世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ウズベキスタンのJF専門家ふたたび

ウズベキスタン日本人材開発センター
近藤 正憲

ウズベキスタンの日本語教育とUJC

ウズベキスタンの国際交流基金(以下、基金)の日本語専門家(以下、専門家)派遣は2001年に、ここタシケントのウズベキスタン日本人材開発センター(以下、UJC)で始まりましたが、2010年後半から2年間、JICAの青年海外協力隊員の派遣に切り替わり、その後、筆者が基金専門家としてUJCに2012年9月、再び赴任してきました。これからどうぞよろしくお願いします。

ウズベキスタンはユーラシア大陸の真ん中にあります。地図で見るとそれほど大きくは見えませんが、人口は中央アジアで最も多く、国の中には世界遺産に指定された街が4つあり、日本やヨーロッパからの観光客も多く訪れます。観光地の売店やバザールでは外国語に長けた売り子たちが、フランス人にはフランス語で、韓国人には韓国語で声をかけてきます。商売上手な民族として知られるソグド人たちの伝統が今のウズベキスタンの人たちにも受け継がれているのかもしれません。

UJCは4つの事業をその柱にしています。ビジネス人材を育てるビジネスコース、日本語を学ぶ日本語コース、日本とウズベキスタンのそれぞれの文化を紹介する相互理解事業、聴覚障碍者のためのITコースの4つです。

中でも日本語コースはタシケントでは最大の、一般に開かれた日本語コースとして人気を集めています。一般成人向けのコースの他に、年少者向けのコースもあります。

日本語ガイド目指して、ブハラにて練習中の写真
日本語ガイド目指して、ブハラにて練習中
2012年度UJC日本語コース祭りのひとコマの写真
2012年度UJC日本語コース祭りのひとコマ

また世界遺産の街ブハラにはUJCの分室があります。この街唯一の日本語教育機関です。ブハラ分室の日本語講座も一般に開かれた講座で、ここで日本語を学ぶ人たちは小学生もいればプロのガイドさんたちもいます。日本の皆さんが、有名な観光地であるブハラを訪れたときには日本語を話す人にきっと出会うと思いますが、その人はUJCで勉強した人かもしれません。

UJCは日本語コースを運営するだけではありません。タシケントのUJCでは日本語弁論大会や日本語能力試験をはじめとする、日本語や日本文化に関する大きな行事を行っています。2012年には中央アジア弁論大会がここで開かれ、ここでウズベキスタンのみならず、カザフスタン、キルギスの学習者たちが集まって弁論の出来を競いました。2013年からは年2回日本語能力試験を実施します。このようにウズベキスタンで日本に関係する大きな行事があるときは必ずといって良いほどUJCがそのお手伝いをしています。これからもウズベキスタンと日本を結ぶ大切な役割を果たしていけるよう、私たちは努力していきたいと思います。

ウズベキスタンの基金専門家に期待されること

ウズベキスタンの日本語教育の特徴は学習者数も教育機関数も大学などの高等教育機関の割合が大きいのですが、一方で一般社会人の間にも大きな学習需要が存在します。アニメ・マンガをきっかけに勉強しはじめた若者も、日本に長く滞在していて帰国した帰国子女やその保護者も、研修で日本に行くことになったビジネスマンも、時間に余裕ができて日本に興味を持ったシニア世代も、日本語学習者の予備軍です。そしてその人たちの多くは全くのゼロ初級者ではなく、何らかの知識と志向を持った新しいタイプの学習者です。そのような新たな学習者をUJCのコースに取り込んでいくことが求められています。

一方地方を中心に「日本語を勉強したいけれども先生がいない」という声も多く寄せられます。また、教師にはなったけれどどう教えたら良いのか分からないというような教師の方々も少なからずいます。このような地方の実情や教師の需要にもこたえて行く必要もあります。

また、ウズベキスタンはソ連邦からの独立後、社会におけるウズベク語の比重が飛躍的に高くなりました。今ではロシア語をよく理解できない若い世代が社会の大きな部分を占めつつあります。これまではロシア語で書かれた日本語教材に依存することができましたが、これからはそうは行かなくなるでしょう。自分たちの力で教材を開発していく努力をしないといけません。

現状の維持発展のための努力の他にもウズベキスタンの日本語教育に資するアイディアはたくさんあるでしょう。現地の教師の皆さんと話し合い、問題点を探し、解決策を探し、一つ一つ実現して行く音頭取りをすることがUJCのJF専門家に期待されていることであるように思います。今年度から「まるごと」を教材として活用した講座が本格的に導入されますが、これをウズベキスタンの日本語教育の改善に役立てていきたいと考えています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Uzbekistan-Japan Center For Human Development
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ウズベキスタン日本人材開発センターは、国際協力機構(JICA)とウズベキスタン政府との協定に基づき2001年に設立されたNPOである。現在ビジネスコース、日本語教育、相互理解促進事業、聴覚障碍者向けITコースを4本柱として活動を行っている。日本語コースでは、一般向けの日本語講座の運営とともに、日本語コース祭りや年少者日本語学習成果発表会などの催しを実施している。また、ウズベキスタン日本語教師会による日本語弁論大会、日本語教育セミナーなどの実施支援を行い、UJC独自の教師研修、日本語教育ネットワーク会議、専門家の巡回指導の実施を通じてウズベキスタン国内全体の日本語教育の発展に努めている。
所在地 6th Floor, International Business Center, 107-B, Amir Temur str., Tashkent,700084, UZBEKISTAN
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2001年。2010年度に一度中断、2012年度に派遣再開。

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