日本語国際センターについて

国際交流基金日本語国際センター25周年記念シンポジウム
課題遂行を出発点とした言語学習デザイン
−『まるごと 日本のことばと文化』の挑戦−

関連図書の展示の様子の写真関連図書の展示の様子 日本語国際センターでは設立25周年を記念し、2015年2月1日(日曜日)にシンポジウム「課題遂行を出発点とした言語学習デザイン−『まるごと 日本のことばと文化』の挑戦−」を開催しました。日本語教育関係者を中心に180名を越える方に来場いただき、盛会となりました。当日は図書館において、関連図書の展示やウェブサイト「まるごと+(プラス)」別サイトへ移動しますのデモンストレーションも行われました。(当日のプログラム詳細レジュメ及び投影したスライドは、本ページ下部の資料よりダウンロード可能です。) 国際交流基金は2010年に「相互理解のための日本語」を理念に掲げ、「JF日本語教育スタンダード」別サイトへ移動します (以下、JFスタンダード)を発表しました。この理念を実現するためには、「課題遂行能力」と「異文化理解能力」の二つの力が必要だとJFスタンダードでは説いています。今回のシンポジウムでは、その中の「課題遂行能力」を取り上げました。

第1セッションの様子の写真第1セッションの様子 日本語国際センター教材開発チーム長の横山紀子からの趣旨説明の後、第1セッションで、教材開発に携わった日本語国際センター専任講師より、JFスタンダード準拠教材『まるごと 日本のことばと文化』別サイトへ移動します(以下、『まるごと』)の開発の経緯やねらいについて報告しました。『まるごと』は現在、入門(A1)、初級1(A2)、初級2(A2)、初中級(A2/B1)試用版、中級1(B1)試用版までの5レベルが完成しています。入門から初中級までの主にAレベル教材の開発に携わった来嶋洋美からは、相互理解のための課題遂行とは何か、それがどのように教材の中で実現されているかについて報告しました。また、現在、中級(Bレベル)の開発を担当している磯村一弘、藤長かおるからは、「自立した言語使用者」といわれるJFスタンダードのBレベルの日本語使用者を育てるために、どのような意図と構成で教材を開発しているかについて、報告しました。

第2セッションの様子の写真第2セッションの様子 続く第2セッションでは、フィリピンとオーストラリアの『まるごと』を用いたコースの実践報告を行いました。現在、国際交流基金では、海外28カ国31拠点で「JF講座」とよばれる一般成人向け講座を開講しています。JF講座では『まるごと』を用いたコースが数多く開講されていますが、その実践では国によって様々な工夫が凝らされています。マニラ日本文化センター講師のカルメンシータ・ケオラニ・C・ビスカラは、『まるごと』入門~初級2の「かつどう」と「りかい」の2種類の主教材のうち、「かつどう」だけを使って行っている入門・初級コースの実践を報告しました。シドニー日本文化センター講師の西山恵子は、教室で学んだことを教室外の課題遂行とつなぐポートフォリオの実践を報告しました。学習者の生の声が報告された2人の発表を通して、「かつどう」だけを使ったり、教室外での課題遂行を促すタスクシートを作成したりする工夫が、学習者の課題遂行につながっている様子を会場と共有することができました。

第3セッションの様子の写真第3セッションの様子 第3セッションでは、東京外国語大学の投野由紀夫教授と実践女子大学の山内博之教授にご登壇いただき、それぞれの先生が牽引されてきたプロジェクトについてお話しいただきました。まず、投野先生には、日本の英語教育における課題遂行を目指した取り組みとして、英語能力到達度指標(CEFR-J)の開発について、お話しいただきました。山内先生には、「実践日本語教育スタンダード」の開発を踏まえ、課題遂行を支える言語素材についてお話しいただきました。その後、第1セッションの登壇者も交え、会場からの質問に答えながらディスカッションが行われました。パネルディスカッションでの発言要旨をまとめましたので、下記資料よりご覧ください。また、いただいた多数の質問に対しては、パネルディスカッションで取り上げることのできなかった質問も含め、回答を用意いたしました。こちらも、下記資料でダウンロードいただけます。
素朴な疑問から鋭い指摘まで、様々な質問が会場から上がり、参加者の関心の高さが窺われたシンポジウムとなりました。ご来場くださった皆様に改めて御礼申し上げます。

『まるごと 日本のことばと文化』の挑戦のチラシ画像イベントチラシ【PDF:2,084KB】 国際交流基金は「相互理解のための日本語」という理念のもと、2010年に「JF日本語教育スタンダード」を発表しました。また、その理念を日本語教育の現場で実現するために、「スタンダード」に準拠した教材『まるごと 日本のことばと文化』の開発を行っています。シンポジウムでは『まるごと』の開発の狙いとその教育実践の紹介を通して、課題遂行を出発点とした言語学習デザインを検証します。 外部の言語教育専門家にも議論に加わっていただき、この言語学習デザインの日本語教育における意義と可能性を皆さんと共に考えます。

日時
2015年2月1日 (日曜日) 10時30分~17時 (受付開始 10時)
会場
国際交流基金日本語国際センター 佐藤ホール
プログラム

開会 10時30分

趣旨説明 10時35分~11時
横山紀子(国際交流基金日本語国際センター)

セッション1 11時~12時30分
「JF日本語教育スタンダード」の理念と日本語コースブック『まるごと』の開発
課題遂行を出発点とした言語学習デザインが『まるごと』においてどう実現されているか、教材開発担当者から説明します。

  • 入門・初級教材における相互理解のための課題遂行
    来嶋洋美(国際交流基金日本語国際センター)
  • 「自立した言語使用者」を育てる中級教材の開発
    磯村一弘・藤長かおる(国際交流基金日本語国際センター)

セッション2 13時30分~14時40分
海外のJF日本語講座における『まるごと』の実践

『まるごと』を用いたコースの工夫や成果について、JF海外拠点の日本語講座で授業を担当した教師が報告します。

  • 『まるごと』「かつどう」だけを使った入門・初級コースの実践
    カルメンシータ・ケオラニ・C・ビスカラ(国際交流基金マニラ日本文化センター)
  • 教室の内と外をつなぐタスクシートの試み
    西山恵子(国際交流基金シドニー日本文化センター)

セッション3 15時~17時
パネルディスカッション:課題遂行を出発点とした言語学習デザインの可能性

投野由紀夫先生には、『英語能力到達度指標(CEFR-J)』の開発を踏まえて、日本の英語教育における試みについてお話しいただきます。山内博之先生には、課題遂行能力養成を目指す教材開発や教育実践において、語彙や文法といった言語素材がどう位置づけられるべきか、お話しいただきます。その後、【セッション1】の発表者も交えて今後の可能性について議論します。

  • 英語教育における課題遂行能力の養成
    投野由紀夫(東京外国語大学)
  • 課題遂行からみた言語素材
    山内博之(実践女子大学)
  • 討論
    登壇者:投野由紀夫・山内博之・来嶋洋美・磯村一弘・藤長かおる
    モデレーター:横山紀子

閉会 17時


資料(PDF)

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