世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 自立化を目指す カザフスタン日本文化センター日本語コース

カザフスタン日本人材開発センター
山口 敏幸

 カザフスタンの旧首都アルマティの中心地から、雪に覆われた天山山脈を窓から眺めながらバスに揺られて30 分ほど南西に行ったところに、カザフスタン日本人材開発センター(以下、日本センター)があります。2002年に、カウンターパートであるカザフ経済大学の建物の中に開設されたこの日本センターは、カザフスタンの市場経済化と、日本・カザフスタン間の交流促進を目的に、ビジネスコースと日本語コース、相互理解コースの3つのコースを開設しています。

日本語コースの状況

日本センター受付の写真
日本センター受付

 日本センターの日本語コースは、カザフスタンにおいて一般成人に日本語教育を行っている唯一の教育機関です。アルマティではレベル1 から8までの、中高生クラスを含む15クラスが開講され、現在、約230名の学習者が日本語を学んでいます。また、2006年に新首都アスタナに開講した日本語講座でも、レベル1から5までの7クラスが開講され、110名の学習者が学んでいます。さらに、夏休み期間中は、2週間の夏季集中講座が設けられ、多くの学生・一般人が通っています。これらの講座の授業を受け持つ講師はほとんど現地の教師です。そして、これら現地教師に対する研修を含む日本語コースの運営・管理全般についてマネージメントするのが日本語教育専門家(以下、専門家)の仕事です。

自立化に向けた取り組み

授業の様子の写真
授業の様子

 日本センターのプロジェクトは、2006 年から第2フェーズと呼ばれる段階に入っており、来年の9月で終了することになっています。その後はどのような形でこのセンターが運営されていくのかまだ決まっていませんが、方向性を示すことばとして挙げられるのが「自立化」です。今、この「自立化」に向けた準備が着々と進められています。

 専門家が現在、日本語コースの自立化に向けて取り組んでいるのは、「日本語コースの運営・管理マニュアル作り」と「日本語コースマネージャーの育成」です。つまり、現在派遣されている専門家がたとえいなくなったとしても、支障なく日本語コースの運営・管理ができるようにきちんとした業務マニュアルを作ると共に、専門家に代わって日本語コースが切り盛りできるマネージャーの育成を行っています。

日本語教師会のサポート

 専門家の活動は、日本センター内に限りません。広くカザフスタンの日本語教育の普及と発展のために活動することが求められています。現在特に力を入れているのは、カザフスタン日本語教師会のサポートです。現時点で教師会には25 人程度の日本語教師が席を置いていますが、毎月1回開かれる会合には数人しか参加しないという状況が続いています。せっかくこの地の日本語教育のネットワークである教師会が存在するのに、それがうまく機能していないというのは大変残念なことです。そこで、教師会の先生方と教師会の活動を活性化させるための相談を進めています。すでに、教授法研修や日本文化体験など、いくつかの活動を行うことが決まっていますが、教師会が、日々の教授活動の中で出てくるいろいろな問題を解決するヒントが得られる場、自分のスキルをさらにアップさせるための情報が得られる場となるよう、しっかりとサポートしていきたいと考えています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
JICAとカザフスタン政府との協定により設立された。カザフスタン市場経済の発展を担う人材を育成するために、日本語講座、ビジネス講座、相互理解の事業を行っている。日本語教育専門家はセンター内で開講している各種日本語講座の企画・運営、および一部のクラスを担当する他に、日本語教師会への助言および支援、大学の日本語教師を対象とした講習会などの開催、日本語能力試験や日本語弁論大会開催への協力など日本語教育に関連する活動をセンター外でも行っている。
ロ.派遣先機関名称
Japan-Kazakhstan Center for Human Development
ハ.所在地 55 Zhandosov Str., Almaty, 050035, Republic of Kazakhstan
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家:1名 日本語教育指導助手:1名
ホ.アドバイザー派遣開始年 2002年

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