世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) いろいろやっています

カザフスタン日本人材開発センター
久野 元

日本センターの学習者
すでに4年も日本語を学んでいますの写真
日本センターの学習者
すでに4年も日本語を学んでいます

 カザフスタンの人々にとって日本は「工業技術の発達した国」としてよく知られていますが、ほかの事はあまりきちんと知られていないようです。「日本は北と南に別れているんだよね」(おそらく、朝鮮半島と間違えている)と言われたこともありますし、カンフーが日本の武道だと思っていた人に会ったこともあります。このような人に会うと、ぜひカザフスタン日本人材開発センター(以下、日本センター)へ来て、日本のことをもっと知ってほしいなと思います。

 一方、日本センターの日本語講座を受講している人たちはかなりの日本通です。筆者が見たこともない漫画や、聞いたこともない日本のポップスをどこからか入手して楽しんでいます。また、筆者に囲碁のやり方を教えてくれた人もいます。合気道の先生もいます。

日本センターの日本語講座

 現在、日本センターの日本語講座はアルマティと首都のアスタナで開講しており、両都市あわせて約280名が学んでいます。アルマティにはレベル1~4(初級)、レベル5~8(中級)のクラスが開設されており、アスタナにはレベル1~5のクラスが開設されています。

 受講生のおよそ6割は学生で、4割は社会人です。受講生のほとんどは上述したように「日本のことが好きでたまらないから日本語を学ぶ」という人たちで、就職や進学のために日本語を学ぶ人はあまり多くありません。

 このほかに昨年度からアルマティで「10代のための日本語講座」を開講しました。これはかつて行われていた「子供のための日本語講座」を復活させたものです。しかし、思春期の受講生から「私たちは子供ではありません」という苦情が出たので「10代のための日本語講座」と呼ぶことになりました。この講座は若いうちに日本語学習を経験してもらうことで、将来大学などで日本語を専門的に学ぶ人を増やそうという意図で行っています。「10代のための日本語講座」は好評で、特に国際交流基金が作成した「エリンが挑戦!にほんごできます」を授業中に見るのを、受講生は楽しみにしています。

カザフスタン社会と日本語教育の発展に向けて

日本語教師会のメンバーの写真
日本語教師会のメンバー

 日本センターの日本語講座は日本語や文化を教えるだけでなく、ソ連からの独立後に市場経済を導入したカザフスタンの発展に寄与する人材を育成するという目的もあります。これを受けて、今年度から「実務日本語講座」を開講し、ビジネスの場面で用いられる会話表現の演習や、日本企業に勤める人がよく頼まれる業務である露和翻訳の演習をしています。

 また、国際交流基金派遣の日本語教育専門家は日本センターの日本語講座運営だけでなく、カザフスタンの日本語教育支援をすることも業務の一つです。日本センターでは毎年「日本語教授法講座」を開講し、新人教師の育成や現職教師のブラッシュ・アップをしていますが、これに加えて専門家は日本センターの外で、講習会などを行い、カザフスタン人の日本語教師を支援しています。昨年度は同じく国際交流基金から派遣されているジュニア専門家と共同で、大学の先生方を対象とした日本語教育ワークショップや新人教師のための日本語教授講習会を行いました。

 カザフスタンの日本語教師は教師どうしの関係が希薄なようです。授業のしかたで困っていても他の教師と話しあうことはほとんどないようです。このような状況の中で昨年度行った日本語教育ワークショップは、教え方を学ぶだけでなく教師どうしが話し合う雰囲気を作るのにも役立ったようです。今後もセミナーなどを通してカザフスタンの日本語教師どうしの関係が密になるようにし、ここでの日本語教育がさらに発展するような活動をしていきたいと思っています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
JICAとカザフスタン政府との協定により設立された。カザフスタン市場経済の発展を担う人材を育成するために、日本語講座、ビジネス講座、相互理解の事業を行っている。日本語教育専門家はセンター内で開講している各種日本語講座の企画・運営、および一部のクラスを担当する他に、日本語教師会への助言および支援、大学の日本語教師を対象とした講習会などの開催、日本語能力試験や日本語弁論大会開催への協力など日本語教育に関連する活動をセンター外でも行っている。
ロ.派遣先機関名称
Japan-Kazakhstan Center for Human Development
ハ.所在地 55 Zhandosov Str., Almaty, 050035, Republic of Kazakhstan
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家:1名 日本語教育指導助手:1名
ホ.アドバイザー派遣開始年 2002年

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