世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ビジネス日本語コースが開始されました

ウズベキスタン・日本人材開発センター
山口 明

ビジネス日本語 ロールプレイの写真
ビジネス日本語 ロールプレイ

「もしもし、ABCコンサルティングのストーンと申しますが。課長の佐々木様いらっしゃいますか」
「佐々木でございますね。少々おまちください」
  向かいあった電話で、電話取次ぎの練習が始まっています。
  ここは1月から始まったビジネス日本語コースの教室です。3か月が過ぎ、電話の応対、敬語の使い方にも慣れてきたようで、調子よくロールプレイが進んでいます。
  ウズベキスタン・日本人材開発センターはウズベキスタンの経済の更なる発展を担う人材の育成に貢献するため、ビジネスコースで、日本の経験・知見を生かした国際レベルの経営実務等の各種研修を実施し、ビジネスマネジメントのスキルを有した有力なリーダーの育成を行っています。また、相互理解促進事業としては、日本の文化・習慣等の紹介や体験ができる講習会等を実施しています。そして、広く両国国民レベルの友好関係・交流促進のため、日本語教育を行っています。
  日本語コースで開講された「ビジネス日本語コース」は、ビジネスの知識を持ち、日本語を使って日本人と仕事をすることも想定しています。ビジネス、日本語、相互理解の全ての要素が関わってくるコースと言えます。
  日本語コースの一般コースは初級と中級がそれぞれ2年間、計4年で終了します。その他に、特別コースとして、通訳コース(現在は「観光ガイドのための日本語コース」として実施)、日本語能力試験対策講座(1級、2級レベル)、帰国子女コース(日本に滞在経験のある5-10歳の児童対象)などがありますが、今年の1月から新しく「ビジネス日本語コース」が開講されました。

 日本企業にとって、ウズベキスタンでのビジネスは政治的・経済的な理由からまだまだ難しく、残念ながら、ウズベキスタンの日本企業が日本語能力を備えた人材を必要としているという状況ではありません。しかし、日ウ経済関係は徐々に発展しつつあり、実際に社員の日本語教育に関心を持っている企業もあります。
  若い日本語学習者は留学を当面の目標としている人が多いのですが、その先の日本企業への就職を、漠然とですが希望している人も少なくありません。「ビジネス日本語コース」は、ビジネス会話の練習、用語の習得だけでなく、実際のビジネスに関する知識、日本の商習慣、日本企業の特徴はもちろん、経済、法律、時事問題など広い知識も学ぶコースです。

ビジネス日本語 授業の写真
ビジネス日本語 授業

 教材は『ビジネスのための日本語』(スリーエーネットワーク)、『商談のための日本語』(スリーエーネットワーク)、『ビジネス漢字』(Tuttle Shokai INC)ほか、日本経済新聞の記事やNHKニュースの録画などの生教材も使用しています。
  目標は(1)日常のビジネス会話がおおむね理解できる (2)会議、商談、電話での応対などで相手の話すことがある程度理解できる (3)対人関係に応じた言語表現の使い分けが少しできる (4)日常的な社内文書やビジネス文書がおおむね理解できる (5)日本のビジネス慣習に対する理解がある程度ある…などで、最終的に、日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施しているビジネス日本語能力テストJ2レベルを目指しています。
(参考サイト http://www.jetro.go.jp/course/bjt/)

 ウズベキスタンの学習者にとって尊敬語、謙譲語の使い分けの時、「内、外」の関係が理解しづらく、相手の尊敬語表現につられて自分に対しても尊敬表現を使ってしまうという誤用が起こりやすいようです。何回もロールプレイを通して正しい使い分けができるようになりますが、時間をおくとまた使い分けがあやふやになってしまうことがよくあります。現在、学習者は8名ですが、実際に仕事をしていて、日本語学習がすぐに役立つ可能性があるのは2人だけです。他の6名は大学生で、将来のことを考えて受講しているようです。

 このコースの開講にあたってジェトロのタシケント事務所の後援も受けることができました。今後は日系企業のリーダーを教室に迎えてのビジターセッション、企業へ学習者をインターンとして送り出す実地研修などができればと考えています。そして将来、ビジネスの日本語の力を生かした就職の道が開かれることを願っています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
ウズベキスタン日本人材開発センターは、国際協力事業団(JICA)とウズベキスタン政府との協定に基づき設立され、市場経済化のための人材育成(ビジネスコース)、日本語コース、相互理解促進、ITを4本柱として活動を進めている。同センターの日本語コースでは日本語講座が活動の柱になっており、専門家はこの日本語講座を担当しつつ、日本語弁論大会支援、日本語教師会運営支援、年少者日本語学習者発表会、日本語能力試験、研究発表会等の活動を行っている。
ロ.派遣先機関名称
Uzbekistan-Japan Center For Human Development
ハ.所在地 6th Floor, International Business Center, 107-B, Amir str., Tashkent, 700084, UZBEKISTAN
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家1名  日本語教育指導助手1名 (2008年7月まで)

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