世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 「夢のような2日間」

カザフ民族大学
大島智美

 「先生、あれは現実でしたか?夢でしたか?」

カザフスタンでの日本語教育の現場写真1

 こんな言葉が学生の口から飛び出す3日前、カザフ民族大学の日本学科はいつもとは違う、ちょっとした興奮状態にありました。明日、日本人がカザフ民族大学にやってくる!!「日本人は何人来ますか?」「日本のどこから来ますか?」「若いですか?何歳ですか?」「男性ですか?女性ですか?」「何時に着きますか?」「いつまでカザフスタンにいますか?」日本学科に在籍する118名の学生から、代わる代わる同じ質問をされ、それでなくても準備でてんてこ舞いの私は頭がぐるぐる・・・。

 今年の3月に、大阪外国語大学の学生9名と先生1名がカザフ民族大学の学生と交流するためにカザフスタンを訪れました。現在、カザフ民族大学があるアルマティには60名ほどの日本人が住んでいますが、カザフ民族大学の学生達にとって、10名もの“日本から来た本物の”日本人と一度に会うのは初めてです。しかも、自分達と同じ年代の大学生です。興奮するのも無理はありません。日本人学生の滞在期間はわずか2日間。この機会を逃してなるものかと、大阪外国語大学の先生にアドバイスをいただきながら、目一杯のプログラムを組みました。1年生は「日本人学生へのインタビュー」。まだまだ初級ですが、“本物の日本語”を聞き取ろうと一生懸命がんばりました。2年生は歓迎会を兼ねた「カザフスタン紹介スピーチ」。料理紹介、民族衣装紹介、カザフの祭りの紹介、民族楽器の演奏もしました。メモまでとりならが熱心に聞いてくれる日本人の前で、緊張の一時。3年生・4年生は日本人学生による「日本事情講座」と「若者言葉講座」。普段の授業では習わないことをたくさん教えてもらって大喜びでした。それから、ホームステイ。夜遅くまで語り合った人もいるそうです。次の日は、10のグループに分かれて市内観光。観光しながらのおしゃべりがまた楽しかったようです。そして、最後の夜はパーティー。歌に日本舞踊にカザフのダンス。あんなに目を輝かせている学生を見たのは初めてです。

カザフスタンでの日本語教育の現場写真2

 今回の交流会には多くの方々の協力をいただきました。日本人学生のカザフスタン訪問をアレンジしてくださった大阪外国語大学の先生、2大学の橋渡し役として活躍し、パーティーの企画・運営もしてくれたカザフスタン日本センターの日本語教育指導助手、はるばる日本から来てくれて、カザフスタンの学生にひっぱりまわされながらも常に笑顔でいてくれた学生の皆さん、パーティーの会場を提供してくれたカザフスタン日本センター、などなど。学生の喜ぶ顔を見ることができたのも、皆さんの協力があってのことです。

 この交流会の後、大阪外国語大学とカザフ民族大学は交流協定を締結しました。日本人と接する機会が少なく、日本語学習のモチベーションを維持していくのが難しい状況の中、今後もこのような交流が続くことを願っています。カザフスタンで日本語を学ぶ学生達の目がきらきら輝き続けるように、できる限りのことをする。それが、ここでの私の重要な役割です。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
民族大学東洋学部日本学科はカザフスタン国内で最も歴史ある日本語・日本学専門課程である。2003年9月には極東学科から日本語学科として独立を果たした。設置目的は、日本語・日本学研究者及び教師、企業において日本語で業務が行える人材、日本語通訳・翻訳者の育成であり、言語のみならず、歴史、文化などの専門科目にも重点を置いた教育が行われている。卒業生は日本語教師、日本史教師、日本企業・機関の現地スタッフ等、カザフスタン国内の幅広い分野で活躍している。ジュニア専門家は日本学科での日本語教授、シラバス作成に対する助言、現地教師への助言・サポートを行う。
ロ.派遣先機関名称 アル・ファラビ名称カザフ民族大学
Al-Farabi Kazakh National University
ハ.所在地 Amangeldy St. 61a, Almaty 480121 Republic of Kazakhstan
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
東洋学部日本学科、東洋学部中国学科、 国際関係学部 
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1992年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 1995年
(ロ)コース種別
「専攻」「副専攻」「選択必修」
(ハ)現地教授スタッフ
東洋学部 常勤10名(うち邦人2名)  国際関係学部 常勤3名
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   「主専攻」「副専攻」118 「選択必修」145
(2) 学習の主な動機 「留学」「通訳志望」「日本企業への就職希望」「日本文化への興味」
(3) 卒業後の主な進路 日本語教師、日系企業・団体に就職、地元企業・機関に就職
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力検定2級合格程度(主専攻)
(5) 日本への留学人数 毎年1~2名程度

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