世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ルーマニアでは(2002)

ブカレスト大学
小久保ひろし

ルーマニアでは

日本語弁論大会の写真
日本語弁論大会

 ルーマニアはあまり大きな国ではありません。人口約2千3百万人。そこに千人ぐらいの人が日本語を勉強しています。そのうちの半分ぐらいは大学生ですが、幼稚園や5年生、6年生で日本語を勉強している子どもたちもいます。日本語の先生はルーマニア中でも30人ぐらいしかいません。そのうち約3割が国際交流基金や国際協力事業団など日本から派遣されている日本人の先生ですから、その割合はかなり多いほうでしょう。

ブカレスト大学

 私が派遣されているブカレスト大学は学部が約20もある国立の総合大学です。日本語は外国語外国文学部の東洋言語学科の中の日本語専攻というところで教えられていて、ルーマニア人の先生が6人、日本人は私一人です。文学や歴史の研究が盛んで、学生でも古事記や万葉集などのことをよく知っています。私は主に会話や読解を担当しています。ここの学生は英語やフランス語がとても上手です。日本語の会話も英語やフランス語に負けないぐらいがんばってほしいと思います。

93番学校

 ただ一人の日本語の先生が産休に入ってしまったため、産休の間だけピンチヒッターで子どもたちに日本語を教えてきました。5年生*から日本語の授業が選択で学べます。最初の日に日本語の歌を聞かせてくれましたが、きれいな発音で歌詞もよく覚えていてびっくりしました。子どもたちは文字が大好きです。ひらがなやカタカナの書き取りをしたり、折り紙の代わりに新聞紙で大きなかぶとを折ったり、数の練習などをしたりしました。

日本語能力試験

 ルーマニアでは日本語能力試験が行われていません。そのため、この試験を受けるにはブルガリアかハンガリーまで行かなければなりません。受験願書の取り寄せ、申し込みや交通機関、宿舎の手配など国内で受験するのとは違った問題がいろいろあります。私も学生と一緒にブルガリアのソフィアまで行くつもりでしたが、ビザの関係で実現しませんでした。

日本語弁論大会

 ルーマニアで日本語を勉強している人たちが集まれる一年に一度の機会です。この弁論大会のために地方からも出場者や応援団がブカレストに集まります。大会の準備は日本語の先生たちが中心になってやっています。ですから、先生たちにとってもよその学校の人たちと交流する場になっています。

  • ルーマニアの学校制度は小学校4年、中学校4年、高校4年です。ですから、5年生はルーマニアでは中学1年生ということになります。普通、小学校の4年間と中学校の4年間は一つの学校の中で続いています。
派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
 ルーマニアには、日本語を主専攻としている大学が2校(ブカレスト大学及びヒペリオン大学)、日本語を副専攻としている大学が3校(スピルハレット大学、デェミトリア・カンテミル大学及びバベシュ・ボヨイ大学)がある。その中においてブカレスト大学の日本語講座は、ルーマニア国内の日本語教育、日本文学研究の中心であり、常に他の日本語教育機関からその存在を意識されている。学生に対しては、日本語だけでなく日本文学、日本文化について幅広い知識を身につけるための教育が行われている。専門家は日本語講座での日本語教授、カリキュラム・教材作成に対する助言、現地教師の育成を行う。
ロ.派遣先機関名称 ブカレスト大学
Bucharest University
ハ.所在地 Bulevard Mihai Kogalniceanu nr.36-46, Sector5, Bucharest
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
ブカレスト大学外国語外国文学部東洋言語学科日本語専攻
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   副専攻:1975年から
専攻:1987年から
(2)専門家・青年教師派遣開始年 1978年
(ロ)コース種別
主専攻
(ハ)現地教授スタッフ
常勤6名(うち邦人0名)、非常勤1名(うち邦人0名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   各学年20名程度
(2) 学習の主な動機 日本への憧れ
(3) 卒業後の主な進路 不明
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
能力の差は大きい。成績優秀者は日本語能力試験2級程度
(5) 日本への留学人数 8名

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