世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ハンガリーの日本語教育アドバイザー(2004)

国際交流基金ブダペスト日本文化センター
日本語教育アドバイザー
齊藤眞美

 ブダペスト日本文化センターは、国内だけではなく周辺諸国も対象に含む広域事務所として位置づけられています。このため、日本語教育アドバイザーも、ハンガリー国内はもとより周辺の国々にも出向いていきます。以下、この1年に行ってきた主な活動内容をご紹介します。

ブダペスト日本文化センターのスタッフ:国際交流基金理事長(中央)との写真
ブダペスト日本文化センターのスタッフ:国際交流基金理事長(中央)と

第1回中東欧日本語教育研修会開催

 周辺国・機関を訪問するたびに、中東欧地域では大変優秀な先生方が活躍されているということをいつも実感させられます。日本語教育しかり、日本研究しかりです。ただこうした先生方が顔を合わせ、交流する機会というのはこれまで極めて希でした。豊富な資源が点在しているような状況です。これらの点を何とか結びつける機会は提供できないものか。こうした発想のもと、当地域における日本語教育関係者間のネットワーク形成及び日本語教育の質的向上を目指し、「中東欧日本語教育研修会」が2003年7月23日~25日の3日間、ブダペスト日本文化センターで初開催されました。

研究会の様子の写真
研修会の様子

 第1回は、高等教育機関で日本語教育に携わる非日本語母語話者の先生方にお集まりいただきました。スロヴァキア、スロヴェニア、セルビア・モンテネグロ、チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ルーマニアの8カ国から参加がありました。同研修会は、国際交流基金中東欧派遣日本語教育専門家(チェコ、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー)が中心となり企画・実施に当たりました。

 お互い近くの国にいながら、まわりの国ではどのような機関でどのような人がどのように日本語教育を行っているかは全く知らなかったというのが初顔合わせ時の状況でしたが、3日間の研修会を通じ、貴重なネットワーク形成の第1歩が築かれました。研修会の継続開催、内容のさらなる充実が今後の課題となります。

教師会支援:法人化による活動拡大の可能性

 ハンガリー日本語教師会(MJOT)は、2001年2月に中東欧地域における第1号の教師会として設立されました。そして翌2002年9月には、ヨーロッパ日本語教師会との共催で、「第7回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム」を開催するという大仕事を成し遂げました。
その後も月に1度のセミナー開催、年に2度の講演会開催(ブダペスト日本文化センターとの共催)、四半期に1度の会報発行と、活動も既に軌道に乗っています。2003年11月に開催された第11回スピーチコンテストでは、初めて主催者にもなり、名実共にハンガリーの日本語教育を代表する組織となりつつあります。今後さらに活動の可能性を拡大していくため、現在教師会の法人化に向けた作業に取り組んでいるところです。

 こうしたMJOTの活動に対し、アドバイザーはこれまで講演会での講師を務めたり、活動に対する助言を行ったりといった支援を行ってきましたが、今後は一層支援・協力を強化していくことが必要となります。というのは、2004年5月にEU加盟したハンガリーには、教育制度の改革を含む様々な変化が訪れようとしているからです。言語教育制度も同様です。国や一般の関心が英語やドイツ語等EU諸国の言語に向きつつある中、日本語を含む非EU諸国の言語は、いかにして存在を堅持し、教育そのものを継続・発展させていくことができるか、正念場を迎えています。これはMJOTが総力を挙げて取り組むべき課題の一つであり、当然その活動をサポートしていくことはアドバイザーの重要な役割になります。

機関訪問:現場に始まり現場に帰す

 教師会のような組織に対する支援の他に、個々の機関を訪問し、授業を見学したり面談を行ったりして、各機関の事情や問題点等現場の生の声を聞くことも、大切な業務の一つです。これは国内外を問いません。通常先生方が他の機関を訪問したり、授業を見学したりできる機会というのは、時間的にも距離的にも限られています。アドバイザーが訪問の結果得た情報やいくつかの機関に共通する問題点等を吸い上げ、先生方と一緒に改善に取り組み、再び各現場へ結果を還元していくというサイクルを形成することは、現場に根ざした着実な支援活動の基本となります。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
ブダペスト日本文化センターは、ハンガリーだけではなく周辺の中東欧地域も活動範囲とする広域事務所として位置づけられている。アドバイザーのハンガリー国内での主な業務には、日本語教育事情の把握(機関調査や訪問による)、現場支援(面談や授業見学による)、教師会支援、各種勉強会での指導、講演会の企画・実施等がある。国外においては、国内同様現場支援の他、スピーチコンテストへの参加支援、講義・講演等を行い、情報提供と各国の事情把握に努めている。また、「中東欧日本語教育研修会」を企画・実施し、当地域における日本語教育のレベルアップと地域間のネットワーク形成を目指している。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation Budapest Office
ハ.所在地 Horvat u. 14-24, 1027 Budapest II, Hungary
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名

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