世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) タイ東北部の日本語教育支援とは?

国際交流基金バンコク日本文化センター(東北部地域中等教育機関)
武井 康次郎

タイの車窓からの写真
タイの車窓から

 タイ、ウドンターニーへ来て、早一年が過ぎました。タイは暑いというイメージがあるかもしれませんが、ウドンターニーはタイの東北部にあり、毎年11月から2月までの乾季になると、朝晩は涼しく、最低気温が12,3度ぐらいまで下がります。しかし、日中は30度近くまでなり、寒暖の差が激しく、体調管理にも気を遣います。

 なぜこのような東北部で日本語教育支援をしているかというと、この地域はとても広く、日本語を教えている中等教育機関が70校ほどもあるからです。私は自分で車を運転して、東北部にある高校を回ります。遠いところは、6時間から7時間ぐらいかかります。訪問先は日本人教師がいないところがほとんどで、私を見て「初めて日本人を見た!」と言って、驚く学生も少なくありません。

 タイ東北部では日本人教師は貴重な存在なので、私が訪問した機会を使って、インタビューをしたり、雑談をしたり、また、授業をしたりします。授業後にタイ人の先生から「そのやり方を教えてください」「その教具はどこで買いましたか」などの質問を受けたとき、私はとてもやりがいを感じます。しかし、残念ながら、そのようなことはめったにありません。タイでは講義式の授業スタイルが多く、コミュニケーション中心の授業がまだ多くありません。タイ人の先生は「会話中心の授業がしたい」と言っていますが、どうやって授業をしていいかわからないのが現状のようです。

 現在、私はコンケン大学の専門家と協力して、コンケン大学教育学部の教育実習生のためにセミナーを開催しています。実習生は将来、日本語教師になることを目標としています。セミナーではコミュニケーション中心の授業について講義したり、ワークショップを行ったりしています。実習生たちが将来、日本語教師になり、コミュニケーション中心の授業をすることを期待しています。このセミナーには、現役の日本語教師も参加可能です。しかし、現役の教師は業務が忙しく、なかなか参加してもらえません。多くの現役教師に参加してもらえるかが今後の課題です。

案内はタイ語と英語の写真
案内はタイ語と英語

 セミナーなどのお知らせは、メーリングリストを使って行っています。これはタイ東北部の日本語教師の情報交換のためにはじめたものです。現在ではタイ人教師、日本人教師合わせて100名ほどの日本語教師が参加しています。これにより様々な情報交換を行いますが、メールの投稿者のほとんどが日本人教師です。タイ語、日本語どちらで投稿しても構わないのですが、タイ人教師はタイ語での投稿を遠慮しているようです。また、日本語での投稿は自信がないという人も少なくなく、それが、タイ人教師の投稿が少ない原因ではないかと考えています。しかし、メールは見ているようで、「このあいだのメール見ました」と声をかけられます。とにかくメールを見ていてくれればいいのか、それとも投稿してもらえるようにしなければいけないのか、私自身も悩んでいるところです。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, Bangkok
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
主な配属校であるウドンピッタヤヌクーン校(Udonpittayanukoon School)は、国立の6年制中等学校である。1998年に選択科目として開講、現在は専門科目として開講されている。専門家は日本語クラスをタイ人教師と協力して運営している。それ以外の業務として(1)タイ東北部の日本語教育実施中等教育機関への学校訪問および情報収集、(2)同地域のタイ人日本語教員に対する研修、(3)同地域のネットワーク構築などがある。
所在地 77 Srisuk. Rd., A. Muang, Udonthani 41000 Thailand
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
外国語部
日本語講座の概要
沿革
講座(業務)開始年   1998年
国際交流基金からの派遣開始年 2006年
コース種別
専門科目(週5コマ)、クラブ活動(週1コマ)
現地教授スタッフ
常勤2名(うち邦人1名)
学生の履修状況
履修者の内訳   高1:40名 高2:20名
高3:19名 (2011年度)
学習の主な動機 日本のポップカルチャーへの興味
卒業後の主な進路 大学進学
卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験N5受験可能
日本への留学人数 ほとんどなし

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