世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 中東欧13か国をカバーするセンターとして

国際交流基金ブダペスト日本文化センター
境田 徹・三森 優

ブダペスト日本文化センター(以下、JFBP)は、ハンガリーのほか、中東欧13カ国(オーストリア、クロアチア、コソボ、セルビア、チェコ、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、マケドニア、モンテネグロ、ルーマニア)をカバーする広域事務所として位置づけられています。現在2名の日本語専門家(以下、専門家)が派遣され、これら中東欧地域の日本語教育支援・ネットワークづくりのほか、日本・ハンガリー協力フォーラム(以下、フォーラム)事業のプロジェクトとして行われているハンガリー国内向けの研修会およびハンガリ-の日本語学習者のために同事業によって制作されたCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)準拠教材『できる1』『できる2』の普及、JFBPで行われている一般を対象とした日本語講座の運営などの業務を行っています。

日本語コースを新たに4コースに、落語にもチャレンジ!

日本語講座を新たに4コースに、落語にもチャレンジしている様子の写真
日本語講座を新たに4コースに、落語にもチャレンジ!

ブダペスト日本文化センター日本語講座(以下、JFBP講座)では、2012年9月より新たにコースを4コースとしました。これまでの通年で学ぶ初級からの各レベルのコースを「総合コース」とし、教材は『できる』を用いて2年間で「1」、さらに2年間で「2」の全4年間で2冊を終えるコースを現在整備しています。これ以外に「短期コース」、「文化日本語コース」、「トピックコース」を設置し、それぞれ学習者の多様なニーズに合ったコースを提供できるようにしました。

短期コースは1年で秋・冬・春に実施し、文化日本語コースは9月、3月、4月、5月、6月に各1コマ実施しました。文化日本語の内容は茶道や囲碁など伝統的な日本文化に触れつつ簡単な日本語を勉強できるコースとなっています。さらに初級修了から中上級者を対象とした「トピックコース」では、文化紹介や特定の技能を磨くことを目的としながら、教科書から離れて学習者の興味に合った内容を学んでいます。そのトピックコースの今年度の目玉は「落語小噺」コースでした。

日本語で小噺を実演し、観客を笑わせる「落語小噺」コース。このコースでは日本から江戸落語界きっての実力派真打ち、柳家さん喬師匠と、その一門の柳亭左龍師匠のお二人を迎え、小噺指導をしてもらえるという夢のようなコースです。両師匠は米国・ミドルベリー大学の夏期講座で長年落語指導の実績をお持ちで、今回はプラハ・ブダペスト・パリと3都市巡回としてお越しいただいきました。師匠方に「稽古」をつけてもらった受講生たちは、小噺披露の舞台であるブダペストでも名の知られた劇場“カトナ・ヨーゼフ劇場”にて師匠方と「共演」。立派に観客を「日本語で笑わせ」ていました。

このように、現在の日本語講座は多様性を発展させつつ、『できる』使用コースの整備を進めています。来年度もこの方針でコースを運営する予定です。(三森)

中東欧日本語教育研修会2013

中東欧日本語教育研修会2013の様子の画像
中東欧日本語教育研修会2013

JFBPはここ数年2月に、JFBPがカバーする中東欧各国の先生方を対象に、参加者が相互に各国での現在の日本語教育の状況を知り、地域内・間のネットワークを築くことを目的として「中東欧日本語教育研修会」を開催しています。

今年は2月9・10日、昨年と同じGoethe-Instituteを会場に、「異文化間コミュニケーション能力を育てるための活動と評価」をテーマに、中東欧10か国、ハンガリー、日本から69名の参加者を得て実施しました。研修会では、神戸大学大学院の定延利之先生に「文末のことばやイントネーションをうまく教えるための“場面”の分類」というテーマで講演していただいたほか、参加者代表による12本の発表が行われました。ある発表では学習者の立場で日本を味わいながら、ある発表では異文化トレーニングを受けるなかで考え込みながら、他者の言動に対してどのような考え方・価値観からそれらが生まれたのかを思うことの大切さを確認できた二日間でした。

中東欧の日本語学習者が日本語を学ぶなかで、多様な文化、異なる価値観をもった人々への理解を深めてくれることを期待しながら、今後も先生方の研鑽の場、連携の機会として、この研修会を開催していきたいと思っています。(境田)

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 国際交流基金ブダペスト日本文化センター
The Japan Foundation, Budapest
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ハンガリーおよび中東欧13ヵ国をカバーするブダペスト日本文化センターには、主にハンガリー以外の日本語普及・アドバイザー業務を担当する日本語上級専門家と、ハンガリー国内、センターの日本語講座運営を担当する日本語専門家の2名が派遣され、勉強会・研修会などの企画・実施、地域内・間のネットワーキング、スピーチコンテスト等日本語関連行事への協力、日本語教育関連情報の収集と提供などを行っている。このほか日本・ハンガリー協力フォーラム事業が進行中の現在は、同事業制作のCEFR準拠教材『できる』、JF日本語教育スタンダードの普及も業務の大きな柱となっている。
所在地 1062 Budapest Aradi u.8-10, Hungary
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名、専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2000年

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