日本語教育通信 本ばこ 『日本語教師の7つ道具シリーズ5 読解授業の作り方編』

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

『日本語教師の7つ道具シリーズ5 読解授業の作り方編』

著者:大森雅美、鴻野豊子
出版社:アルク(http://www.alc.co.jp/

日本語教師の7つ道具シリーズ5 読解授業の作り方編

書籍情報:http://shop.alc.co.jp/spg/v/-/-/-/7013045/
発行日:2013年12月
ISBN:978-4757424050
判型・頁数:B5判 128ページ

 本書は、読解授業をテーマにした教師のための参考書です。何を読むか、どう読むか、どう教えるか、という観点から、教師にとって必要な情報や役に立つ実践例がわかりやすく示されています。

本書の構成

 本書の構成と内容は以下の通りです。

Ⅰ 読解授業は難しい?
 読解授業の目的とは?
 いきなり読むのは難しい
 読んでいる間、教師は?
 理解度をどうやって確認する?
 読解授業のカリキュラムって?
Ⅱ 教える前に
 1 読み方の種類
 2 読解授業の目的
Ⅲ 授業を組み立てよう
 1 基本の流れ
 2 教材を準備する
 3 カリキュラムの作り方
 4 評価する
Ⅳ 読解授業あれこれ
 読み方いろいろ
 読み物いろいろ
 読んだ後のバリエーション
 お薦めの読解授業素材
巻末付録

「読み」を教える目的とは?

 第Ⅰ章では、読解授業の目的や手順、教師の役割などを教師と学習者双方の立場から振り返ります。そして第Ⅱ章では、読み方と読む目的を切り口に、「文を読む」という行為についての解説が続きます。授業では音読や精読に偏りがちですが、読み方は、朗読、黙読、速読、多読とほかにも様々あり、目的にあわせて読む実践力を養う必要があるとしています。また、著者が特に強調しているのは、日本語の使い方や読解力そのものを身につけることだけで授業を終わらせるのではなく、「読み」を楽しむことです。「読み」は本来、内容理解をして終わりではなく、そこから考える、感じるなどほかの行為につながっていくものです。そこで、授業では質問に対しての「正答を求める読み」から「思考を求める読み」にするための工夫が必要となります。例えば、読んだ後で、考えたことをクラスで話し共有し合うことで他者の価値観を知り、読み手の思考を深めることが可能になると著者は述べています。さらに教師は、学習者が「自立した読み手」として読みたいものや、読む必要のあるものを自分で読めるようになるために、教室でできることは何か考えることが大切だとしています。

どうやって教えればいいのか?

 第Ⅲ章、第Ⅳ章では、授業の設計と指導について実践的な情報が次々に提供されます。第Ⅲ章では、まず精読の授業について、「読む前に」→「読む」→「読んだ後で」という3段階の「基本の流れ」に沿って、教え方が丁寧に紹介されています。さらに、教材の作り方、評価、カリキュラムデザインまで実例つきでとりあげられています。第Ⅳ章はリソース集的で、読み方、読み物、読んだあとの活動としてバリエーション豊かな様々な授業の例があります。

 本書は、教師が実際に行っていく作業一つ一つを具体的にとらえ、かつ幅広く扱っています。また、教育現場に直結した実践例や情報が豊富なだけでなく、たいへん丁寧に読みやすく書かれています。経験の浅い教師にはもちろん、ベテランの教師にとっても信頼できる参考書として役に立ちそうな1冊です。

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P.66-67

(来嶋洋美/日本語国際センター専任講師)

日本語国際センター図書館

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