世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) キルギスの日本語教育―アドバイザー派遣7年目のKRJCと赴任4ヶ月目に思うこと―

キルギス共和国日本人材開発センター
黒岩 幸子

キルギスの日本語教育

 日本ではあまり馴染みのないキルギスかもしれませんが、驚くほど多くの人が日本語を学んでいます。キルギスの人口約550万人に対し、日本語学習者1000人。およそ5500人に一人キルギスの人が日本語を学んでいる計算になります。

 キルギスでは1991年のソビエト崩壊後、日本語教育が始まり、首都ビシケク市の3大学で専攻、あるいは第一外国語として教えられている他、大学の第2外国語や中等教育でも日本語が教えられています。また近年では日本語教育がオシュ市・ジャララバード市の大学をはじめ地方へも広がりを見せています。

KRJCの日本語コース

KRJC入門コースの学生との写真
KRJC入門コースの学生と

 キルギス日本人材開発センター(以下、KRJC)は国際協力機構(JICA)プロジェクトの一環としてキルギス共和国の市場経済化に向けた改革と人材開発を支援しており、その事業は、(1)ビジネスコース、(2)日本語コース、(3)相互理解促進事業に分かれています。

 このうち、日本語コースは一般成人を対象に広く門戸を開いています。一般コース(初級Ⅰ・初級Ⅱ・中級Ⅰ・中級Ⅱの4年間コース)の他、入門コース、上級コース、日本語能力試験対策コース等があり、キルギスの人々のニーズにできるだけ答えるべく、KRJCの教師たちは日々奮闘しています。

KRJCの日本語教師

 KRJCには教授レベルの高い日本語教師が揃っています。授業はほぼ日本語のみで行なわれています。教師は分かりやすい導入を行ない、レアリア・絵カードを適切に使い、様々な活動も取り入れています。また、授業について教師間で積極的に情報交換もなされているようです。2003年に国際交流基金からアドバイザー派遣が始まって7年目。KRJCの授業には着実な成果が表れています。

日本語専門家の業務と今後の課題

授業風景の写真
授業風景

 日本語専門家の業務は、KRJCの日本語コース運営全般、そして、キルギス全体の日本語教育の発展と多岐にわたります。KRJCの日本語コースは順調な運営ができ、教師陣も高い質が保たれていますが、教師陣には更に上を目指し、日本語能力・教授力を向上させていってもらいたいと思います。また、ただ教えるだけでは教師はいつしかマンネリを感じたり、疲弊していってしまいがちです。一つ自分が興味をある分野を見つけ、授業改善や研究に取り組む教師をどのように育てていくかが今後の課題だと考えています。

 キルギスでは4月に政権交代が起こり、KRJCでもいくつか影響が出ました。中でも入門コースは、開講目前に1ヶ月程延期となり、開講されても受講者は減ってしまうだろうと予想しましたが、開講式当日には申込者のほとんどが出席し、赴任4ヶ月目の私を驚かせました。

 キルギスと日本の関係は強いとはいえません。「日本に興味があるから」、「日本がキルギスを援助しているのを知り、日本を知りたくなった」と日本語学習動機を話す学生を目にすると、キルギスの先生方とともに日本語教育を盛り上げていきたいと思います。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 キルギス共和国日本人材開発センター
Kyrgyz Republic-Japan Center for Human Development
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
1995年に支援委員会により設立され、2003年JICAに移管された国際協力機構(JICA)日本センタープロジェクトによる現地法人。市場経済化に資する人材育成を目的としたビジネスコース、日本語教育、相互理解促進事業を活動の主眼としている。日本語教育については一般人対象の日本語講座の運営とともに、キルギス国内の日本語教育機関、日本語教育関係者、日本語学習者に対する支援・協力を行い、キルギス全体の日本語教育の発展に努めている。
所在地 KNU, 2nd Floor, Building7, Turusbekov St.109, Bishkek 720033, Kyrgyz Republic
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2003年

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