世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 進出する日系企業への就職を目指して

ベトナム日本人材協力センター(ホーチミン)
藤井 明子

 ベトナム南部地域には、現在、416社の日系企業(ホーチミン日本商工会登録数2008年4月末現在)が進出しています。またベトナム企業でも、日本語が使える人材を求めています。毎年12月に行われる日本語能力試験の受験生が年々増加しているのも、就職・転職に日本語能力試験の2級(ITエンジニアの場合には3級)合格が求められているからです。2007年度にはホーチミン会場だけで、8,000人以上の人が同試験を受験しました。

 ベトナム日本人材協力センター・ホーチミン(以下VJCC-HCMCと略)でも、この流れを受け、ビジネスコース(日本的経営等中心にベトナム語で講義)と日本語コースでの実務コース(ビジネス日本語やビジネスライティング)の充実が図られています。と言っても、基礎的な日本語の力がなければ職場で使う敬語の練習などしても効果がありませんので、日本語コースでは初中級から中級にかけての会話のクラスも行っています。「中級を始めよう(初級総復習)」-「ぺらぺら(中級前半会話)」-「すらすら(中級後半会話)」と会話クラスを継続して受講している受講生もいます。

日本語教育セミナーの写真
日本語教育セミナー
第14回ホーチミン市スピーチコンテストの写真
第14回ホーチミン市スピーチコンテスト

 また、VJCC-HCMCでは、日本語教育専門家が担当する「日本語教育教授法」クラスを開講しています。受講生が参加しやすいよう、週1回(日曜日)、3週間~1ヶ月のコースが中心ですが、継続していくつかのコースを受講し、自らの授業を振り返る機会を持ってもらえたらと思っています。常時、教授法クラスを開いており、学びたいと思った時にいつでも参加できるのが理想と考えて継続的に実施しています。

 日本語教師の数も、日本語教育機関の増加に従って年々増えています。しかしながら、教師の絶対数が不足しているので、一人の教師が複数の機関を掛け持ちしているのが一般的です。掛け持ちの教師がとても多く、調査をしても実態を掴むのは非常に困難です。掛け持ちにはむろん教師の給与が低い等、待遇面での問題もありますが、南部地域では、全体的な教師不足、殊に中上級以上を担当できる教師不足が主要因となっています。

 ベトナム南部地域での日本語教育状況の一端を知るには毎年5月第2日曜に開催される「ホーチミン市日本語スピーチコンテスト」をご覧いただくのがいいでしょう。VJCC-HCMCもスピーチコンテストの実行委員会に加わっています。このコンテストに参加することは、地域日本語学習者の目標の一つになっています。年々増加する日本語学習者の期待に応えられるよう、同コンテストが継続・発展していくために何ができるか、実行委員会参加校を中心に検討しています。そのような活動を支援することも日本語教育専門家の仕事です。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
JICA(国際協力機構)の市場経済移行国支援プロジェクト日本センターの一つ。
ベトナム南部における日本語教育モデル校となると同時に、日本語教師研修も行いホーチミン市に優良日本語教師を輩出する役割も果たす。
また、市内日本語教師ネットワークの維持・強化のためにも注力。通常は、一般日本語コースの開講のほか、ビジネス日本語コースなども行い、日系企業で即戦力となる人材育成をサポート。
他、付属図書館は日本語関連リソースセンター機能を持つ。
ロ.派遣先機関名称 ベトナム日本人材協力センター(ホーチミン)
Vietnam-Japan Human Resoueces Cooperation Center
ハ.所在地 15, D5 Road, Van Thanh Bac, Ward 25, Binh Thanh Dist.,
Ho Chi Minh City, VIETNAM
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家1名(現在3代目、計3名)
日本語教育指導助手1名(現在2代目、計2名)
ホ.アドバイザー派遣開始年 2002年

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