世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ウズベキスタンの日本語教育の最近の動き

ウズベキスタン日本人材開発センター
日本語上級専門家 近藤正憲

ウズベキスタンの日本語教育の近況

ウズベキスタンの日本語教育の特徴といえば、まず、大学生の学習者が多いこと、次に首都に学習者も教育機関も集中しているということです。これらの特徴は1990年代の東欧諸国の日本語教育に似ています。しかし、当時の東欧諸国と今のウズベキスタンと比べて大きく違う点は、日本のポップカルチャーをはじめ様々な日本文化について学習者がすでに多くのことを知っているということと、学習者が教師に頼らず学習を進めていることのように思います。

もちろんかつての東欧諸国にも限られた書籍を片手に勉強を重ねていた学習者はいましたが、当時の学習者の年齢層は大学生以上で、現地で得られる情報は少なく、独学の学習者の会話の能力も限られたものでした。しかも機関に属さない人は日本語学習にアクセスする手段を持たず、日本についての知識は個人的な趣味などに限られていました。

しかし現在のウズベキスタンの学習者はインターネット上の動画や文字情報で多くの知識を得、ネット空間上で日本人と友達になり、さらに一歩を踏み出すために教育機関にやってきます。これらの学習者の多くは年少者で、しかも、その傾向は首都だけにとどまらず、地方でも起きています。彼ら年少学習者へのアプローチがこれからのウズベキスタンの日本語教育の課題であるように思います。

わかば祭りの写真
わかば祭りの一コマ

UJCでは年少日本語学習者に対する奨学事業の一つとして「わかば祭り」を行いました。ここで年少者たちは弁論大会や音楽やダンスの発表をしてくれました。この国の子どもたちは、概して礼儀正しいのですが、普段は大人しく真面目な子でもこのようなイベントの時には全く異なった顔を見せてくれます。そのようなところがイベントの面白さだと思います。

ウズベキスタンの年少学習者の多くは日本へ留学したいと口にします。私はそんな時はいつも、「もちろんたくさんの努力が必要だけれど、不可能ではない。挑戦する価値はある」と言ってきました。年少者の皆さんには是非積極的にチャレンジしてほしいと思います。

第19回中央アジア日本語弁論大会の開催

弁論大会の写真
中央アジア弁論大会での
日本ウズベク音楽アンサンブル

2015年5月2日に中央アジア日本語弁論大会がタシケントで開催されました。この大会はウズベキスタン、カザフスタン、キルギスの3カ国が持ち回りで開催しており、これに近隣のタジキスタンとトルクメニスタンの代表も参加してもらっています。この大会は今回で第19回を迎えました。

実は中央アジアの国々の間を行き来するのは簡単ではありません。それぞれの国には自国民が出国することと他国民が入国することに、もちろん一定の規制があり、その上飛行機の便もかなり不便にできていて、予定を組むのはとても大変です。引率する日本人にビザを課している国もあります。それでも主催国と参加国の教師と参加者の熱意が20年近くも続くこの大会の伝統を支えています。

参加者・引率者の方々の中には10時間以上を自動車で移動してタシケントまで来てくださった方々もいました。各国の参加者は移動の疲れも見せず、自らの弁論に磨きをかけ、発表してくれました。かなりの接戦になりましたが5名の入賞と1名の特別賞が決まり、無事大会の幕が下りました。

今回ウズベキスタンで近隣国の参加者・引率者の皆さんをお迎えできたことは、主催の仕事に携わったものとして大変うれしい経験でしたし、一人の教師としても大変貴重な経験でした。この伝統ある大会が末永く続くよう心から祈っています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Uzbekistan-Japan Center For Human Development
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ウズベキスタン日本人材開発センター(UJC)は、国際協力機構(JICA)とウズベキスタン政府との協定に基づき2001年に設立されたNPOである。現在ビジネスコース、日本語教育、相互理解促進事業、聴覚障碍者向けITコースを4本柱として活動を行っている。日本語教育では、一般向けの日本語講座の運営とともに、日本語コース祭りや年少者日本語学習成果発表会などの催しを実施している。また、ウズベキスタン日本語教師会による日本語弁論大会、日本語教育セミナーなどの実施支援を行い、UJC独自の教師研修・ネットワーク会議の開催、教材制作、日本語能力試験の実施を通じて当国全体の日本語教育の発展に努めている。
所在地 6th Floor, International Business Center, 107-B, Amir Temur str., Tashkent,700084, UZBEKISTAN
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2001年。2010年度に一度中断、2012年度に派遣再開。

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