世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 高等教育機関を取り巻く新しい動き

バクー国立大学
村木 佳子

アゼルバイジャン言語大学に開設された日本センターの写真
アゼルバイジャン言語大学に開設された日本センター。
今後、一般講座も開講予定。

2011年9月、アゼルバイジャン言語大学(以下、言語大)国際関係学部の日本専攻で日本語教育が始まりました。これまで大学で日本語を専門に学びたい場合、バクー国立大学(以下、国大)しか選択肢がなかったことを考えると、これはアゼルバイジャンの日本語教育にとって大変大きな出来事と言えるでしょう。それから2年が経過した今、この出来事はいろいろなところに変化を起こしています。

バクー日本語弁論大会が盛大に

「バクーで日本語を学ぶ大学生」が参加して毎年秋に行われるこの大会。2012年10月の大会から新2年生になった言語大の学生たちも参加し、日本語主専攻2大学が揃った初めての大会となりました。大会を通して両大学同士の学生たちが親しげに交流する姿が見られたのも印象的で、後輩を応援に来た卒業生からもアゼルバイジャンの日本語教育の盛り上がりを喜ぶ声が聞こえました。

会話クラブも大所帯に

会話クラブのメンバーカード。シールを全部集めると、素敵なプレゼントが…の写真
会話クラブのメンバーカード。
シールを全部集めると、素敵なプレゼントが…

在外公館や在留邦人の方々にご協力いただき、日本語を学ぶ大学生と日本人の交流の場として月に1回バクー日本語会話クラブを開催しています。今年は学生リーダーに「楽しいクラブ」を目指そうとアドバイスを行い、メンバーカードを作ったり、カスピ海の遊覧船の上で行ったりするなど、アゼルバイジャン人学生も日本人も共に楽しめる要素を取り入れた活動に挑戦しました。こちらも弁論大会と同様、これまで国大の学生だけが参加していましたが、去年から少しずつ言語大の学生も参加するようになり、今では日本人も含めた参加者数は毎回30名を超えるまでになりました。

新しい問題が

盛り上がりを見せている上記2つの行事ですが、一方で問題も出てきています。例えば、これまでの弁論大会は希望すれば大体参加できましたが、「バクーで日本語を学ぶ大学生」の数が確実に増えてきているため、円滑な大会運営のためには参加条件の見直しや事前選考による参加者の絞り込みなどが必要になりました。そこで、現在、アゼルバイジャン人日本語教師と協力し、参加条件の見直しや大会運営方法の再検討を行なっています。また、会話クラブも参加者数がさらに増えた場合、会場の検討を含めた運営体制の見直しが必要ではないかと学生たちと話しています。

これからの課題

これらの行事以外では、言語大の日本語教員の支援が目下の課題です。来年9月には4学年が揃うことに伴い、大学側は段階的に新規教員採用を計画しています。現在も週1回の機関訪問と授業見学・アドバイスを行なっていますが、これからさらに教授経験が少ない教員への指導・研修が求められています。

秋からは、また新しい年度が始まります。現地の先生たちや学生たちと共に問題を乗り越え、笑顔が1つでも多くより魅力的な日本語教育現場作りに精一杯取り組んでいきたいと思っています。これからも楽しい試行錯誤は続きます。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Baku State University
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
バクー国立大学は、日本専門家を育成するべく、日本・日本語に関する専門を学ぶことができる国内唯一の高等教育機関であり、その知名度の高さから、アゼルバイジャン国内全体における日本語教育の中心的役割を担う。派遣先機関での専門家の役割としては、学習者、教師の日本語能力の向上、学習環境やカリキュラムの整備、日本語教育関連事業への協力などである。その他に、中等教育機関やアゼルバイジャン言語大学での日本語コースへの支援や訪問指導、在留邦人と日本語学習者とのコーディネートなども行なう。
所在地 23 Z.Xalilov St., Baku, Azerbaijan
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
東洋学部 極東言語・文学科 日本語講座
日本語講座の概要
沿革
講座(業務)開始年   2000年
国際交流基金からの派遣開始年 2001年
コース種別
専攻
現地教授スタッフ
常勤4名(うち邦人0名) 非常勤3名(うち邦人0名)
学生の履修状況
履修者の内訳   34名(1年10名 2年5名 3年9名 4年10名)
学習の主な動機 日系企業への就職希望、日本文化への興味
卒業後の主な進路 日系企業就職、大使館就職、大学院進学、一般企業就職等
卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験N2受験可能なレベル
日本への留学人数 年に3~5名程度

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