世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)チェコ日本語教師会の活動

カレル大学
栗原幸子

日本語専門家の任務は、派遣先であるカレル大学での業務だけではなく、チェコ国内の日本語教育への協力も含まれています。その一つとして、チェコ日本語教師会の活動への参加があります。

チェコ日本語教師会は、2007年に発足し、チェコ国内外に30数名の会員がいます。毎月、定例会を開催し、日本語教育の勉強会、セミナーや各教育機関における情報共有、弁論大会・作文コンテストや日本語能力試験などの行事の準備や実施、教材開発などを行っています。

今回は、チェコ日本語教師会の主な活動をご紹介したいと思います。

日本語弁論大会・作文コンテスト

月例会での話し合いの写真
月例会での話し合い

チェコでは例年4月に、日本語弁論大会・作文コンテストを実施しています。弁論大会・作文コンテストは、在チェコ日本大使館、チェコ日本人会、チェコ日本友好協会、日本センター・ブルノ、チェコ日本語教師会の五者共催となっていますが、大会の準備・運営は、チェコ日本語教師会を中心に行われています。長い歴史を持つ大会ですが、毎年、これまでの経験を生かし、運営、評価、審査など常により良い方法を模索し、話し合いを続けています。最近の審査基準には、JF日本語教育スタンダードを取り入れています。来年2016年には記念すべき第40回日本語弁論大会を迎える予定ですので、何か特別な企画をしようと今からアイディアを考えているところです。

日本語教育セミナー

教師会は、日本語教育に関する情報共有、勉強会の場でもあります。月例会での勉強会に加え、外部からの講師によるセミナーも開催しています。

例年、日本語弁論大会の翌日には、チェコ国外から日本語教育の専門家をお招きし、日本語教育セミナーを実施しています。2015年は、ポーランド・ヤギェロン大学派遣の中野二郎専門家を講師としてお迎えし、音声指導に関するセミナー・ワークショップを開催しました。

それ以外にも、教師会メンバーは、毎年2月に国際交流基金ブダペスト日本文化センターで開催される中東欧日本語教育研修や、夏のアルザス研修などにも参加しています。研修会への参加後は、教師会で研修成果を報告し、情報共有を行っています。

日本語能力試験

チェコでは、日本センター・ブルノが実施機関となり、毎年12月にブルノ市で日本語能力試験を実施しています。2010年にチェコで最初の日本語能力試験が実施されてから、受験者の数も年々増えてきており、2014年には250名を超える学習者が受験しました。チェコ国内だけではなく、隣国スロヴァキアからの受験者もいます。日本語教師会は、日本語能力試験の広報、準備、運営、実施などに関しても協力しています。

漢字教材の出版

日本語教師会では、チェコの日本語学習者を対象に文字教材の開発も行っています。

「絵で覚えるひらがな Obrázková HIRAGANA」(2007)、「絵で覚えるカタカナ Obrázková KATAKANA」(2010) (こちらの教材に関しては、本サイト2010年度の三上上級専門家によるレポートをご覧ください)の続編として、2014年には、漢字教材「絵で覚える漢字 Obrázkové KANDŽI」が出版されました。漢字の成り立ちがイラストで説明され、読み、書き方の練習までわかりやすい内容になっています。日本語学習者だけでなく、これまで日本語に触れたことのないチェコ人にとっても、これをきっかけに日本語に興味をもてるような親しみやすい教材です。

2014年に出版された『絵で覚える漢字』の写真
2014年に出版された『絵で覚える漢字』

チェコ日本語教師会は、メンバーのみなさんが自由に意見を言うことのできる明るい雰囲気があり、お互いに協力的です。定例会でも、真剣な話し合いの中にも常に笑いが絶えません。また新しい試みにも積極的で、「まずやってみよう」という前向きな姿勢で取り組んでいます。

これからもチェコ日本語教師会の一員として、チェコ国内の日本語教育の発展に協力していきたいと思っています。

チェコ日本語教師会のサイトもご覧ください。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Charles University in Prague
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
チェコにおいて日本語・日本研究専攻の学科を持つ3大学のうちの一つであり、同国の日本研究・日本語教育の中心的な役割を担っている。日本研究の専門家の育成を目指し、日本語だけでなく日本の社会・経済・歴史・文学・思想史等について幅広い知識を身につけるための教育が行われている。日本語専門家は、日本語教授、カリキュラム・教材作製への助言を行うほか、日本語教師会勉強会の主催、他の教育機関の日本語教師への協力・助言、日本語弁論大会等日本語教育関連行事への協力、また日本語教育関係者のネットワーク作りを業務とする。
所在地 Nám. Jana Palacha 2, 116 38 Praha 1, Czech Republic
国際交流基金からの派遣者数 専門家1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
カレル大学哲学部東アジア研究所日本学専攻(通称 日本研究学科)
日本語講座の概要
沿革
  講座(業務)開始年 1947年
  国際交流基金からの派遣開始年 1991年
 
コース種別
  専攻
 
現地教授スタッフ
  常勤5名(うち邦人0名)、非常勤
学生の履修状況
  履修者の内訳 学士: 各学年15~20名程度
修士: 20名程度
  学習の主な動機 日本語、文学・歴史・日本社会など日本文化への関心、留学・就職のため
  卒業後の主な進路 日系企業就職、通訳・翻訳、研究留学、日本語教師など
  卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験N2からN1程度
  日本への留学人数 短期も含め10名弱

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