日本語教育通信 授業のヒント
「ものづくり」を通じて学習意欲を高めよう
―うちわづくりを例に―

授業のヒント
このコーナーでは、海外の日本語教育の現場で、すぐに応用できる具体的な教え方のアイデア、ヒントを紹介します。

「ものづくり」を通じて学習意欲を高めよう
―うちわづくりを例に―

概要
目的
  • うちわを作る活動を通じて学習者の学習意欲を高める。
  • 考え、趣味、特技など、言語学習以外の面で発見・共有する場を作り、学習者どうしの理解を深める。
対象者
  • 年少者から成人まで全ての学習者。レベルは問わないが、特に入門・初級学習者に向いている。
クラスの人数
  • 何人でも

 外国語学習では、難しいことにぶつかると自信をなくしてしまい、学習意欲がわかなくなる学習者がいます。しかし、そこで学習の楽しさや達成感を味わう機会があれば、学習を続けていけるのではないでしょうか。教科書を使っての学習だけでなく、日本や日本文化と関係のあるもの(たとえば紙などで作るはし置きやしおりやうちわなど)をクラスのみんなと一緒に作り、その過程でお互いに教え合ったり良いところをほめ合ったりすれば、学習意欲を高めることができると思います。
 今回はこのような目的のために行なう「うちわづくり」という活動の流れと指導のポイントをご紹介します。

  • ふつうのうちわの画像
    ふつうのうちわ
  • 丸うちわの画像
    丸うちわ

 日本語国際センターでは左の写真のように日本で手に入りやすいふつうのうちわで活動をしています。電気屋さんや街角で配っている宣伝用のうちわをもらってきて、水につけて紙を取り除いたあと、あらたに紙を貼り、さらに手作りの模様を貼り付けるというやり方です。しかし、海外ではふつうのうちわが手に入りにくいので、今回は右の写真のような丸うちわの作り方を取り上げます。

■材料と道具の用意

(1)丸うちわの台紙用画用紙3枚(色が違う画用紙)、切り紙の図案

色違いの画用紙の画像

 *画用紙はどんな色でもいいです。
(2)折り紙一人2~4枚(色が違うほうがいい)
 折り紙がない場合は色の付いている紙、古いカレンダー、ポスター、チラシなどでもいいです。

色違いの折り紙の画像

(3)はさみまたはカッター、のり、えんぴつ
(4)教師は事前に次のサイトを参考に切り絵の作り方を覚えておきます。
 かみ紙アート

■活動の実施

 この活動は次のような流れで行ないます。

活動の前に

うちわの役割や日本と自国のうちわの比較など

 ⇒ 
活動の実施

作りながら見せ合ったり教え合ったりして交流する

 ⇒ 
活動の後

お互いの作品を楽しみ、交流を深める

  • 記念写真をとる
  • 作品を展示する

 日本では暑さ対策として昔からうちわが使われています。うちわの役割について簡単に紹介し、自分の国の暑さ対策の道具と比べながら少し話し合わせてから実際にうちわ作りに入ったほうがスムーズに進みます。
 丸うちわの作り方について簡単に紹介します。学習者のレベルによっては、媒介語で説明します。

(1)丸うちわの台紙を作ります。
 丸うちわ型紙[PDF:16KB]を使って画用紙3枚を同じ大きさに切ります。
  • 丸うちわ型紙を印刷した画用紙の画像
  • 丸うちわの形に切り抜いたものの画像
(2)台紙となる画用紙の両面に、色のついた画用紙を貼り合わせます。

3枚張り合わせたものの画像

(3)折り紙とはさみとえんぴつで切り絵を作ります。
 切り絵はいろいろな図案がありますが、今回は下の切り絵をご紹介します。

「かみ紙アート」切り紙図案の画像

 かみ紙アートというサイトに、この切り紙の作り方の動画があります。
(4)折り紙の折り方
 ここでは12折りの折り方を紹介します。12折りの折り方[PDF:67KB]を使ってください。

12折りの折り方の画像

(5)折った紙に切り絵の図案をえんぴつで描きます。

鉛筆で図案を描くところの画像

(6)描いたところをはさみで切り取ります。
  • 図案を描いたところの画像
  • はさみで切り取るところの画像
(7)切り取ったものを広げます。

切り立ったものを広げたところの画像

(8)切り絵は違う図案で2~4枚作ります。
 かみ紙アート華嵐堂などのサイトで切り絵の図案が探せます。
 また、10折りの折り方[PDF:62KB]もあります。
(9)出来上がった切り絵をうちわの両面に貼ります。

切り絵を貼り付けたうちわの画像

指導のポイント

  • 1.作る手順を教えるときは、よく使うことばだけ日本語にし、あとは媒介語でもかまいません。たとえば、「ます形」を習った後は、教師はモデルを示しながら、「このように折ります」「このように切ります」を使い、「て形」を習った後は、「このように折ってください」「このように切ってください」が使えます。また「まず、それから、最後に」を使って手順を教えることもできます。
  • 2.結果ではなく、作る過程が大切です。作りながら、「きれいですね」「上手ですね」とお互いにほめ合ったり、分からないところをお互いに教え合ったりするよう促しましょう。教師も積極的にほめましょう。
  • 3.人数が多い場合は、事前に何人かの学習者に教えておいて、当日の活動のとき、グループで指導の助手をしてもらうようにしても良いでしょう。
  • 4.最後に全員で記念写真をとったり、作品を展示したりすると、達成感につながりやすいです。

作品を持って記念写真

 日本語国際センターではうちわづくりを始め、いろいろな活動を行なっています。詳しい報告は下記の「みんなの教材サイト」を参照してください。

  • 「切り絵で飾るうちわ」 「みんなの教材サイト」にログインし、「切り絵」というキーワードで検索します。
  • 「折り紙で楽しむ節分」 「折り紙 節分」というキーワードで検索します。
  • 「箸置き・箸袋ワークショップ」 「箸袋」というキーワードで検索します。
  • 「ちぎり絵でしおりと小物入れを作ろう!」 「しおり」というキーワードで検索します。
  • 「七夕ワークショップ」 「七夕飾り」というキーワードで検索します。

(高 偉建/日本語国際センター専任講師)

ページトップへ戻る