世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)学生たちの更なる飛躍が楽しみ

ミンスク国立言語大学
小野崎亮

ミンスク国立言語大学(以下「言語大学」)は「言葉」の指導を主軸に文化、思想、翻訳・通訳技法など語学の本格的な専門教育を行っています。即戦力となる言語のプロフェッショナルを輩出するべく質の高い教育を提供している教育機関で、国内有名企業や各国の大使館職員として勤務している卒業生も少なくありません。現在、主専攻と副専攻の学生を合わせて84人が日本語を学習しています。

今年の冬は大雪の中、徒歩で通勤。の画像
今年の冬は大雪の中、徒歩で通勤。

言語大学の日本語コースの大きな特徴は5年に一度新入生を迎えるという点です(日本語主専攻)。教育とメソッドはこれまで培ってきたものがあります。それを師匠が弟子達に伝授していくかのように指導を行うのが言語大学の特徴です。しかし、教師が一方的に指導をするだけではありません。言語大学には日本から多くの留学生がいます。留学生に授業に参加してもらい、インタビュー活動を行ったり、日本について話をしてもらったりして、今の日本を知ることにも力を入れています。殆どの留学生は1年で帰国してしまいます。しかしインターネットを利用してその関係は長く続いているようです。留学生と学生たちの繋がりは、低調なベラルーシと日本の関係において貴重な経験です。

この数年、ベラルーシで行われる弁論大会の上位入賞者は言語大学からの学生が多く、その実力をベラルーシ国内にアピールしています。これは教師と学生と留学生の努力の結果だと言えるのではないでしょうか。

この2017年の6月、5年生が卒業します。着任時、3年生だった彼らと出会ったころ、将来の希望を質問したことがあります。「通訳は難しいかもしれないけど、出版社に就職して文学を翻訳したい」という返事でした。「さすが言語大学の学生だ」と嬉しく思ったものの、果たしてその夢が実現するだろうかと悩んだこともありました。しかし、卒業を間近に迎えた今、学生たちの日本語を聞くと、その夢が叶う日がもしかしたら来るかもしれない。通訳者・翻訳者として働くための専門知識と技術を学んだ彼らがどのように進路を決めるか、あと少し時間がありますが、非常に楽しみであります。

また、妥協の無い教育を受けている副専攻の学生たちにも期待は高まります。2017年3月に行われた弁論大会で2位を受賞したのは副専攻の学生でした。これからの更なる飛躍を期待しています。

いつも授業を楽しんでくれていますの画像
いつも授業を楽しんでくれています

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Minsk State Linguistic University
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
日本語専攻コースは東洋言語学科に設置されている。日本語コースの学生募集は、5年に1度で、主にプロの通訳・翻訳家の育成を目指している。日本語専門家は現地教員と協力しながら日本語の授業の他、専門科目の講義を担当する。さらに教員の教授力・日本語力向上のために支援を行う。
所在地 Zakharova St.21, 220034, Minsk, Belarus
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
通訳・翻訳学部 東洋言語学科
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