世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)たくましく、もっとたくましく頑張ろう、日本語!

ベラルーシ国立大学
小野崎亮

ベラルーシ国立大学(以下、国立大学)では、2016年6月に第4回GUAM諸国合同日本語弁論大会を実施しました。またこの数年、ベラルーシ弁論大会の開催も国立大学で行っています。2017年3月に念願のリソースセンターが開設しました。そして7月にはベラルーシでJLPTが実施されます。国立大学がこれから当地における日本語教育の中心的存在になってくれると期待しています。

現在、国立大学では3年生の学生9人と1年生の学生12人が主専攻として日本語を勉強しています。

2016年は新一年生が日本語コースに入学しました。全員女子学生です。トルクメニスタンからの留学生も一人います。授業が始まった当初は「インテンシブに勉強したい」という意見と「じっくり勉強したい」という意見が対立し、あまりいい雰囲気でスタートできませんでした。しかし、今はどちらの意見の学生も「早く日本語が上手になりたい」と頑張っています。

3年生は遂に初級が終わり、中級に突入しました。現地の日本語教師が読解中心の授業を担当し、専門家は会話中心の授業を担当します。教科書は「まるごと中級」。大嫌いだった漢字はいつの間にか、無くてはならない存在となりました。先生の日本語が早くて分からないと嘆いていたのが、いつの間にか自分たちもペラペラと話すようになりました。堂々と日本語を話す姿はとても頼もしいです。

美しい朝焼け。冬の1時間目、教室の窓からの眺めです。の画像
美しい朝焼け。冬の1時間目、教室の窓からの眺めです。

ベラルーシに派遣され約3年となりました。国立大学の学生たちは高い日本語力があるのに、話すことを極端に嫌がるという傾向が見られました。また前任者からもそのような意見を引き継ぎました。しかし、3年生も1年生も言葉はコミュニケーションの道具であることに気づいてくれた様子で、話す事を楽しんで練習しています。また日本留学という夢に向かって色々なことにチャレンジする学生が増えてきました。残念ながら留学のチャンスもベラルーシで日本語を使うチャンスもあまりありません。しかし、時々日本から来る武道関係者の通訳依頼が舞い込んで来たりすると武道について全然知らないのに恐れる事なく「がんばります」と奮闘する学生たち。将来、日本に留学したい、日本語を活かした仕事に就きたい等、大きな夢を抱き学習に取り組んでいる皆の夢が叶うよう、ベラルーシと日本の関係が活発になってくれればと願っています。

教科書はコピーしないで、タブレットが当たり前。の画像
教科書はコピーしないで、タブレットが当たり前。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Belarusian State University
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ベラルーシ国立大学は将来を担う実力をもった人材輩出を目指している。国際関係学部に設置されている日本語・日本研究コースにおいては、日本の政治や経済、外交問題についても造詣が深い知日研究者を育成し、ベラルーシと日本の国家レベルでの交流を担う人材を輩出することを目標としている。日本語専門家は日本語の授業の他、大学院の講義を担当するとともに、教員の教授力ならびに日本語力向上のために支援を行う。
所在地 Leningradskaya St.20, Minsk, 220050, Belarus
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
国際関係学部東洋学講座
日本語講座の概要
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