世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 東北地方の中等教育

ウドンピッタヤヌクーン校
太原ゆか

東北地方

 タイは大きく4つの地方に分けられます。北部地方、中部地方、南部地方、東北地方です。東北地方はタイの面積の3分の1を占める広範な地域です。なので、さらに、北部と南部の二つに分けられることもあります。

ウドンタニ

「朝礼、始まるよ!」の写真
「朝礼、始まるよ!」

 東北地方北部の中核都市。ベトナム戦争の時にアメリカ軍の基地があったため、他の都市に比べ在住欧米人が多いです。おかげで、インターネットや衛星放送などのサービスが比較的整っていて、そこそこ快適な生活ができます。
  私は、この町にあるウドンピッタヤヌクーン校を拠点に、東北地方北部における中等教育支援を行っています。

ウドンピッタヤヌクーン校

「ごはん、ごはん!」 生徒でごった返す食堂の写真
「ごはん、ごはん!」 生徒でごった返す食堂

 創立107年の国立の中等学校です。中等部と高等部あわせて、生徒は5,300人以上、先生も約300人います。朝礼は校庭を埋め尽くして行われます。また、昼休みは中等部と高等部で時間が違います。食堂が小さく、全員で昼食をとることができないからです。2学期制で、5月中旬から10月上旬までが前期、10月下旬から3月上旬までが後期です。
  高等部には各学年1クラスずつ日本語クラスがあります。M4(高等部1年)とM5(高等部2年)は週に5時間、M6(高等部3年)は7時間、それから、日本語クラブが1時間。全部で18時間ある日本語の授業をタイ人の先生が一人で教えています。
  私はこの学校で、日々の授業に対するアドバイスを中心に行っています。今年から、コンケン大学の教育実習生(日本語専攻)を二人受け入れているので、実習生に対する指導方法のアドバイスも行っています。

土曜研修

 ウドンピッタヤヌクーン校の一室を借りて、近隣県の中等学校の先生を対象に、研修を行っています。隔週で前期8回、後期8回、中級レベルの日本語と教授法などを教えています。また、先生同士で困っていることや教え方のアイデア交換の場となるように、工夫しています。

学校訪問

 日本語を教えている各学校を回り、授業に関するアドバイスをしたり、生徒が生の日本語に触れる機会を作ったりします。私が担当している地域には全部で25校あります。遠いところでは、バスで片道5時間くらいかかります。ですから、1年に1回しか訪問できないところもあります。

活動の目標と課題

 タイでは、一人で日本語を教えているタイ人の先生がたくさんいます。特に東北地方では、首都バンコクからは遠く、それぞれの町も離れているので、先生同士の行き来も難しく、孤軍奮闘しているのが現状です。
  そんな先生方を支援するために、土曜研修と学校訪問を実施しているのですが、順風満帆というわけではありません。
  日々の授業で忙しい先生方がバスで何時間もかけて、隔週で研修に通う、というのは、並大抵の努力ではできません。家庭の事情もありますし、学校の行事などで欠席せざるを得ない場合もあります。また、学校訪問も、週1校ペースで訪問しても25週かかるわけですから、頻度を増やすのも簡単ではありません。
  担当地域ではない東北地方南部も含めた、東北地方全域への支援について、この地域にあった支援方法を今後考えていきたいと思っています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
本校は、タイ東北地方北部にある、中高一貫(中等部3年、高等部3年)の中等学校である。高等部では、1998年に選択科目として、現在は専門科目として、日本語クラスが開講されており、ジュニア専門家はタイ人教員の授業運営に協力している。その他、地域支援として、(1)派遣地域で日本語教育を行っている中等教育機関への学校訪問および情報収集、(2)同地域のタイ人日本語教員に対する研修、(3)同地域と隣国ラオス間のネットワーク構築への協力、などを行っている。
ロ.派遣先機関名称 ウドンピッタヤヌクーン校
Udonpittayanukoon School
ハ.所在地 77 Srisuk. Rd., A. Muang, Udonthani 41000 Thailand
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
外国語部
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1998年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2006年
(ロ)コース種別
専門科目(週5コマ)、クラブ活動(週1コマ)
(ハ)現地教授スタッフ
常勤2名(うち邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   高1:52名、高2:48名、高3:45名
(2) 学習の主な動機 日本のポップカルチャーへの興味
(3) 卒業後の主な進路 大学進学
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験3級受験可能
(5) 日本への留学人数 ほとんどなし

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