世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)カザフスタンにおける「JAPAN」

カザフスタン日本人材開発センター
森まどか

カザフスタンと聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。カザフスタンはユーラシア大陸の中心に位置し、世界第9位の広大な国土面積を誇る国です。恵まれた資源を基盤とし、近年急速に発展を遂げており、中央アジア諸国の中でも存在感を示しています。また、カザフ人の顔立ちは日本人に近いこともあり、道を歩いていると、現地語でよく道を聞かれます。アルマティ市内からは雪を抱いた美しい天山山脈が見えますが、車窓から連なる山々を眺めながら、市の中心部から西に向かって20分ほどバスに揺られると、カザフスタン日本人材開発センター(以下、日本センター)があります。

日本語コースの状況

日本センターの日本語コースはアルマティと首都のアスタナで開講しており、両都市あわせて約160名が日本語を学んでいます。国際交流基金が制作した『まるごと 日本のことばと文化』のテキストを使い、日本語を使ってコミュニケーションすること、また日本語の習得だけではなく、日本文化を理解することにも重点をおき、授業を行っています。アスタナにあるナザルバエフ大学では、大学構内に講師が赴いて『まるごと』の授業を行うJF出前講座も始まりました。日本センターの受講生の多くは、日本のポップカルチャー(アニメやマンガ、ドラマなど)が好きで日本語の勉強を始めた人たちで、就職や進学のために日本語を学んでいる人はあまり多くありません。

ビジターセッション

日本語コースの授業の一環として、1学期に最低1回、全クラスにおいて、日本人ゲストを教室にお招きして受講生と日本語で会話をするビジターセッションを行っています。カザフスタンは在留邦人が少なく、習った日本語を話す機会はあまりありません。そのため、受講生にとって、日本人と日本語で話す機会は貴重で、「教室で習った日本語が日本人に通じる」ことがとても嬉しいようです。どのクラスでも休憩も取らず、日本人ゲストと話し込んでいます。また、日本人ゲストと協力して「すき焼き」を作るビジターセッションもあります。最初にすき焼きの作り方を簡単に見せると、その後は受講生が協力して見よう見まねで、楽しそうにすき焼きを作っていた姿が印象的です。すき焼きはカザフ料理にはない味付けですが、意外に好評で、買いすぎたと思っていた食材もあっという間になくなりました。

JAPAN CLUB

JAPAN CLUBの写真
JAPAN CLUBの様子

授業外の活動として、週に1回、JAPAN CLUBを始めました。これは受講生同士の連帯感を高め、授業外でも日本語を使ったり、日本への造詣を深めることを通して、日本語学習へのモチベーションを高めることを目的としています。現受講生のみならず、元受講生や大学で日本語を勉強している人たちも参加しており、「日本」が人々を結びつけています。日本人ゲストとの会話や日本語を使ったゲーム、日本に留学した人から体験談を聞いたり、日本に関するDVDを見てディスカッションしたりと、和気藹々とした雰囲気で楽しくすすめています。

カラオケコンテスト

日本センターでは、日本文化に関するイベントも頻繁に行っています。今年2月には、日本語カラオケコンテストを行いました。日本語の歌に限定すると、出場者が少ないのではないかと心配する声が多かったのですが、実際には20組以上の参加があり、嬉しい驚きでした。また、参加者のうち、約半分は日本語を勉強したことがない人たちでしたが、とても上手に日本語の歌を歌っており、日本のポップカルチャーは根強い人気があることを感じました。出場者の年齢層も中高生から社会人までと幅広く、また歌のジャンルもバラエティに富んでおり、非常に盛り上がったイベントとなりました。

桜祭り

桜祭りの折り紙コーナーの写真
桜祭りの折り紙コーナー

日本センターには、2011年の東日本大震災の後に植えた桜の木があります。毎年、「桜祭り」の前には、いつ桜が花開くか気を揉んでいるようですが、今年はちょうど「桜祭り」の週に満開になりました。桜祭りでは、折り紙や書道、浴衣着付けなどの日本文化紹介以外に、日本食として、つなマヨネーズのおにぎりと冷たい麦茶を用意しました。おにぎりが予想以上に飛ぶように売れ、カザフスタンにおける日本食の人気を改めて実感しました。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Japan-Kazakhstan Center for Human Development
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
JICAとカザフスタン政府との協定により設立された機関で、日本語コース、ビジネスコース、相互理解の事業を行っている。2011年10月から、日本語コースはJF講座となり、2012年の2月から、アルマティでJFスタンダード準拠の日本語教育が始まる。同年9月からは首都のアスタナ分室でもJF講座が始まる。日本語専門家は、JF講座をはじめカザフスタンの日本語教育支援を行う。
所在地 55 Zhandosov str. Almaty Rep. of Kazakhstan
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
日本語コース
日本語講座の概要
沿革
  講座(業務)開始年 2002年
  国際交流基金からの派遣開始年 2002年
 
コース種別
  入門、初級、初中級、中級
 
現地教授スタッフ
  常勤3名(うち邦人1名)、非常勤5名(うち邦人1名)
学生の履修状況
  履修者の内訳 アルマティとアスタナ併せて約160名
  学習の主な動機 日本、日本文化への興味と日本への留学希望
  卒業後の主な進路 受講生は中高生から社会人の一般講座のため、進路は様々
  卒業時の平均的な
日本語能力レベル
N3相当レベル
  日本への留学人数 ほとんどなし

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