日本語国際センターについて

国際交流基金日本語国際センター25周年記念事業
第26回日本言語文化研究会「自国の日本語教育を語る(14)」(開催報告)

国際交流基金日本語国際センター25周年ロゴ

2014年11月29日(土曜日)、日本語国際センターと政策研究大学院大学で運営している大学院学位プログラム「日本語教育指導者養成プログラム(修士課程)」に在籍する学生(外国人日本語教師)4名が、自国(中国、タイ、ミャンマー、ブラジル)の日本語教育事情を報告する研究会を、日本語国際センターで開催しました。

日時
2014年11月29日(土曜日) 10時~12時30分
会場
国際交流基金日本語国際センター2階ホール
主催
国際交流基金日本語国際センター・政策研究大学院大学

当日は、日本語教育関係者を中心に90名の方が研究会に参加し、盛況のうちに閉会の運びとなりました。
本研究会につき、発表した学生4名がとりまとめた報告を以下のとおり掲載します。


発表者:田 甜(TIAN,Tian

田 甜氏の写真 所属機関:安徽城市管理職業学院(中国)
発表テーマ:中国安徽省の職業学院における日本語教育


国際交流基金2012年の調査によると、中国は世界一日本語学習者数の多い国となった。学習者の6割以上が高等教育機関の日本語コースで学習している大学生であることが、中国における日本語教育の一つの特徴として挙げられる。

高等教育機関には一般大学と職業学院があり、職業学院は高等教育において重要な位置を占めている。しかし、勉強しても就職につながらない現状に加え、近年中日関係の冷え込みの影響を受け、職業学院の日本語学科は入学者の減少に直面している。

本発表では、安徽省の職業学院における日本語学科の現状と課題、すなわち、独自の日本語教育システムの構築、教師の専門性の向上、日本語の教育及び学習環境の整備について述べた。

職業学院独自の日本語教育システム構築のためには、職業学院の教育目標と学生の状況を的確に把握し、それに合わせてコースをデザインすることが急務となる。教師の専門性の向上については、日本語教師研修会や、大学教師の企業研修プログラムなどの取り組みがすでに行われており、継続が望まれる。最後に、日本語の教育及び学習環境の整備について、すでに大学内の環境作りに教師たちが力を入れていること、また、今後大学外の環境作りに職業学院間の情報交換、企業との連携、日本の専門学校や短大との連携が必要であることが考えられる。


発表者:アーライヤート, ガン

アーライヤート, ガン氏の写真 所属機関:泰日工業大学(タイ)
発表テーマ:タイ人技術系大学生の日本語学習—泰日工業大学について—


泰日工業大学(Thai-Nichi Institute of Technology)は、日本の「ものづくり」という考え方に基づいて、グローバル時代を迎えたタイ産業、日系企業のニーズに応じるために専門能力、及び語学を教えている。泰日工業大学では全ての学生が日本語を必修科目として登録しており、技術系の学生が全員日本語を学習することに特徴がある。

泰日工業大学の日本語コースは2種類に分けられている。全学部の日本語コースと経営学部「日本語・経営学」専攻の日本語コースである。経営学部「日本語・経営学」は他学部・他専攻に比べて日本語に重点を置いたカリキュラムデザインになっている。

全学部の日本語コース
(経営学部「日本語・経営学」専攻を除く)
経営学部
「日本語・経営学」専攻の日本語コース
1年生から3年生まで学習するBusiness Japanese1-5(初・中級レベル) 1年生と2年生で学習する科目はJapanese for Business Administration1-8(初・中級レベル)
各科目3単位、週2コマ×1.5h×15週(半期) 各科目3単位、週4コマ×1.5h×7週(半期(15週)の間に2科目履修)
学習者数は1学年に約800名 学習者数は1学年に約180名
  3年生は選択科目のみ、4年生の上級科目はJapanese Studies

それぞれのコースは学習時間が少なく、学習者は日本語専攻ではないため、会話力が伸びない学生がいるという問題点があった。それに対して、現在までの取り組みとして、日本人ボランティアクラスやチャットルームクラスの設置、インタビュー試験の導入などを実践し、「話す」能力の大切さについて、学習者の意識も高めようとしている。


発表者:ミィン ミィン テイン

ミィン ミィン テイン氏の写真 所属機関:マンダレー外国語大学(ミャンマー)
発表テーマ:マンダレー外国語大学の学部における日本語教育の現状


本発表では、主にミャンマーの教育制度、外国語教育政策、日本語教育の現状及びマンダレー外国語大学における学部の日本語教育の現状について述べた。

まず、ミャンマーの教育制度について現在の大学入学制度とこれからの大学に独立権を与える計画があることを伝えた。ミャンマーの学校教育においてはヤンゴン外国語大学とマンダレー外国語大学でのみ日本語教育を実施している。また近年、学校教育だけでなく、民間日本語学校もあり、学習者数の約7割が学校教育以外で学んでいる。

次に、マンダレー外国語大学の学部コースで日本語を学んでいる学習者の学習目的が、社会の変化と関連していることを説明した。3、4年前に比べると、国が民主化され、国際交流が盛んになり、日本との関係が良くなり、日本語学習者の留学機会が多くなった。また、日系企業進出の増加で就職機会も多くなった。しかし、マンダレー外国語大学の学習者は言葉と文法はよくわかるものの、会話はあまりできない。また、企業の望む日本語能力(JLPT N1、N2レベル)に達する人も少ない。この問題解決のためには、教授法、カリキュラム、シラバスの変更が必要であること、教師側もコミュニカティブ・アプローチなどの教授法を学び、教授能力を高めていく必要があることを説明した。


発表者:ノゲイラ・メロ,ワヂソン

ノゲイラ・メロ,ワヂソン氏の写真 所属機関:セアラ州立大学(ブラジル)
発表テーマ:ブラジルにおける日本語教師の養成−セアラ州立大学付属日本語講座の教師を例に−


ブラジルでは、日本からの移民が多かったことから、長年、日系人子弟を対象にした日本語教育が中心であった。しかし、2008年の日本人ブラジル移住100周年のころから、日本のポップカルチャーなどに関心を持つ非日系人が多くなってきている。

地方別にみると、セアラ州立大学がある北東部地方は、ブラジルで日本語教育の規模が最も小さい地方である。一方、日本人の移民が多かったサンパウロ州がある南東部地方は、日本語教育の規模が最も大きい地方である。日系人や日系企業は、南東部地方に集中しており、北東部地方は、日系人社会や日系企業との接点が非常に限られていて、日本語教育の学習環境としてはあまり恵まれていない。

発表では、まず、セアラ州立大学の日本語講座について説明した。セアラ州立大学の日本語講座は、日本語と日本文化に興味を持っていたフォルタレーザ市民の声に応え、1993年に公開講座として始められた。日本語と日本文化、日本社会について情報や知識を提供する他に、JF 日本語教育スタンダードのA2レベルの日本語能力を身につけさせることがコース全体の目的である。

セアラ州には日本語教師を養成できる機関がないため、セアラ州立大学には、日本語教師養成を受けた教師が少なく、授業運営に問題が見られた。特に問題となっていたのは、学習者がコースを修了しても日本語で話せるようにならないことである。そこで、当講座の教師養成のための日本語教授法コースが実施された。コースでは、「話す技能」「外国語教授法」「社会言語能力」「談話能力」「ストラテジー能力」「学習動機の向上」「授業の流れ」の7つのトピックを扱い、教授法能力向上の第一歩となった。

お問い合わせ

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