国際交流基金日本語教育紀要 12号 要旨

研究論文

日本留学志望のマレーシア人学習者の漢字学習ストラテジー
-学習期間にともなう変化と成績による使用傾向の特徴-

本文【PDF:440KB】
谷口 美穗

本研究では、予備教育課程で学ぶマレーシア人日本語学習者100名に、漢字学習ストラテジーに関する質問紙調査を入学後4ヶ月と1年の2回実施し、学習期間が長くなることによるストラテジーの使用状況の変化と成績上位者の使用するストラテジーの特徴について分析した。その結果、1)学習期間が長くなるにつれて、漢字の知識を整理するためのストラテジーの使用頻度が高くなるが、その傾向が成績上位群において強いこと、2)学習期間が長くなるにつれて、「覚えるまで何度も書く」というストラテジーの使用頻度が下がり、その他の記憶ストラテジーや補償ストラテジーの使用頻度が上がること、3)成績上位群は「できるだけ漢字を使用する」というストラテジーを継続的に高頻度で使用していることが明らかになった。また、授業で扱われる漢字を整理するための知識が、学習者の漢字学習ストラテジーの選択に影響を与えている可能性が示唆された。

実践報告

「見る!日本語の教え方」プロジェクトの実践
本文【PDF:624KB】
福永 達士・大谷 つかさ・プラパー セーントーンスック

本稿は、インターネットの動画配信サービス及びSNS を活用した「見る!日本語の教え方」プロジェクトについて報告するものである。本プロジェクトは「見て、すぐにわかる」「見て、すぐに授業で使える」をコンセプトに、タイ中等教育機関で日本語を教える教師を対象とし、2014年5月から2015年2月にかけて、計97本の動画配信を行なった。内容は、タイの中等教育機関で多く使用されている『あきこと友だち』の活動例や、クラスコントロール、Team Teaching のアイディアなど多岐にわたる。本稿では、プロジェクトの目的と動画の開発経緯、また、主に利用者アンケートによるプロジェクト評価にもとづき、明らかになった課題と今後の展望を述べる。

21世紀型スキル育成を目指した学習者体験型教師研修
-タイ人中等教育教師の気づきと学び-

本文【PDF:1.44MB】
中尾 有岐

タイの中等教育では、これからのグローバル社会で必要とされる「21世紀型スキル」の育成が期待されている。それは現場でも認識されているものの、その必要性や日本語教育への取り入れ方については疑問を持ったままの教師も少なくない。そこで、タイ教育省と国際交流基金バンコク日本文化センター主催の「教師キャンプ」では、参加者である教師が、学習者としてプロジェクト型学習を体験した上で、教師の立場に戻って活動をふりかえり、21世紀型スキルの必要性と、それをどのように日本語教育へ取り入れるかについて考える機会を設けた。参加者のアンケート、レポート、インタビュー結果から、「21世紀型スキル」や「教師の役割」などの重要性に気づき、日本語の授業でもそれらの能力を育成すべきだと考えるようになったことがわかった。

モンゴルにおける初中等教育機関向け日本語教科書の開発
-プロフィシェンシー重視と自律学習支援への取り組み-

本文【PDF:755KB】
片桐 準二・スレン ドルゴル・ダワー オユンゲレル・中西 令子・浮田 久美子・牧 久美子

モンゴルでは初中等段階の日本語学習者が全体の約7割を占めるに至っているが、初中等教育全体で統一したシラバスや教材がない。そこでモンゴル日本語教師会は「初中等教育機関向け日本語教科書作成プロジェクト」を実施し、モンゴル日本語教育スタンダードと共に教科書シリーズ『にほんごできるモン』を開発することとした。同スタンダードの理念は(1)社会の中で自分の考えを自由に表現し、相互理解するのに必要な外国語能力の育成、(2)子供たちが自分自身の力で学習を進めていく能力の育成であり、教科書にはプロフィシェンシー重視と自律学習支援の2つの特徴がある。新教科書を使用する教師とのやり取りから教科書が改善でき、学習者自身も話す能力の向上を感じているという報告を聞くが、一方で、教師には「書くことが学習である」という従来からのビリーフがあり、教科書が変わっても新しい教え方にならない等の課題が残っている。

タスマニア州におけるアドボカシー活動の試み
Nihongo Roadshow の事例から

本文【PDF:492KB】
千馬 智子・中島 豊

国際交流基金シドニー日本文化センターでは、従来教師研修や学習者奨励活動などの事業を行ってきた。しかし近年は全豪日本語教育シンポジウムの実施などを契機としアドボカシーの重要性にも目を向けており、そのパイロット事業として、タスマニア州においてアドボカシー活動を試みた。本稿では、従来当センターが個別に行ってきた教師研修、学習者奨励活動などの事業をアドボカシーの観点から複合型事業として発展統合した、タスマニア州におけるNihongo Roadshow の概要を報告する。また、参加した教師から得られたフィードバックの分析を通じて、本企画がもたらした効果について考察する。さらに事業全体から得られた示唆や今回の試みによって見えてきた課題について述べる。

報告

ブラジルの年少者に対する日本語指導の現状と課題
本文【PDF:370KB】
柴原 智代

日本語学習者のネット利用状況と学習サイトへの期待
-海外11拠点の調査結果から-

本文【PDF:465KB】
伊藤 秀明・石井 容子・武田 素子・山下 悠貴乃

『国際交流基金バンコク日本文化センター日本語教育紀要』のあゆみ
本文【PDF:544KB】
佐藤 五郎・ナリサラー トンミー

「日本語パートナーズ」派遣事業の概況
本文【PDF:461KB】
登里 民子

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