世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) より良い授業のために -教師研修-

国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(南部担当)
伊藤 聡子

 ホーチミン市の中学校で日本語教育がスタートして5年が経ち、現在約850名の生徒が3つの中学校と2つの高校で、日本語を学んでいます。毎年、約200名の中学1年生が新たに日本語を勉強することから、今年の9月の新学期には、ホーチミン市の中等教育機関で日本語を学ぶ生徒は1000名を超えるはずです。

 生徒が増え、日本語教育実施中学・高校が増えるにつれて、日本語教師の確保と質の向上が大きな課題となります。

 ここでは、現職のベトナム人日本語教師への支援一つである「教師研修」について、ご紹介したいと思います。

教師研修の様子の写真
教師研修の様子

 1年に1回、ベトナムの4都市(*1)(ハノイ、フエ、ダナン、ホーチミン)の中学校および高校で日本語を教えている教員が集まり、全国研修を実施します。講師は教科書制作を担ったベトナム人の大学教師や国際交流基金からハノイとホーチミンに派遣されている専門家と指導助手です。講義、ディスカッション、演習などを通して、新しく使用される教科書の内容をしっかりと理解し、9月の新学期に備えます。また、この全国研修の他に、各都市(*2)でフォローアップ研修を学期に1回ずつ実施し、全国研修で詳しく触れられなかった細かいところをより丁寧に、かつ具体的に取り上げます。

 ホーチミン市でも9月と2月に実施しました。モットーは「明日の授業にすぐ使える」こと。研修で学んだことがすぐ授業に生かせるように、具体的な導入や練習の方法や教材・プリントの作成方法なども取り上げます。普段は別々の学校で教えている先生同士をペアにし、導入や練習の方法を考え、発表してもらうことで、新しい方法を発見してもらうこともねらいの一つです。

毎年恒例の「ひらがなコンテスト」の写真
毎年恒例の「ひらがなコンテスト」

 そして、今年はJENESYSプログラム(*3)から、若い日本人教師が派遣されています。この日本人教師がフォローアップ研修に参加したことにより、昨年の研修とは違い、「日本人=教える人」「ベトナム人=教わる人」という関係ではなく、一緒に授業をしていく同志のような関係が双方に生まれた気がします。それぞれの持っている能力を十分に生かし、1+1を2以上のものにするために、研修や日々のティームティーチングを通して、互いに成長していきたいと思っています。

 そして、このように教師も日々学んでいるという姿が生徒たちにも伝わり、よい効果を生んでくれることと期待しています。

  1. (*1)4都市:この4都市の中学校には中等日本語教育プロジェクトのモデル校がある。
  2. (*2)中部のフエとダナンは合同で行われる。
  3. (*3)JENESYSプログラム:「21世紀東アジア青少年大交流計画」安部元首相により提言された東アジアの青少年の相互交流プログラム。
派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
ベトナムは中等教育段階における外国語科目として日本語の導入を検討しているが、レクイドン中学校はその導入に先立つ試行教育を実施するホーチミンにおける最初のモデル校である。ジュニア専門家は、国際交流基金ベトナム日本文化交流センター所属のホーチミン担当として、ベトナム人教員とティームティーチングで授業を担当するほか、教師育成や、教育訓練局・学校と協力し教育環境の整備に携わる。
ロ.派遣先機関名称 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(ホーチミン担当)
The Japan Foundation Center for Cultural Exchange in Viet Nam
ハ.所在地 No. 27 Quang Trung Street, Hoan Kiem District, Hanoi, Viet Nam
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
レクイドン中学校 Le Quy Don Secondary School
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2004年9月から
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2005年
(ロ)コース種別
第一外国語科目
(ハ)現地教授スタッフ
常勤4名(うち邦人2名:ジュニア専門家、JENESYS若手日本語教師)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   9年生:77、8年生:87、
7年生:75、6年生:107
(2) 学習の主な動機 日本への興味
両親の意向
(3) 卒業後の主な進路 高校へ進学
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験4級レベル
(5) 日本への留学人数 なし

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