日本語教育通信 本ばこ
『マンガで体験! にっぽんのカイシャ ~ビジネス日本語を実践する~』

本ばこ
このコーナーでは、最近出版された日本語教材や参考書の中から、「海外の先生にとって使いやすい教材」「授業や研究の役に立つ本」「知っていると便利な図書・資料」などを紹介します。

30のビジネス場面をマンガで楽しく学ぶ
『マンガで体験! にっぽんのカイシャ ~ビジネス日本語を実践する~』

『マンガで体験! にっぽんのカイシャ ~ビジネス日本語を実践する~』表紙の画像

編者:公益財団法人 日本漢字能力検定協会
出版社:公益財団法人 日本漢字能力検定協会
http://www.kanken.or.jp/
発行日:2017年3月15日

ISBN:978-4-89096-352-2
判型・頁数:B5判 96ページ

 本書は、日本のビジネス現場をリアルに描いたマンガを通して、ビジネスマナーやビジネス日本語を学ぶことのできるテキストです。

概要

 本書が対象としているのは、日本の会社で働こうと考えている人、すでに日本の会社で働いている人、さらには、日本に親しみや興味があり、日本や日本の社会について知りたいと考えている人です。マンガを通して日本の会社の中で日常的に起こるできごとや場面の中から問題を見つけ、自分ならどうするかを考えて、主体的に問題を解決できるようになることを目指しています。

 本書は三つの「Chapter」に10課ずつ、全部で30課あり、日本の会社で働く時の電話やメール、伝言のし方、日本人との接し方などについて学ぶことができます。それぞれの課にマンガがあり、外国人のチャタポーンくんとパナラットさんが、ある日本の会社に就職し、佐藤部長や先輩の李さんといっしょに仕事をする様子が描かれています。チャタポーンくんとパナラットさんの失敗体験と成長がマンガの中でおもしろく描かれているので、読者にとって楽しく読め、親しみやすくなっています。

P4、5の画像
P.4~5

課の構成

 見開き2ページで1課を扱うコンパクトな作りとなっており、60-90分程度の授業で扱いやすい分量になっています。また、「考えよう!」「使ってみよう!」などの設問もついています。
 例えば11課の「あれ?みんな、まだ帰らないの?」では、終業時刻に帰る際にまだ仕事をしている人への配慮を示す行動や表現を学びます。まず、「読む前に」で、終業時刻になっても周りの人がまだ仕事をしている場合、自分ならどうするかを考えてから、マンガを読みます。マンガでは、仕事が終わったパラナットさんが、まだ忙しそうな周りの同僚の様子を見て、帰りたくても帰れない状況に陥っているストーリーが描かれています。マンガを読んだあとは、「考えよう!」で、内容の確認や「あなたならどうしますか」などの質問に答える形で、終業時刻という場面においてどう行動すればいいかを考え、問題解決方法を探します。
 次に「解説」で、日本のビジネス習慣や、「何かお手伝いしましょうか」「お先に失礼します」のような表現を学びます。そして、「使ってみよう!」「会話を作ろう!」で、それらの表現を会話形式で声に出して練習します。

P30、31の画像
P.30~31

 課の順に進めなくてもよく、目次を見て興味のある課から学ぶことも可能です。また、各課の最後には、「ビジネス日本語にチャレンジ!」としてビジネス日本語の簡単な練習問題と解答・解説がついているので、ビジネス日本語関連の試験に興味のある人の参考になります。

活用の可能性

 本書は一人で学ぶことも可能です。見開き2ページの左上から順に設問があり、それに答えつつ、マンガを含めて読み進めるので、一人でも学びやすいでしょう。漢字が苦手な人の負担が少なくなるよう、ルビもついています。
 また、この本はビジネスに限らず、異文化理解のためのディスカッションテーマを考える参考にもなります。日本人とのコミュニケーションにおいて、文化習慣の違いから考え方や意見が異なることがあります。そうした文化習慣の違いやおもしろさに気づくためのヒントが、本書のマンガの中に盛り込まれています。例えば、例に挙げた11課では、自分がパラナットさんと同じ立場ならどうするかを考えることから発展させ、仕事と家族に対する価値観についてディスカッションすることもできるでしょう。
 文化習慣の違う人々がいっしょに働く場面がますます増えています。将来、日本で働こうと思っている人が「にっぽんのカイシャ」をのぞいてみる一つの方法として、また、ビジネス場面での問題解決力を身につけるきっかけとして、本書を活用してみてはどうでしょうか。

(栗原幸則/関西国際センター日本語教育専門員)

日本語国際センター図書館

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