第10回海外日本語教育研究会 報告 第1部 日本語国際センターの教材開発の変遷

1.海外日本語教育支援における教材開発の位置付け

海外日本語教育支援における教材開発の位置付けの説明図


2.教材開発の変遷

教材開発にあたって立てた当初の基本方針

「人材と教材の現地化」
日本語自体も、それを教授するための日本語教材も、諸外国の人々の、諸外国による、諸外国のためのものであるべきである

「教材開発の3本柱」

  1. (1)英語以外の言語(換言すれば民間出版社では採算上興味を示さない諸外国語)版の、しかも基礎的、入門的な教材、辞典等の開発
  2. (2)海外では開発できない視聴覚教材のための開発提供
  3. (3)海外で教える日本語教員のためのハンドブック


日本語教材開発助成支援


3.開発された教材

開発された教材の説明図

開発された教材一覧
  1970年代 1980年代 1990年代 2000年代
教師用参考書 『日本語教育ハンドブックシリーズ』   『外国人教師のための日本語教授法』
『日本語教授法実践の手引』
『初心者のための日本語講座解説マニュアル』
 
学習者用教材 『日本語かな入門』
『日本語はつおん』
『日本語漢字入門』
『日本語初歩』 『日本語中級 Ⅰ ・Ⅱ 』
『海外司書日本語研修用教材』
『初級からの日本語スピーチ』
(関西国際センター)
辞書   『基礎日本語学習辞典』   『基礎日本語学習辞典 第二版』
視聴覚教材   『日本語教育用ビデオシリーズ』、
『日本語教育用スライドバンク』、
『ヤンさんシリーズ』
『写真パネルバンク』 『写真パネルバンクCD-ROM』、
TVコマーシャル集』、
NHK番組集』
素材集     『教科書を作ろう』 『続教科書を作ろう』、
『みんなの教材サイト』

★現在開発中の教材:『児童・生徒のためのアイディア集』『(仮称)日本語を教えよう』
日本語国際センター所蔵の図書リストWebサイト


4.発展する教材

「使いたい教材が、使いたいときに、いつでもどこでも、できるだけ安価で」という指針のもと、制作された教材は、国際交流基金が実施している別の支援手法も取り入れ、また、メディアを変えるなど、現地の状況により適した形での教材提供を行なってきている。

『日本語初歩』の場合>
発展する教材の説明図1

<「ヤンさんと日本の人々」の場合>
発展する教材の説明図2

「みんなの教材サイト」の場合>
発展する教材の説明図3


5.教材開発支援の方向性

(1) 教材制作 → 素材開発・提供

教材開発支援の方向性についての写真 海外における日本語教育がその目的、環境などで多様性を増している現状で、汎用性のある完成教材を開発することから、教材開発において共通して求められる素材や海外では入手しにくい素材を提供することへと移行している。また、版権などの処理により複次利用可能な素材のデジタル化、また、インターネット上で提供するなど、受け手である海外の日本語教育関係者の利便性を考える。

(2) 自主制作 → 教材制作協力(フェローシップ招へい/講師派遣) → 自主制作

海外で日本語教材を開発している人を日本に招へいし、資料収集や日本人専門家のアドバイスを得る機会を提供し、海外の教材開発を側面から支援する。同時に、民間では開発しにくい教材の自主制作を行なう。

(3) 日本語版 → 各国語版

学習者および外国人日本語教師の利便性を考え、必要に応じて翻訳版を制作する。