世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ベラルーシ国立大学での活動(2010)

ベラルーシ国立大学
渡辺 裕美

 ベラルーシでの報告者の主な活動の一つが本大学での授業です。担当学年は1年生から4年生までで各学年1クラス1~3コマの授業を担当しています。またクラスや授業内容によってはいかに現地教員と連携をとっていくかが鍵となるものもあり、授業以外の各教員とのコミュニケーションも日々の業務には欠かせないものです。

クリスマスパーティーの写真
クリスマスパーティー

 ここでは、本年度入学した1年生について少し紹介しましょう。初級の学生というと「初めて日本語と日本に出会っての発見や、驚き」が多く、報告者も今日はどんな学生の表情が見られるかなと授業に行くのが楽しみなものです。今年度はその一年生が、私たち教員と他言語専攻の学生を招待してクリスマスパーティーを開いてくれました。日本語のクリスマスソングや劇・詞を覚えてアレンジし私たちに披露してくれたのです。歌や劇、詞には未習語彙や未習文法もあり覚えるのは難しかったはずなのですが、そんなことはお構いなく悠々と満足げに日本語を使って発表をしていました。たった4ヶ月でここまでできるようになったかと普段は学生が驚く様子を見ている側の報告者もこのときはいつもの学習者とかわらない表情をしていたことでしょう。このように学生の上達を日々感じながら喜びを分かち合えることはこの仕事の醍醐味です。

講師室での一場面の写真
講師室での一場面

 次に学生への指導以外の活動について紹介しましょう。今年3月に、本大学に在職する2名の教員と共にウクライナで開催された「ウクライナ国際公開シンポジウム」と「ウクライナ日本語教育セミナー」に出席しました。ウクライナでは報告者を含む本大学の教員3名がウクライナの先生方と共に日頃の研究成果や教育実践について発表してきました。これまでベラルーシの日本語教員が海外で行われる日本語教育関連の催しに参加できる機会といえば、CIS日本語弁論大会開催時に実施されているCIS日本語教師会に限られていましたが、国際交流基金からの助成もあり今回の参加を実現させることができました。日頃の研究成果の発表や、他国の教員との意見交換は今後のベラルーシでの研究活動や教育活動にとっても非常に有益なことです。国内全体で日本語教師が10数名しかいない小規模なベラルーシの日本語教育環境では、閉じた見方で物事を捉えてしまうこともあるでしょう。だからこそ今回のような機会を設けること、そして、それぞれの教員がその成果をベラルーシで還元していくことが今後も望まれます。

 各機関の日本語教育環境が整いつつある今、次はベラルーシで日本語教育に関わる教員がその一員として何ができるか、何を発信できるかということも考え始める時期にさしかかっているのではないでしょうか。これからも他国で開催される日本語教育関連のセミナーやシンポジウムへの参加、また国内でのセミナー開催そして日々の授業や学生との関わりを通して、ベラルーシの日本語教育環境が向上していくことを期待しています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 ベラルーシ国立大学
Belarusian State University
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
本大学の日本語・日本研究コースは、国際関係学部の中に設置されている。国際関係学部は、ベラルーシの政治や外交の場面で活躍できる人材の輩出を目指している。そのため、当コースでも、日本の政治や経済、外交問題についても造詣が深い知日家を育成し、ベラルーシと日本との国家レベルでの交流を担う人材を輩出することを目指している。専門家は週に6時間の授業を担当するとともに、他教師へのアドバイスなどを行う。
所在地 St.Akademicheskaya, 25/404, Minsk, 220072, Belarus
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
国際関係学部東洋学講座
ヘ.日本語講座の概要
沿革
講座(業務)開始年   2002年から
国際交流基金からの派遣開始年 2002年
コース種別
専攻
現地教授スタッフ
常勤4名 (うち邦人1名)
学生の履修状況
履修者の内訳   各学年10名程度、2年生のみ17名
学習の主な動機 「日本への憧れ」「難解な言語への興味」「日系企業への就職希望」
卒業後の主な進路 官公庁、国営・民間企業、留学など
卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験1~2級受験可能な程度
日本への留学人数 各学年2~4名

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