世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ベトナム南部地域での日本語教育

ベトナム日本人材協力センター(ホーチミン)
平岩 桂子

セミナーの様子の写真
セミナーの様子

 ベトナムの日本語学習者は約3万人、そのうち6割に当たる約1万8千人がホーチミンを中心とするベトナム南部地域の日本語学習者です(国際交流基金2006年日本語教育機関調査)。南部地域の日本語教育の特徴は民間日本語学校が多いこと、また、日系企業の進出が盛んで、「日系企業への就職」を学習動機として挙げる学習者が多いことです。

 ベトナム日本人材協力センター・ホーチミン(Vietnam-Japan Human Resources Cooperation Center-Ho Chi Minh City、以下VJCC-HCMC)は、はベトナムの市場経済化に必要とされる人材の育成、日越間の相互理解及び友好関係の促進を目的として設立されました。ビジネスコース・相互理解促進事業・日本語コースの3部門を柱としており、筆者は日本語コースにおいて「日本語コース運営」「教師育成」「教師ネットワーク支援」等を行っています。

 VJCC-HCMCでは「日本語能力試験N1・N2対策コース」「オフィス日本語」などを夜間に開講しています。学習者のために日本語学習の場を提供することはもちろん、現地講師育成のため、相互の授業見学を通じて、教授力ブラッシュアップの機会ともなっています。筆者自身の授業にも、授業見学が入ることが多いのですが、授業後のフィードバックで、当初は「良かったです」というコメントだけだったのが、続けていくうちに、最近では「どうしてこのような方法を使ったのか」「このようにしてはどうだろう」というように疑問点やアイディアも出てくるようになり、また、「見学した時に見たやり方を自分の授業でも取り入れてみた」という先生も出てきて、先生方の成長を感じることができます。

2010年ホーチミン市日本語スピーチコンテストの写真
2010年ホーチミン市日本語スピーチコンテスト

 地域の教師支援の一環として、教授法セミナー開催、教師向け日本語コースの開講、勉強会支援等を行っています。南部地域ではホーチミン市内でしか行われてこなかったセミナーでしたが、2009年にホーチミンから車で5時間程のところに位置するカントーで初めて日本語教育セミナーを開催しました。若手を中心とした先生方の「教え方を学びたい」という熱気を感じ、ホーチミン以外でも日本語教育が広がりつつある様子を垣間見ることができました。また、2010年5月には、現地の日本語教師を講師とする教授法セミナーを初めて開講し、セミナーの現地化の第一歩となりました。

 最後に、毎年開催される「ホーチミン市日本語スピーチコンテスト」についてご紹介します。このコンテストは大学や日本語学校の日本語教師が実行委員として運営を担っており、来場者数が700人を越える大きなイベントとなっています。半年以上かけて、週末を使って準備を重ねるのは大変なこともありますが、コンテスト当日に生き生きと発表する学生の姿を見ると、日本や日本語への熱い思いを感じることができます。今後もコンテスト運営を通じて少しずつ現地日本語教師のネットワークが広がり、深まっていくこと、また、学習者の発表の場が続くことを願っています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Vietnam-Japan Human Resources Cooperation Center
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
JICA(国際協力機構)の市場経済移行国支援プロジェクト日本センターの1つ。ベトナム南部における日本語教育モデル校となると同時に、日本語教師向け研修やセミナーを開催し、ホーチミン市に優良日本語教師を輩出する役割も果たす。また、市内日本語教師ネットワーク維持・強化のためにも注力。通常は日本語能力試験1・2級対策コース、ビジネス日本語コースなどを開講している。
他、付属図書館は日本語関連リソースセンター機能を持つ。
所在地 15,D5 Road,Van Thanh Bac,Ward 25,Binh Thanh Dist., Ho Chi Minh City,Vietnam
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2002年

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