世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ウクライナにおける日本語教育の広がりと深まりー地域・世代を超えて

キエフ国立大学
森田淳子

ウクライナにおける国際交流基金派遣者の活動概要

現在、ウクライナへの国際交流基金派遣者数は首都キエフに3名、私が所属するキエフ国立大学(以下、キエフ大)に日本語専門家(以下、専門家)1名、ウクライナ日本センターに専門家1名、キエフ国立言語大学(以下、言語大)に日本語指導助手1名です。それぞれの派遣先機関での日本語の授業やイベントなどの業務のほか、機関を超えた日本語教育活動の支援を行っています。主な事業は、日本語能力試験(国際交流基金・ウクライナ日本語教師会(以下、教師会)共催)、ウクライナ日本語弁論大会(教師会・会場校共催)、ウクライナ日本語キャンプ*1(言語大主催)、全ウクライナ国際公開シンポジウム*2(キエフ大主催)、ウクライナ日本語教育セミナー(教師会主催)などです。

教師から学生へ、首都から全国へーウクライナ日本語弁論大会の発展

上記事業の一つ「ウクライナ日本語弁論大会」は昨年、第20回目を迎えました。各地の予選や教育機関の推薦を経て全国から約20名の学習者が参加する大会で、在留邦人数が限られるウクライナにおいて学習者が日頃の学習成果を発揮できる貴重な場となっています。第18回大会までウクライナ語司会をウクライナ人教師、日本語司会を日本人教師が務めていましたが、第19回大会はウクライナ語司会をウクライナ人学生が、そして昨年の第20回大会ではウクライナ語・日本語いずれも過去の大会に出場した学生が務めました。回を重ねるに連れて、過去の出場者がこのように司会を務めたり、日本に留学したり、さらには日本語教師になったりするなど歴史も積み重ねられています。日本は20歳で成人を迎えますが、昨年度の大会では教師会長が「第20回を迎えて、この大会も大人になりました」と挨拶しました。第21回大会は今年9月、ウクライナ西部のリヴィウ国立大学を会場に開催予定です。首都キエフ以外で初めて行われる記念すべき大会となりますので、来年度の本ページにて大会の様子をお伝えしたいと思います。

「第20回ウクライナ日本語弁論大会」優勝者の画像
「第20回ウクライナ日本語弁論大会」
優勝者

同大会司会者2名の画像
同大会司会者2名

学習者の多様化と今後の方向性

弁論大会だけでなく、例年実施している日本語能力試験についてもキエフのほかリヴィウ、ハリコフ、ドニプロ、オデッサ、ミコライフという地方都市でも各地の先生方が取りまとめ、出願されています。日本の小学校に該当する学年から60代まで、幅広い世代の方が受験しています。地方・世代の広がりだけでなく、年々、大学や日本センター以外での教育機関や独学など学習機関や環境も多様化しています。専門家の地方への派遣、あるいは地方巡回といった地域支援型の活動にも力を入れる体制づくりが望まれています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Taras Shevchenko National University of Kyiv
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ウクライナの最高学府。日本語教育では、キエフ国立言語大学と共に代表的な日本語教育機関の1つ。在ウクライナ日本国大使館、日本語教師、通訳、日本企業の社員等、ウクライナ国内で日本語を使う職業に携わる者を多く生み出している。専門家業務は各学年の日本語授業の他、現地教師と共に学科の運営、シンポジウム開催等の助言を行う。また、ウクライナ日本語教師会運営支援をはじめとした国内の日本語教育支援、及びモルドバの日本語教育支援、キエフ国立言語大学派遣日本語指導助手への指導も業務である。
所在地 14 Bulvar Taras Shevchenko, 01601, Kyiv, Ukraine
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
言語学院 中国語・韓国語・日本語学科
日本語講座の概要
沿革
  講座(業務)開始年 1991年主専攻講座開設
1999年から毎年開講
  国際交流基金からの派遣開始年 1996年
 
コース種別
  主専攻(英語とのダブルメジャー制)
 
現地教授スタッフ
  常勤12名(内邦人2名)、非常勤 1名、専門家1名、計14名
 
学生の履修状況
  履修者の内訳 主専攻約100名(学部:各学年約20名、修士:各10名)
  学習の主な動機 留学、日本企業への就職希望、日本文化への興味
  卒業後の主な進路 就職、進学、留学、日系機関・企業や外資系企業就職
  卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験N2程度
  日本への留学人数 毎年10名程度

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