世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)カレル大学・プラハ日本人学校との相互交流

カレル大学
栗原 幸子

海外で外国語として日本語を学ぶ学習者たちにとって、その国に滞在している日本人との交流は大切なコミュニケーションの機会の一つとなっています。

派遣先のカレル大学では、数年前からプラハ日本人学校との交流を続けています。日本企業が多く進出しているチェコでは、在留邦人の数も1600人を超えています。1980年開校で、30年以上の歴史をもつプラハ日本人学校では、約100名の小・中学生が学んでいます。この交流は相互訪問の形をとっていて、2013年は11月にカレル大学からプラハ日本人学校への訪問、続く12月にはプラハ日本人学校のPTAの方々にカレル大学を訪問していただくという交流が実現しました。

日本人学校側はPTAの方々を中心に、カレル大学側は派遣専門家が窓口となり、8月末から話し合いを重ね、準備をしてきました。今回はこの交流の様子をご紹介いたします。

<カレル大学学生のプラハ日本人学校訪問>

浴衣姿の写真
浴衣を着せていただいて

まず11月に、カレル大学の3年生たちがプラハ日本人学校を訪問しました。 PTAの方々に準備していただいた日本文化体験では、浴衣を着せていただいたり、書道やカルタ等を体験しました。それに続く授業見学では、2つのグループに分かれて、小学部・中学部の社会、理科、図工、国語、チェコ文化等の授業を順番に見学しました。特に、小学校1年生たちが、学生たちが子どものころに歌っていたチェコの童謡を歌っていたチェコ文化の授業や、日本のマイノリティーに関するテーマを扱っていた中学生の社会の授業などは、学生たちに強い印象を残したようです。

日本人学校訪問の前には、日本の教育=「詰め込み型」というイメージを持っていた学生もいたようですが、実際の授業を見学し、生徒たちに考えさせる授業、生徒たちが積極的に発言していることなどを見て、日本の教育に対するイメージが変わったようです。  授業見学の後は、中学生とのグループ・ディスカッションに参加しました。事前に希望を聞いていただいて、「漢字」がテーマのディスカッションになりました。中学生たちが丁寧な準備をしてくださって、学生たちも熱心にディスカッションに参加していました。中学生たちによる「男(あだむ)」「黄熊(ぷう)」などの「キラキラネーム」のクイズを交えた紹介は、驚きと笑いに包まれていました。


授業の様子
正座でカルタを楽しむ

今回の交流では「実際にキャラ弁を見てみたい」といった学生たちの希望をくんでいただき、お弁当の時間の交流も実現しました。カレル大学の学生も自分のお弁当を持参し、それぞれのクラスに分かれて、生徒さんたちと話しながら、お昼を楽しみました。それに続き、チェコの学校にはない「清掃」の時間も体験しました。

<プラハ日本人学校PTAのカレル大学訪問>

続いて12月には日本人学校PTAの方々のカレル大学訪問が行われ、日本人学校を訪問した3年生の授業に参加していただきました。PTAの方々の訪問を前に、学生たちはグループで、「チェコとスロバキアのクリスマス」、「チェコの文化」、「チェコの面白い所」、「チェコで見られる日本文化」、「スマートフォン」のテーマで、プレゼンテーションを準備し、当日はスライドを見せながら発表しました。その後、日本人学校のPTAの方々にもグループに分かれていただいて、ローテーションの形式で、学生とのディスカッションを行いました。参加していただいた方々からは、「学生さんたちともっと話したかった」、「もっとディスカッションの時間を」など、とても好意的な感想をお寄せいただきました。

大学で学んでいる日本語を使って、チェコに暮らす日本人の方々と、教室活動を越えた実際のコミュニケーションができたこと、また日本文化を体験できたことは、学生たちの学習意欲のさらなる向上につながっています。

チェコの日本語教育は、日本語教育関係者の枠を越えて、いろいろな方々に支えられています。今後とも様々なつながりを大切に、チェコの日本語教育の一端を担っていけたらと思っています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Charles University in Prague
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
チェコにおいて日本語・日本研究専攻の学科を持つ3大学のうちの一つであり、同国の日本研究・日本語教育の中心的な役割を担っている。日本研究の専門家の育成を目指し、日本語だけでなく日本の社会・経済・歴史・文学・思想史等について幅広い知識を身につけるための教育が行われている。日本語専門家は、日本語教授、カリキュラム・教材作製への助言を行うほか、日本語教師会勉強会の主催、他の教育機関の日本語教師への協力・助言、日本語弁論大会等日本語教育関連行事への協力、また日本語教育関係者のネットワーク作りを業務とする。
所在地 Nám. Jana Palacha 2, 116 38 Praha 1, Czech Republic
国際交流基金からの派遣者数 専門家1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
カレル大学哲学部東アジア研究所日本学専攻(通称 日本研究学科)
日本語講座の概要
沿革
  講座(業務)開始年 1947年
  国際交流基金からの派遣開始年 1991年
 
コース種別
  専攻
 
現地教授スタッフ
  常勤6名(うち邦人0名)、非常勤
学生の履修状況
  履修者の内訳 学士: 各学年15~20名程度
修士: 20名程度
  学習の主な動機 日本語、文学・歴史・日本社会など日本文化への関心、留学・就職のため
  卒業後の主な進路 日系企業就職、通訳・翻訳、研究留学、日本語教師など
  卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験N2からN1程度
  日本への留学人数 短期も含め7~8名

ページトップへ戻る