世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ベラルーシ国立大学で日本語を学ぶ

ベラルーシ国立大学
渡辺 裕美

 日本から8000km離れたベラルーシで、数年前から静かな日本ブームが起きています。街ではスシを提供するレストランが数多く見られます。そして、映画館では邦画や日本のアニメが上映されることもあり、客席は大勢の人で賑わっています。また、ロシア語に翻訳された日本文学も書店で簡単に入手できます。

 そんなベラルーシで日本語教育の中心的役割を担っているのがベラルーシ国立大学です。ベラルーシ国立大学では東洋学専攻日本語日本研究コースと、国際経済専攻の2専攻の学生が日本語を第一外国語として学んでいます。2008年9月には、東洋学専攻と、国際経済専攻の2専攻に新入生を迎え入れ、17名の学生が日本語を学び始めました。2専攻同時に新入生を受け入れたのは日本語日本研究コース開設以来初のことで、現在2クラスの学生は切磋琢磨しあえる良きライバルとしてそれぞれ勉学に励んでいます。また、長期休暇を取っていた教師一名が復職し教師陣は五名体制となり、ベラルーシ国立大学の日本語教育は厚みを増しつつあります。

 ベラルーシ国立大学では、日本語以外にも文学、歴史、宗教など日本に関する幅広い知識の修得を目指したカリキュラムが組まれており、学生たちは日本留学や日本に関わりのある仕事に就くことを目標とし、知識技能の獲得に精励しています。

国際経済専攻の1年生と担当教員の写真
国際経済専攻の1年生と担当教員

 しかし、留学の機会は決して多いとは言えず、提携校である早稲田大学への留学と文部科学省の日本語・日本文化研修生のプログラム、国際交流基金の大学生日本語学習者訪日研修に限られています。さらに、日系企業がいまだ本格的に進出してきていないこの国において、卒業後日本に関わりのある仕事に就ける学生はほんの一握りに過ぎません。このような環境での日本語教育はどうあるべきか、これはなかなか難しい課題といえるでしょう。

  ここでの活動も一年が過ぎ、ベラルーシの日本語教育現場で必要とされるものが見えてきました。兼任しているミンスク国立言語大学との両大学での担当授業はもちろんですが、次年度は教師や学生からの要望が強い音声指導に力を注いでいきたいと考えています。そして、ベラルーシでの日本語教育の意義を教師および学生と共に考え、学生たちが日本語学習を将来への確かな足掛かりとして活かせるよう尽力したいと思います。

ベラルーシ日本語弁論大会

弁論大会出場学生の写真
弁論大会出場学生

 2008年9月、「第六回ベラルーシ日本語弁論大会」が開催され、熱のこもった弁論が繰り広げられました。この弁論大会は学習者が集いお互いに刺激を受け合う場として、また、日本語学習意欲を高める機会として、本国において欠かせない行事になっています。今回は7名の学生たちが日ごろの学習成果を存分に発揮しました。

 今大会では短い準備期間のなか、筆者以外唯一の邦人日本語教師と協力し合い次に繋がる指導体制が築けました。次回は現地の先生方との指導体制も整えつつ、優勝者の「CIS日本語弁論大会」入賞を目標に、ベラルーシの日本語教育関係者全員で盛り上げていける大会を目指したいと思います。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
当大学では、日本語・日本研究コースは、国際関係学部の中にある。国際関係学部は、ベラルーシの政治や外交の場面で活躍できる人材の輩出を目指している。そのため、当コースでも、日本の政治や経済、外交問題についても造詣が深い知日家を育成し、ベラルーシと日本との国家レベルでの交流を担う人材を輩出することを目指している。ジュニア専門家は週に5時間の授業を担当するとともに、他教師へのアドバイスなどを行う。
ロ.派遣先機関名称 ベラルーシ国立大学
Belarusian State University
ハ.所在地 St.Akademicheskaya, 25/404, Minsk, 220072, Belarus
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
国際関係学部東洋学講座
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2002年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2002年
(ロ)コース種別
専攻
(ハ)現地教授スタッフ
常勤4名 (うち邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   各学年10名程度、1年生のみ17名
(2) 学習の主な動機 「日本への憧れ」「難解な言語への興味」「日系企業への就職希望」
(3) 卒業後の主な進路 官公庁、国営・民間企業、留学など
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験1級受験可能な程度
(5) 日本への留学人数 各学年2~3名

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