世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) モスクワのJF日本語講座

モスクワ市立教育大学
山口 敏幸

JF講座の先生と学生たちの写真
JF講座の先生と学生たち

 昨年9月にモスクワ市立教育大学(以下、MGPU)でスタートしたJF日本語講座も、2学期目を迎えている。1学期の2クラスが持ち上がり、新たに2学期の2クラスが加わって、現在は4クラス(週2回)が運営されている。学習者数は約100名で、授業を担当する教員は6名(うち、日本人3名)である。

 JF日本語講座は、JFスタンダードに準拠した教科書『まるごと 日本のことばと文化』を使用したクラスであるが、この教科書は大変評判がいい。カラーのイラストや写真が多く、コミュニカティブなタスクも豊富で、音声インプットが多いことなどが教師・学習者双方に歓迎されている原因であろう。しかし、アンケートのコメントには、ロシア人の外国語学習に対するビリーフとも言える「文法をもっと教えてほしい」という要望も多く見られる。考えてみると、彼らの母語であるロシア語が、複雑な格変化を有する「文法言語」であるから、そうした母語の影響なのかもしれない。

 今学期もそろそろ終盤を迎え、講座に対するアンケートを取る時期になっている。また「もっと文法を!」の声が聞かれそうである。文法を前面に出すことを極力控え、コンテキストに埋め込みながらコミュニケーション能力を高めようと意図する『まるごと』と、明示的な説明を通して文法を理解し能力を高めたいと希望する学習者の狭間に立って、講座担当講師たちのむずかしいかじ取りがこれからも続いていく。  

 JF日本語講座の教室があるMGPUにも1学年30名ほどの日本語専攻の学生がいて、彼らは3年生になると、日本語教授法の授業を受けることになっている。専門家もこの授業を一部担当しているが、みな大変熱心である。ロシアの日本語教師の需要はまだまだ少なく、将来が開けているとは必ずしも言えないが、日本語教師の道を目指してがんばっている学生たちに、一人でも多くいい日本語教師になってほしいと願いながら授業を続けている。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 モスクワ市立教育大学(略称:MGPU
Moscow City Teachers’ Training University
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国際交流基金モスクワ日本文化センターとモスクワ市立教育大学(以下、MGPU)との協定に基づき、2011年度から、JF日本語講座がMGPUの2教室で開講されている。MGPUは初・中等教育の教員養成を目的に、2005年、モスクワ市のリーダーシップにより創設された。JF日本語講座はJF日本語教育スタンダードに準拠したコースを提供しており、専門家は、このJF講座の管理・運営を主な業務として行っている。
所在地 Russia, 105064, Moscow, M.Kazenny per., 5
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
東洋学学部 日本語学科
日本語講座の概要
沿革
講座(業務)開始年   2011年
国際交流基金からの派遣開始年 2012年
コース種別
一般講座 初級N1(N11,N12)
現地教授スタッフ
常勤1名(邦人)非常勤5名(うち邦人2名)
学生の履修状況
履修者の内訳   N11:49名、N12:44名
学習の主な動機 日本語、日本文化への興味
卒業後の主な進路 まだ卒業生なし
卒業時の平均的な
日本語能力レベル
中級B2レベルを目標としている。
日本への留学人数 なし

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