世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ホーチミン市での活動報告

国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(ホーチミン担当)
小松原 奈保

ベトナム・ホーチミン市

VJCC-HCMCの事務室の写真
VJCC-HCMCの事務室

 南北に長いベトナムの日本語学習者は約4万4千人、そのうち約4割がホーチミン市を中心とするベトナム南部地域の日本語学習者です(国際交流基金2009年日本語教育機関調査)。ホーチミン市では、2010年7月から、ベトナム日本人材協力センター・ホーチミン(Vietnam-Japan Human Resources Cooperation Center-Ho Chi Minh City、以下VJCC-HCMC)に国際交流基金ベトナム日本文化交流センター日本語専門家事務室(以下、事務室)を置き、業務を行っています。

ベトナム中等学校におけるモデル的な日本語教育プロジェクト

 2003年、日本とベトナム両政府の合意に基づき、「ベトナム中等学校におけるモデル的な日本語教育プロジェクト (以下、中等プロジェクト)」が開始しました。この中等プロジェクト支援が私の主な業務です。

①授業

グループ活動が大好きの写真
グループ活動が大好き

 高校ではチームティーチングの形でベトナム人教師といっしょに授業に入ります。授業の前にはベトナム人教師の書いた教案を、いっしょに練り直しで授業に向かいます。授業では私たちが予想する以上に盛り上がることもしばしばです。ある日の授業では一つも教科書の模範解答と同じものが出ませんでした。これは生徒たちが日本語を間違ったわけではなくて、教科書の模範解答と同じなんてつまらないと思い、わざとクラスメートを笑わせる答えを発表したためです。このように、授業中は生徒たちが積極的に創造的な活動を行っています。

②教師研修

 ホーチミン市では1ヶ月に約2回の「ミニ研修」を開催しています。ミニ研修では高校の教科書の教え方や、クラスアクティビティ、文化紹介の仕方などを勉強します。文法などの勉強の時は、質問も出て真剣に勉強しますが、練習の時間になるとベトナム人教師が高校の生徒に負けない珍回答で参加者を笑わせます。また教師の立場から、活動をよりよくするためのアイデアが次々と出されます。

 VJCC-HCMCの事務室で授業準備をするようになり、研修の回数も増えたことで、教師が顔を合わせる機会が増え、以前にも増して教師同士が仲良くなりました。この成果が、中学、高校での授業に現れていると感じます。

③今後の課題

 2012年8月には、正規の授業で日本語を勉強した高校生が大学に進学します。日本語の大学入試試験や、大学における日本語既習者クラス設置など、まだまだ解決しなければならない問題がたくさんあります。中等プログラムで日本語を勉強した生徒が日本語で大学に進学し、その後も継続して日本語学習ができる環境を整備できるよう各方面に働きかけていくことも私の大切な業務です。

ベトナム南部地域の教師支援

 最後に、ベトナム南部の教師支援について報告します。現在はホーチミン市や近郊の日本語教育機関を訪問したり、毎年行われるホーチミン市日本語スピーチコンテストの実行委員に参加するなどして教師間ネットワーク形成の支援をしています。ベトナムは平均年齢28歳(※1)の国です。どの機関を訪ねても、ベトナム人の若い先生ががんばっていると感じます。どんな形で南部の若いベトナム人教師を支援できるのか、これが私の今後の課題です。

※1 CIAThe World Factbook より
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/fields/2177.html

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation Center for Cultural Exchange in Viet Nam
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国際交流基金の海外拠点の一つとしてハノイに設置された。
日本語教育支援事業を中心に、様々な文化交流事業を実施している。日本語教育支援事業の中心に、ベトナム教育訓練省と在ベトナム日本国大使館が実施する「ベトナムの中等学校におけるモデル的な日本語教育プロジェクト」がある。具体的には、中等学校教師向け教師研修の実施、教科書制作、モデル中学・高校でのティームティーチング、巡回指導などが挙げられる。また、ベトナム全土の日本語教育実施状況について情報収集を行っている
所在地 27 Quang Trung, Hoan Kiem, Hanoi, Viet Nam
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2008年

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