世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 3年目を迎える日本センター

カザフスタン日本人材開発センター
荒川友幸

カザフスタンの概況

授業風景の写真
授業風景

 カザフスタンの面積は日本の約7.3倍であるが人口は約1500万人と少ない。人口の6割がカザフ人(トルコ系、モンゴル系の元遊牧民)で、3割がロシア人である。カザフ人のほとんどはイスラム教徒であるが、宗教的な戒律を厳守する人は多くない。

 国土の60%は乾燥した草原で農耕には適さない。国土の南、キルギスとの国境地帯には天山山脈がそびえ、氷雪気候が存在する。カザフスタン日本人材開発センターのあるアルマティはこの山脈のふもとに位置している。

カザフスタン最大の都市アルマティ

 アルマティは人口約120万人でカザフスタン最大の都市である。街路は碁盤の目のように整然と仕切られており、広い道の両側は樺、ポプラ、カエデなどの街路樹が鬱蒼と茂る。町全体が林の中にあると言っても過言ではない。特に5月はリンゴやアプリコットが白い花を、またリラが紫の花をつけ、たいへん美しい。1月の最低気温は平均で零下20度まで下がる。夏には気温が三十数度にまでなるが湿度が低いので比較的過ごしやすい。

 カザフスタンを訪れる日本人の数はまだ少なく、カザフスタンに支社をおく日系企業の数も少ないので、日本語の需要はまだそれほど高くない。

カザフスタンの日本語教育

 これに対し、日本語の学習者は多い。日本語を主専攻とする4つの高等教育機関の学習者約200名や、初中等教育機関の学習者約150名を含め、全部で約1200名の学習者がいる。日本語の学習に実用的な価値を見出すというより、日本に対する興味など純粋な知的好奇心で日本語を選ぶ学習者も多いのだろう。

日本センター

第8回中央アジア日本語弁論大会の写真
第8回中央アジア日本語弁論大会

 カザフスタン日本人材開発センターの活動はまもなく3年目を迎える。このセンターは「カザフスタンの市場経済化を支援し、日本の顔の見える協力を実現する」事を目標としてJICAにより開設された。主要な活動は、日本語コース、ビジネスコースの実施、相互交流事業の3つである。

 当センターの日本語コースはカザフスタンにおいて一般社会人が日本語を学習できる唯一の講座であり、初級から上級まで4レベルの一般会話クラスと現役の日本語教師のためのクラス、夏期の特別講座などによって構成されている。受講者の合計は約170名である。さらに今後は年少者のための日本語コースを設立すべく準備を進めている。

 日本語コースの運営にあたっては、日本事情の紹介とカザフ人日本語教師の質の向上を念頭に入れた活動に特に力を入れている。日本の文化的なプレゼンスの希薄な当地においては当センターの日本語コースも単に日本語の普及に努めるだけでは不十分で、授業の中で伝統文化、現代文化などに関わる日本事情の積極的な紹介を行い、学生の学習意欲の維持を図る必要がある。こうした観点に基づき、当センターでは書道、生け花、折り紙、武道などのデモンストレーション、日本文化に関する講演などの諸行事を機会あるごとに行ってきた。

 また、当センターは当国における19の日本語教育機関の一つであり、日本語を専攻した卒業生の受け皿としての社会的な役割を担っている。この点を考慮し、当センターは日本語を専攻した優秀な卒業生を教員として積極的に雇用している。こうしたカザフ人教師を対象として教師クラスを開講し、日本事情の紹介、教材の紹介、指導法の演習、文法の再履修などを通じて教育技術の向上を目指す活動にも力を入れている。

日本語教育専門家の仕事

 また、当センターの日本語部門の運営責任者は当国において数少ない日本語教育専門家であるので、センターにおける日本語講座の運営という本来の業務を越えた役割がある。それを以下にまとめる。
1.カザフスタンの日本語教育事情を掌握する。
2.カザフスタンにおける日本語教育を支援する活動を行う。
3.カザフスタンにおける日本語教育の普及を図る。
4.カザフスタンの日本語教育の質の向上を目指す
5.近隣国の関連諸機関と協同し、日本語教育の普及を図る。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
 JICAにより、市場経済化支援のため2002年9月設置された。日本語コース、ビジネスコース、相互交流が3本柱である。日本語コースは初級から上級まで一般成人を対象として4つのレベルがある。また現役のカザフ人日本語教師を対象としてトレーニングコースが開かれている。こうした学習者を主な対象とし、日本事情、日本文化を紹介する活動を行う。これまで書道、生け花、茶道、武道などの紹介、日本に関する講演などを実施した。現在年少者のための日本語コースを企画中である。
ロ.派遣先機関名称 カザフスタン日本人材開発センター
Kazakhstan-Japan Center for Human Development
ハ.所在地 Kazakhstan Erconomic University
55 Jandosov St., Almaty, Republic of Kazakhstan
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名

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