世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 高校での第一外国語履修スタート

国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(ホーチミン担当)
伊藤 聡子

 2009年8月から、ホーチミン市の3つの高校で第一外国語としての日本語の授業が始まりました。すでに前年に課外授業としての履修は始まっていましたが、これで本格的に高校での日本語教育がスタートしました。現在3つの高校あわせて約100名の高校1年生が中学校から続く7年一貫 (※1)のカリキュラムで日本語を勉強しています。

※1 ベトナムの学校教育制度は小学校5年-中学校4年-高校3年。7年一貫というのはそのうち、中学校4年間と高校3年間をいう。

今日は私が先生ですの写真
今日は私が先生です!

 日本語学習5年目ともなると、生徒たちは日本語で授業を受けることにも、また日本語で自分の意見を発表することにも慣れてきています。これは中学生のときから、教室のなかで日本語を使って様々な活動をし、ベトナム人教師も積極的に日本語を使って授業をしてきての結果です。このような積み重ねが高校生になって花開き、日本語そのものを勉強することはもちろん、勉強した内容を使って自分の意見を発表したり、友だちの意見にコメントしたりすることができるようになってきています。

ポスター発表(作品)の写真
ポスター発表(作品)

 そのために私たち教師は様々な工夫を凝らして、生徒たちが日本語を使いながら、楽しく勉強できるように授業を計画し、準備しています。生徒たちも学級新聞を作ったり、与えられたテーマについて調べて日本語でポスターを作ったりして発表するなどのグループ活動にとても意欲的に取り組んでいます。ある高校では、テスト前の復習の時間に「生徒による日本語の授業」を取り入れています。高校1年生では1学期に6課、1課につき2つの文法項目と4、5個の新しい漢字を勉強しています。それを生徒たちがグループになり1課を担当し、資料を作り、黒板に板書をして、授業をします。生徒たちは日本語やときにベトナム語も交えて、一生懸命説明したり、質問したり、それに答えたりします。その様子を見ていると、この中の誰かが日本語の先生になって、何年後かにこの場所に立って授業をするのもそう遠くないことではないかと感じます。そのためにも、日々の授業が生徒たちにとって楽しく、そして魅力あるものであるようにしたいと思っています。同時に、高校生がこのように日本語を使って様々な活動ができるようにするためにも、6年生 (※2)のうちから「日本語を使う」機会をたくさんつくり、「何のために日本語を勉強するのか。(→使うために、日本語でコミュニケーションするために日本語を勉強するのだ。)」いうことを明確にしていきたいとも思っています。

※2 6年生=中学校1年生。ベトナムでは12年間の初等中等教育における学年を1年生から12年生と呼ぶことが多い。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(ホーチミン担当)
The Japan Foundation Center for Cultural Exchange in Viet Nam
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国際交流基金の海外拠点の一つとしてハノイに設置された。
日本語教育支援事業を中心に、様々な文化交流事業を実施している。日本語教育支援事業の中心に、ベトナム教育訓練省と在ベトナム日本国大使館が実施する「ベトナムの中等学校におけるモデル的な日本語教育プロジェクト」がある。具体的には、中等学校教師向け教師研修の実施、教科書制作、モデル中学・高校でのティームティーチング、巡回指導などが挙げられる。また、ベトナム全土の日本語教育実施状況について情報収集を行っている
所在地 27 Quang Trung, Hoan Kiem, Hanoi, Viet Nam
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2008年

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