世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ハバロフスクの日本語教育事情(2003)

ハバロフスク国立教育大学
杉本 和子

レーニン広場の写真
レーニン広場

 極東の中心地であるハバロフスクは、今年創立145周年を迎えます。そのため、街のあちこちで改修工事が行われ、美しく生まれ変わろうとしています。極東のパリとも呼ばれるハバロフスクは美しい街並みと郊外の雄大な自然を誇りとし、観光地としての発展を目指しています。毎年、春の終わりから夏にかけて日本からの観光客も多く、その数は年々増加しています。
 このような背景を受け、通訳や観光ガイドの需要が高まり、高等教育機関のみならず、民間の語学学校などでも日本語教育が盛んになっています。派遣校であるハバロフスク国立教育大学は2年前より教員養成課程から通訳・翻訳コースに移行しました。授業では基本的な日本語を身につけることはもちろんですが、街の歴史や有名な建築物、ハバロフスク地方に生息する動植物の名前等を学び、より実践的な日本語を身につけています。
 しかし、日本語を学ぶ学生が、普段の生活の中で、日本人と触れ合う機会はごくわずかです。日本人と交流をしたい、日本語をもっと学びたいと言う学生の要望から、教育大学では昨年秋に日本語クラブを設立し、大学や学年を超えて活動を始めました。私は、このクラブの顧問となり、ハバロフスク在住の日本人とのパイプ役を務め、3月には、交流会を行い、楽しいひと時を過ごしました。教師以外の日本人と初めて触れ合った学生達の緊張と興奮に包まれた顔は、実際に日本語を使っていると言う実感と喜びに溢れており、とても印象に残っています。その後、大半の学生が日本語学習に更なる意欲を示し始め、私も教える喜びとやりがいを感じている毎日です。

交流会の写真
交流会

 現在、ハバロフスクでは様々な機関で日本語教育が行われていますが、個々に独立して独自のやり方で行っていると言う現状でした。しかし、昨年秋にハバロフスク日本語教師会が設立され、横のつながりが生まれました。これまでに2回の会合を行い、その内の1回は研究発表会を行いました。これからも定期的に会合を開き活動を行っていく予定ですが、大学教師の待遇は厳しく、どの教師も大学を掛け持ちせざるを得ず、なかなか時間が取れないというのが実情です。
 ハバロフスク日本語教師会とは別に、邦人日本語教師で組織するハバロフスク邦人日本語教師会があります。邦人教師会では月に1回教師会を行い、各大学の問題点を話し合ったり、勉強会を行ったり、また昨年12月には日本語学習者へ向けてのセミナーも行いました。4月に行われたハバロフスク市内弁論大会では総領事館とともに主催をし、企画、運営に積極的にかかわりました。
 ハバロフスクに於いて、派遣専門家が担う役割とは、派遣校のみでなく、地域全体を視野に入れた日本語教育向上への貢献だと思います。教師会や日本語クラブなどの新しい動きが生まれていますが、専門家はこの活動のリーダーシップを取るのではなく、活動を支え、ネットワーク作りの手助けをし、若手教師を育成していくと言ったことが求められます。そのためには、専門家自身のネットワーク作りも大切で、いかに早くこの地域に溶け込むかと言うことが重要な鍵になると思われます。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
 ハバロフスク地方において、当大学は日本語教育の中心的役割を担っている。卒業時に日本語及び英語教師の資格が得られ、現在大学等日本語教育機関で活躍する日本語講師の半数は当大学の卒業生である。2001年度からは「通訳養成コース」が新しく設けられ、より実務的な日本語の専門家養成を目指すこととなった。派遣専門家の主な業務は中・上級の学生の指導、若手教師の育成、授業・教材へのアドバイスが中心となる。本年度は3・4年生の授業を週8コマ(80分/1コマ)に加え、1・2年生の希望者への会話の授業も行った。
ロ.派遣先機関名称 ハバロフスク国立教育大学
Khabarovsk State Pedagogical University
ハ.所在地 Karl Marx st.68 68000 Khabarovsk, Russian Federation
ニ.国際交流基金派遣者数 NIS専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
東洋語学部日本語学科
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1991年
(2)専門家・青年教師派遣開始年 1993年
(ロ)コース種別
主専攻
(ハ)現地教授スタッフ
常勤 8名(うち邦人0名)
非常勤 2名(うち邦人0名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   195名(1年60、2年45、3年27、4年27、5年27)
(2) 学習の主な動機 日系企業への就職希望、日本留学、日本文化への興味、通訳
(3) 卒業後の主な進路 日本語教育機関、日本国総領事館、旅行社、ホテルなどに就職
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験2級程度
(5) 日本への留学人数 2名程度

ページトップへ戻る