世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ミンスク国立言語大学での活動

ミンスク国立言語大学
山口 覚

報告者が赴任してから2年が過ぎようとしています。赴任時から引き続き、派遣先からの要望でもある「ネイティブならではの生きた授業」を心がけています。

日本語クラスが拡充

2007年度以降ミンスク国立言語大学(以下、言語大学)では5年に一度募集される日本語主専攻2クラスのみでしたが、2012年度は日本語主専攻が3クラスに増え、さらに日本語副専攻が2クラス開講しました。これに加えて2013年度には選択科目の日本語コースが1クラス編成されました。赴任中に続々とクラスが増設されていくのを目の当たりにし、現地の日本語学習への潜在的なニーズを実感しています。大学の日本語コースの拡充傾向に日本語コースの講師全員の努力で対応しています。副専攻の学生からの「私たちも日本人の先生に教わりたい」という要望や、選択科目の日本語コースの学生からの「日本語の授業数がもっと増えるとうれしいのですが」などの声を聞くと、うれしさ半面、「今の教師数でどうやって……?」という悩み半面の、複雑な気持ちになります。日本語教師が不足しがちなベラルーシですが、継続的な支援でこの盛り上がりを維持しなければと感じています。

ベラルーシ日本語セミナー

セミナーの様子
セミナー
真剣に聞き入る現地の先生がた

例年9月に開催される弁論大会に併せ、本年度は「ベラルーシ日本語セミナー」が開催されました。ウクライナの日本語専門家にご講演いただいた他、準備にも大使館をはじめ言語大学の先生がたなど各方面からのご協力をいただき無事とりおこなうことができました。現職の大学の先生のみならず、既にご退官された先生や現地NGO日本語教室の先生や関係者まで広く参加いただくことができました。ベラルーシは在留邦人が非常に少ない上、国外から関係者をお呼びするような機会も少ないため、このようなセミナーが授業力の向上のみならず教師会等連携の今後の発展につながってくれれば良いと思います。

日本人ゲスト授業

昨年度からロシア語の勉強に来ている日本人留学生にゲスト授業をお願いしています。本年度はそれぞれのゲストに複数回参加をお願いしました。「来週はゲストを呼びますよ!」「ええっ!先生緊張しますっ!」「大丈夫。○○さんだから。もう友だちでしょ?」「あ。○○さんだったら大丈夫です(笑顔)」

同じゲストに何度も来てもらうことで授業以外でもつながりを持ってもらえるようにという目論見でしたが、それなりに成果があったようです。

日本語副専攻の学生がモスクワ国際学生弁論大会へ

タチアナさんの写真
モスクワ大会へ進んだタチアナさん

本年度の国内の弁論大会では副専攻クラス在籍の学生が優勝し、モスクワ国際学生弁論大会に進みました。学生は他の国から代表として参加してきている学生たちの日本語力に刺激を受けた様子です。学習奨励のための近隣諸国との連携の重要性を再認識させられました。今後も他の国で日本語を学ぶ学生たちとの接触の機会が増えるよう、また学生たちがこのような機会に積極的に参加し続けてくれることを願っています。

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