぞれ週2時間学んでいます。日本語は専門科目ではなく、「選択肢を増やしたい、外国語教育に力を入れたい、異文化に触れさせたい」という学校の方針からカリキュラムに取り入れられています。タイでは日本のポップカルチャーの人気で、日本や日本文化に興味を持っている学生がたくさんいます。学生に実務的なコミュニケーション能力を求めることはできませんが、日本語の授業を通して、日本や日本語にもっと興味を持ってもらうことはできます。

私はこの学校だけでなく、タイ中北部で日本語教育が行われている中等教育機関、約11校を担当しています。日本人が常駐していない学校を中心に学校訪問を行い、授業の見学・サポートをしています。日本人に実際に会うチャンスが少ない地方では、日本人が来たというだけで、学生のモチベーションが上がります。

タイの学校は行事が多く、どの学校も外国語キャンプが企画されます。日本語キャンプも各学校で企画され、日本文化を体験したり、日本語を使ったゲームをしたり、日本料理を作ってみたりします。この時はタイ人、日本人問わず、地域にいる日本語教員が集められ、協力します。1つの学校だけでなく3-4校で企画された日本語キャンプは教員同士、学生同士、いい交流の場となり、地域のネットワークを作るのに貢献しています。まだこの地域には日本語の各種コンテストのようなものは企画されていませんが、将来、各学校の日本語教育がさらに発展し、学生のレベルが上がってくればどんどん企画されることでしょう。

地方では学生だけでなく、教師もクラス以外で日本語を使う機会がほとんどなく、自分の日本語能力を維持するのに苦労しています。2005年度後期からピサヌロークという町でタイ人教員に対し、教師研修を行っています。月に2回行い、主に教員の日本語能力を伸ばすことを目標としています。先生たちは各学校から勤務日である金曜日に許可をもらい、日々の学校業務に追われながら、車で1時間ちょっとかけて通ってきており、本当に大変だと思います。勉強する場としてだけでなく、定期的に日本語教員が顔をあわせることができるという点でもいい機会になっています。いろいろな活動について情報交換ができます。お互いアドバイスをしたり、物の貸し借りもしています。

現在はまだ確たるネットワークはできていませんが、今後のさらなる発展に期待し、私たちもサポートしていきたいと思っています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
本校は国立の6年制中等学校である。2002年度からフランス語を専門とする学生に対して必修科目として開講。ジュニア専門家は日本語クラスをタイ人教師と協力して運営している。それ以外の業務として(1)タイ中北部の日本語教育実施中等教育機関への学校訪問および情報収集、(2)同地域のタイ人日本語教員に対する研修、(3)同地域における日本語教員のネットワーク構築への協力、などがある。
ロ.派遣先機関名称 ウドムダルニー校
Udomdarunee School
ハ.所在地 Tambon Thanee, Muang District, Sukhothai 64000 Thailand
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
外国語学科
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2002年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2005年
(ロ)コース種別
必修(週2時間)、課外活動(週1時間)
(ハ)現地教授スタッフ
常勤2名(うち邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   中2:56、中3:49、高1:89、高2:51、高3:37
(2) 学習の主な動機 学校の方針
(3) 卒業後の主な進路 大学進学
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験4級を受験可能な程度
(5) 日本への留学人数 なし

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