世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)新入生が入学しました

ベラルーシ国立大学
小野崎亮

ベラルーシで専門的に日本語学習ができるのは、首都ミンスクに設置されているベラルーシ国立大学とミンスク国立言語大学の二つの大学です。国際交流基金からベラルーシに派遣される日本語専門家はこの二つの大学が配属先となります。どちらもベラルーシでは大変権威のある大学です。ベラルーシ国立大学(以下国立大学)では造詣が深い知日研究者を育成し、ベラルーシと日本の国家レベルでの交流を担う人材を輩出することを目標としています。

1年生が入学しました

ガラス張りの新校舎の写真
そびえ立つガラス張りの新校舎

この数年国立大学では新入生の募集が行われていませんでした。派遣前の情報でも、今年新入生が入るかどうかはわかりませんと言われていました。教師不足が深刻で学生募集が毎年行えない。これが国立大学の抱える問題点です。ところが新学期が始まってみると日本語コースの時間割りには1年生の文字が!10人の新入生を迎えて新学期がスタートしました。

久しぶりの新入生に教員たちも大喜びでした。この新入生のために良い授業を提供したい。新しい何かに挑戦したい。特に会話の力がつくようにしてあげたいという意見。そこで1年生の会話の授業ではJFスタンダードとCan-doの利用を始めました。

話すことは怖くない

試験の写真
話すのは怖くない。でも試験はちょっと…。

JFスタンダードとCan-doのおかげでしょうか、1年生たちの話す力は驚く勢いで上達してきました。教員の意見は、「もっと話せるようになってほしい」のですが、4年生、5年生の先輩たちは後輩が日本語を話す姿を見て驚くばかり。また国立大学の日本人留学生が「道を歩いていたら学生さんたちが日本語を話しながら歩いていましたよ。すごいですね」と知らせてくださったこともあります。

日本人との交流だって勉強した言葉を使って積極的です。しかしベラルーシに来てくれる日本人は少ないです。せっかく勉強した日本語を使う機会は殆どありません。使う機会がないなら自分たちで使っちゃうのが今の1年生たちなのです。

教員みんな一丸となって指導に取り組んでいます

一生懸命勉強に取り組む学生たちの姿は私たち教員にとって大きな励みです。弁論大会の準備や、日頃の成果を発表できる小さな催しを企画したり、今はインターネットを利用してアメリカで日本語を学ぶ大学生との交流計画も動き出しています。さらにはもっと効果的な良い授業をしたいという教員たちのために勉強会を行ったり、公開授業を実施したりしています。国立大学から専門家には、学部生と大学院生に対する日本語と専門科目の講義、また教員たちの教授力と日本語力の向上のための支援が求められています。

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